「切り付け」「切り継ぎ」「切りばめ」と似たような言葉がある。
「切り付け」と言うのは小さなパッチワークのようにして着物に張り付ける、縫いつけることをいう。
たとえば着物に小さな虫喰いの穴が開いたとしよう・・・しかもお気に入りの着物・・
そこに小さな青い鳥や花模様のアップリケを縫いつけてみる・・
「おー・・・いーじゃん!!」
それが「切り付け」である。
「切り継け」というのは小さな部分というより着物全体をパッチワークのようにして新しい着物にリフォームすることをいう。
たとえば青い色の歯切れが一杯あってそれでいちまいの着物を縫う・・
たとえば古い三枚の着物がある・・・虫喰いや痛みがひどくて使えない・・擦り切れている・・・そういう物を何枚か合わせて新しい(生地は古くても・・・)着物として再生する・・・という場合、これらは「切り継ぎ」となる。
では・・・「切りばめ」とは・・
漢字では「切り嵌め」と書く。
「嵌め」は「はめこむ」の字である。
たとえば四角に着物の生地を切りぬいてそこに同じく四角に切った布を嵌めこむのである。縫うのではない。縫いつけるのでもない。はめこむのである。
つまり横糸、経糸を生地同士合わせながら一本一本、一腰一腰、繋いで全く嵌めこんだことをわからないようにする技術である。勿論四角でなくてもいいのである。黒い着物に椿の形に切り抜き、そこに赤い布をはめこんでいく・・・のでもいいのである。
好きな場所に好きな形を自由自在に。ただしものすごい根気と労力と技を必要とするので大変な作業であることはうかがい知れる。
実は話には聞いていたが実際先日初めて見た。
ちょっと見には普通の縞の着物に見える。
だからその方がうちにいらしたときも全く気がつかなかった。
ところが新しい帯結び・・・以前から「角出し銀座結び」を習いたいと言っていたので帯を解いてもらうことに・・・その時気がついた。
縞は後で嵌めこんだものであると。
横段の一腰一腰が縦じまの右と左で一致していない
わかります??。
糸の太さも微妙に違う。
勿論縫い目もない。
その証拠にそで口はこんな風に「切り嵌め」であることを遺してある。
これを嵌めこんだ人もちょっと嵌めこんだことをどこかで分かってほしかったに違いない。
面白いわぁ…
着ていた本人は当然知っていた。
「はい、以前からどうしても欲しかったんです。」と。
凄いね・・・こんなことを知っている人いるんだあ・・・と。
知識としては知ってはいたがこれほど手間暇のかかった実物をみるのは初めて。
中々写真では分かりにくいので実際手にとってみたい方はいつか触らせてもらえる機会もあろうかと・・・・。
今日はちょっと面白い「切り嵌め」について・・・でした。