和装組曲♪

・・着付け教室、琵琶演奏、能面制作などに勤しむ日々のあれこれをグダグダと綴ります・・

体験会終了!!!

前回「満員御礼」を書いた後、こんなに感染拡大するなんて予想もしていなかった。

嬉々としてイベントを執り行う予定が小舟が激流に飲み込まれたような状態となった。

何度も今年の会は開催中止にしようと考えた。

正気の沙汰でないとも言われた。

でも私の中で引けない気持ちもあった。

緊急事態宣言がでてイベントが無理なら諦めもした。

でも止めないといけない理由が見当たらなかった。

ただ自分の中の恐怖が決行の判断を揺るがしていた。

もし、クラスターになったら・・責任とれるのか‥と。

 

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アオサギ

 

 

 

最後に決めたのは・・・・「一期一会」という言葉だったかもしれない。

千利休の弟子、山上宗二が書物の中で初めて書いた言葉。

今日という日は後にも先にもこの1日。

しかもこの一瞬という時間を大切なものとして一生懸命お客様をもてなさないといけないという言葉。

事務所の入り口にのれんとして使っている。

 

 

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安齋君予さんの型染「一期一会」

 

そうだ、来年はないかもしれない。

ひょっとして・・私がもうこの世にいないかもしれない。

お弟子さんたちも同じではないに違いない。

そして来てくださるお客様も、来ようという状態ではないかもしれないから。

しかも加賀支部創立の1周年記念の日。

 

何よりこの日私が琵琶で弾く予定だった「井伊大老」がこの言葉をとても大切にして自書の巻頭でよく引用されて世に広く知らしめた事も知っていた。

琵琶の世界だってそうじゃないか・・・

死んでいく人の無念の思いを歌っている。

義や忠や信に徹し死んでいく人たちの事を思うと、その死が納得したものであってもお気の毒だと、お可哀そうだといつも自分で思っていたじゃあないか・・・なら、生きている自分は今この時を大切に生きないといけないのではないかと。必死に一生懸命生きないといけないのではないか、と。そして決めた。

できることをとにかく粛々とやろう・・・

 

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心は決まった。

出来る精一杯の事を一生懸命、真面目にきちんと粛々とやろう。

リスクを一つづつ減らし、来てくださる方々が少しでも安心できる状態に持って行こう。「イベントは絶対やってはダメ」と県から言われない限り準備はしようと。

万が一、大半のお客様が来てくださらなくてもいいじゃあないか。

一人でも聞いてやろうという人がいたら私はやるべきだ、と決めた。

お弟子さんが感染が怖いならそれはそれで欠席してもらってもいい。

そこまで人を拘束すべきではない。

でも最後自分一人になってもやろう・・・と。

 

 

 

色んなご意見や不安や誹謗がある中、開催した。

キャンセルも3分の1出た。

でもそれは構わなかった。

みんな怖いのだ。不安なのだ。

場所は老舗高級料亭金城楼。

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加賀支部支部

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受付

110畳の丹頂の間に50名のお客様。

廊下の窓はこの状態。

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窓は全て開け放って

60畳用の最新の空気清浄機を2台備え付け。

舞台は勿論アクリル板設置。

見掛けは今回は気にしないことにした。

兎に角安全第一。

 

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二重のアクリル板

舞台の前ではなく後ろの方に毛氈を敷き、少しでもお客様と距離を取る。

しかも舞台下のアクリル板からお客様の席までは3メートル以上空けた。

お客様の席どうしは当然1.2メートルは空けたが、更に夫婦や親子、ご家族、友人というグループによって少しずつ変えた。グループとグループの間は2メートルはあったはず。一つの家の中で過ごす方々は椅子を寄せることで他の方との距離が更に空く。その一方、どんなに親しいご友人たちでも同一家屋で住まない方々は決して席をくっつけない。前も横も十分距離を取るようにした。

 

特に体験もあったので物凄く考えた。

お客様との距離を維持するために、又琵琶を教える時にも如何に距離を保つかを。

お店に入るときは勿論、部屋に入るときも、消毒を欠かさない。琵琶を触る時も隣の方に渡すときも手指の消毒をしていただいた。万が一拭いた手ぬぐいはすぐ捨ててもらう。

更に歌を歌った後にも出来るだけマスクを交換してもらうために予備のマスクも配布した。

 

指導場所は三か所使った。

空気清浄機の前二か所と、別室の開け放った窓の前。

こちらは1テーブルに1名様限定。

 

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この部屋のふすまを開けて、窓も全開

 

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60畳用の空気清浄機の前で

この空気清浄機、私たちのイベント前に金城楼さん全ての部屋で設置されたものでニュースにもなった光触媒でのウィルス除去の清浄機。

椅子を一つ飛んで横の人・・・と思うでしょうが、間の人は琵琶を弾く人なので声を発する方はいない。ご夫婦や姉妹の方々、職場が一緒という方々がいらしたのだが、これはしっかり守ってもらった。

つまり、丹頂の間、相生の間、平成の間、そして私たちはこの日控室末広の間・・・と金城楼の大きな部屋は全て加賀支部で貸し切り状態となった。

地下の平成の間は200畳は優にある空間。

50名のお客様を2グループに分け時間差で食事をしていただいた。

勿論アクリル板は当然として、テーブルとテーブルの間は120センチ以上離すし、対面とならないような座席位置の配置を考えた。つまりアクリル板の向こうには誰もいないという状態で食事をしていただいた。

しかも同じテーブルには、ご夫婦、兄弟姉妹、お孫さんと祖父母、といったいつも家族で一緒にいる方限定。お友達や会社関係の知人という家庭を別にする方はテーブルの端と端、180センチテーブル2つを縦に並べて端と端なので300センチは離れる勘定となる。黙食を明示し静かに食事の時間を過ごして頂いたわけだ。200畳に30人の計算である。しかし・・・しかし・・・

万が一・・・ということもある。

エレベーターは足の悪い方とご年配の方のみ。

出来るだけ階段での移動をお願いした。

 

しかし感染の怖さはきりがない。

もし自覚症状がなくても、参加者の一人でも後で感染していたことが判明した場合も考えた。座席表を作り座席位置を把握、グループとしてお食事して頂いていれば周りに迷惑をかける事も最小限となるに違いない。ご家族やご夫婦でそれは完結するのではないかと考えた。

体験の後の鑑賞までの間の小休止。

こんなユッタリ人を発見。

 

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金城楼の床の間に腰掛ける・・・という大胆な二人。(笑)

実は下にきちんと座れないのだ。

奥様は骨盤骨折で。

 

この二人は私の知り合い。

懐石フレンチ「くりゑンテ」のシェフご夫妻。

ミシュランの星を何の未練もなく即、断った人達。

どんなレストランでもミシュランの☆を喉から手が出る位欲しいのが相場だと思っていた。

断ったご主人曰く

「そんな星がなくてもうちの店に来てくださる方々の方が、とても大切だから」と。

もし観光ガイドにでも載れば(もう載っているけれど)、そういう観光客が押し寄せて本来のファンのお客様が予約を取れなくなる…と。

実際こんなに感染が広がるコロナ前から、このお店は一日2組しかお客様を取らないのだ。ゆっくりと静かに楽しんで頂くために。今は一組かもしれない。

効率だの利潤だとかに人が振り回されている時でも、静かに自分流の心地よさを追求し小さなことに喜び楽しみを見出せることって素敵じゃあない?しかもそれをお客様と共有し楽しんでもらおうと努力している姿はなんだかとっても感動的。多分そこにこれからの時代を生きる意味があるような気がする。でもこの方々には至ってシンプルな生き方かもしれない。世の中本当にいろんな人たちがいるけれどこういう自分の気持ちに自然体で心地よい時間をゆったりと過ごしている方って物凄く魅力的。

 

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小面



多分このコロナ騒ぎの中で、人は自分の生き方がこれでよかったのかを自問自答し修正していくのかもしれない。私たちだってイベントのやり方を修正し、進化させていかないとね・・・・そんなことも考えさせられた一時でもあった。

 

一年間この日の為に準備してきた皆んな・・・お疲れさまでした。

皆んな本当によく頑張ったね。

皆さんを誇りに思う雲龍柳です。

九月からは来年に向けて又頑張ろうな。

私を含めて皆で一回り大きくなったかも…と感じたこの日。

 

みんな、恰好いい加賀支部の女戦士たちさ・・・・♪♪♪

 

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一人遅れたので写真撮影に参加できなかったのは残念だったけど・・・

陽子ちゃん・・来年は一緒に写真入ろうね。

 

私たちのこの会が8月1日、済んだ。

この日のアンケートでは「良かった」のご意見が圧倒的。

そしてお弟子さんたちの携帯には参加した方々から「楽しかった」の声。

琵琶の演奏会が楽しかった? 噓でしょ?

でも本当は私たちの目指す所。

音楽の先生から頂いたメールには「琵琶の発表会」というより「琵琶の研究会」だね・・のご意見。人数制限がない時なら音楽の先生に一杯声を掛けるね、と。

本当にありがとうございました。

 

その翌日、8月2日、まん延防止重点措置が発令。

神様が味方してくださったに違いない。

 

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今日はキンキンに冷えたこのシャンパンを飲む ~♪♪♪

ホトトギスさん・・・ありがとう。

もう飲んでもいいでしょ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

満員御礼~♪♪♪

前回「琵琶の体験会」のご案内をさせていただいた。

時期が時期なのできっと迷っている方もいるだろうと多少の危惧もあった。

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実際会場は沢山入ることができる110畳の大広間。一畳に2人としても200人は優に入れる大会場。だがソーシャルディスタンスを取って最大75名~65名位が妥当ではないかと会場の担当者と決めていた。実際、会場に椅子を並べ空間を考えながら、舞台との距離を確認しながらの作業であり計算であった。2階の会場の片側は全部窓なので、窓を全開にして通気をよくする。舞台との距離は3メートルは空ける。舞台には当然アクリル板を設置する。できる対策は余すところなくやる。

 

70名・・それは最大の人数である。

しかし最少の人数もある程度考えていた。

どんなに人数が少なくても構わないとも考えていた。

5人来てくださったらその5人の方に満足してもらえるイベントにしようと決めていた。だから内容の充実したものにすることが自分たちのできる最大の事だと考えてもいた。来てくださる方に満足してもらえるように・・それしか考えていなかった。たとえ5名の人数でもとても満足して頂いたら、きっと来年も来てくださる。先に繋がる事を考えたかった。

 

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それが・・・

何と10日間で予約完了。70名の応募者。応募は打ち切った。

追加でなんとか・・・という方もいらしたが、自分たちで決めた会場の定員もある。準備の都合もある。大変申し訳ないがこの人数で執り行うこととなった。

予約を取れなかった方々には申し訳ないが、来年も趣向を変えて開催する予定なのでまた来年・・・ということでご理解願いたい。

 

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今回参加される大半の方々が、以前の「おさらい会」や「演奏会」に来てくださった方々であったのはとても嬉しい。「また楽しませてくださいね」「行くことを楽しみにこの時期をを乗り越えますね」の一言を添えて申し込まれた方には胸が熱くなった。全く初めての方もいらっしゃる。「知り合いに聞いて是非一度聞いてみたい」と。

 

皆さん会費も早々に払い込んでくださったので人数も確定。

後はこちら側の内容を詰めていく作業である。人数が確定したのでパンフレットも発注できた。あと2~3日で仕上がる予定。

 

協賛いただいた会社は20社。本当にありがたいことだ。この会社の協賛金があったのでチラシやパンフレットを作る費用ができたのだから。

パンフレットができ次第、協賛社にご確認頂きに上がります。

この場を借りて協賛していただいた皆さんに御礼申し上げます。

 

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まだ印刷は出来ていないのだが、一応こんな雰囲気の冊子にする予定。全24ページである。初心者の方にもわかりやすい内容を心がけてみた。

当日最後に私が歌う「井伊大老」の台本も付ける予定。

これは皆で手分けして自家製本。

 

 

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しかしこんな時勢である。その時の金沢の状況もどうなるか不明なので余りに危険なら当然イベントをキャンセルする予定だ。その辺の詳細は参加者には7月の初旬にお手紙を出しますね。

 

と、いうことで最後はこの写真で終わりにしよう。

 

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〆ならぬ・・・・・シメ

 

 

 

初めて私たち加賀支部が手掛ける「琵琶の体験会」。

頑張ります。

 

 

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琵琶の体験会のお知らせ

今年の夏、琵琶の体験会のイベントを予定している。

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案内チラシ、表

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案内チラシ、裏

主催は錦心流琵琶全国一水会 加賀支部 つまりうちの教室が主催する。

会員10名で指導にあたる。勿論私たちのミニ演奏会も体験会の後にチョコッと・・・・ほんのちょこっと開く。

今回そのチラシができたので皆さんに先ずお披露目。

協賛してくださる会社22社。その方々には担当者が来週順次ご挨拶に回る予定。私のブログでは少し早いご案内となる。

 

金沢や石川県に限らずどこの県から見にいらしてくださっても構わない。

 

   ♪・・・ 入場料は5000円と高いかな…と思われる方に・・・♪

 

場所は金城楼で、お昼には金城楼の松花堂お弁当、更にお吸い物とデザートがつく。

誰が食べても金城楼の松花堂弁当は何時如何なる時も4500円+税で 4950円である。

しかもこのイベントに参加してくださる方には、特別に琵琶のテキスト(加賀支部特製の24ページの小冊子)が付く。メモを取りたい方用に和装組曲の真新しい未使用のボールペンもつく。更に今回限りであるが、薩摩琵琶をかたどった別注の琵琶ピンバッチも付く。そのピンバッジ(ケース付き)・・とても可愛い。 ↓ ↓

可愛いのだが、私のスマホの写真の撮り方が悪いね。すみませぬ。

 

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特製ピンバッジ(3.5センチ)


加賀支部の会員達がみんな「欲しい~♪」と。

残念だがただであげるわけにはいかぬ。

会員さんには1500円で買って貰う。

ただし、体験会の時は先着40名様だけの特典である。

ソーシャルディスタンスを確保する為でもある。

又、加賀支部の会員は10名なので一人4人位しか担当できない。それ以上多いと中途半端な指導になりやすい。というのは琵琶は10面しかないからである。ここは最少人数でしっかり体験してもらうことに重きを置くつもり。

 

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「どうだ!!!」とコサギまで威張る。

今その時の為用の24ページのテキストを皆で作成中。

どうしたら分かってもらえるのか・・・

どうしたら楽しくなるか・・・

どうしたら興味を持ってもらえるか・・・

どうしたらよい時間を過ごしてもらえるか・・・

 

退屈で何を延々と歌っているのかというような退屈な演奏会はしたくない~♪ とにかく楽しく有意義な時間を過ごしてもらいたい。それにはどうしたらいいか。

琵琶の面白さを分かってもらえるような工夫をしようと各自只今悪戦苦闘中。

素敵な楽しい会にするからね。

 

八月一日・・・・皆みんな、この日に合わせて金沢に来まっし。。。。(笑)

 

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茱萸の花、満開

   

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八重紅梅も、満開

 

   春ですね。

 

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久しぶりに我が家にやってきたオナガ

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それを木の陰から狙うどこぞの猫

早く日常が戻りますように。。。。。

その日が来るまでだって楽しい日々を過ごそうねっ。

 

    ☆諸事勉励☆  ☆万事挑戦☆  ☆日々颯爽☆

 

では、では、またねっ~♪♪♪~(^^♪

 

 

         【参加希望の方へ】

 

上記チラシの裏面のfax番号に住所、氏名等を書いてfaxくださいね。

和装組曲まで必要事項を書いてメールくださっても可。

人数制限のため、体験希望の方は40名になり次第締め切ります。ご了承ください。

昼食、舞台鑑賞希望の方はこの限りではありません。

どうぞご検討ください。

 

 

 

 

柳絞りのコーディネイト

以前お約束していた柳絞りについて書こうとパソコンに向かった。

向かったけれどネットで調べればある程度は誰でも知識が身につく。

で・・・・今回は柳絞りのコーディネイトを書こうと思う。

 

柳絞りはその名のとおり絞りである。

絞りというのはよく言えば可愛い、反面少し野暮ったくもなる。

ところが、こんな垢ぬけた柳絞りを見せてもらった。

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実に絞りが細かい。丁寧。そして手が込んでいる。

ちょっと分かりづらいのでこの写真ではどうだろう。

 

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地は綸子であるのでとても光沢がある。

しかも写真からは分かりにくいが地色は青磁色である。

拡大してもらうと分かりやすいのだが縫っている糸目が実に細かくて正確である。物凄く手間暇をかけて丹念に縫い染めたに違いない。こんな美しい柳絞りは今まで見たこともない位に素晴らしい。多分柳絞りに限らず、絞りを知っている方でもこの雰囲気はとても意外に違いない。普通はもっと絞りが粗く縞や染まりの太いところがあるのが普通なので。綸子地の渋い小紋に見える。

 

さて、この垢ぬけて品の良い柳絞りに合う帯を探して欲しいと言われたのだが、いやぁ・・・難しい。でもやってみましょう・・・と。ちょっとワクワク。勿論先方の予算もある。それがあるからなお楽しいのだ。

今日はその色々探し回った時のコーディネイトをお見せしよう。

 

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1

オーソドックスな組み合わせ。帯は袋帯で紺地。糸も細くしなやかで悪くない。でも普通過ぎて何となく面白みがない。何となくしっくりと来ないのは紺地のせいか。イメージでは青磁色と紺地は合うのだけれど実際見てみるとしっくりとしない。

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2

帯は手織りの綴れ帯。少し紫が入っていて着物の青磁色と合っていて素敵である。白いポイントもちょっと面白い。こんな帯なら帯締め青磁色にしたらすっきりとしていて楽しいかも。ただ私的には少し色っぽい。それが好きな人はそれで良い。

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3

こちらの帯も実に柔らかく締めやすそうである。細い糸で実に手触りもいい。

ただ私の好みの問題であるが赤い色がちょっと鼻につく。赤い色を入れましたよ…という作り手の媚が伝わってくるようで嫌だな。私ならこの赤い色は渋い緑色や紺色あたりが嬉しいかも。

 

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4

パチッと黒の名古屋帯青磁色に黒はきつそうに見えるが出かけていく場所にもよるのだが、花展や美術館辺りならぴったりかも。際立った色が入っていないので会場で作品の邪魔をしない。これはとても大切な事。柄も何気ない雰囲気でのしめ風なのも良い。

黒地の名古屋帯はどうしても花柄が多いのでこういうさりげない帯はとても貴重。

 

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5

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6

この二点は色違い。手織りの焼箔帯で実に美しい。お太鼓の所の上の柄が着物の地色と同じ色なのもさりげなくて悪くない。ただ帯が少し格が高すぎる。でも可笑しいかというとそうでもない。この辺りになると完全に好みの問題なのだが。

 

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7

思い切って雰囲気を変えてみた。こんなのを好きな人もいるに違いない。

色は合わなくはないのだが、この柄の大きさに関しては好みが大きく分かれるに違いない。沢山の帯を見るたびにぴったりはまる帯は本当に少ないことに気づく。なんとなく悪くはないのだが、やはり「これしかない」という帯に出会いたい。

 

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8

実にお洒落な帯に出会った。茶色なのだがこの青磁色の着物にドンピシャッ。帯の茶色の中に緑色が入っているからか、とても色は合う。おお・・・素敵。柄も波と舟。なんだか柄もとっても垢ぬけている。ただじっと見ていると舟がでかすぎる。もう少し小さいと良かった。多分仕立てると帯の両脇が縫い込まれるので地色の余裕が更に無くなってしまう。物凄く残念だが諦めるしかない。何本もの帯を見ていると流石に疲れてくる。

全くの余談だがこういう舟は案外誰でも見たことはあるだろう。ただ本物を見た人はいるだろうか。この舟と同じ舟を実家で持っていた。そういうと何人かの人が必ず言う・・私も見たことがある…と。では質問する・・この舟は網などで捕らえた魚を何処に収納するのか・・・と。舟の上に置いて漁を続けると炎天下の中魚は当然傷む。ではどうするか。。。実は保存場所があるのだ。そこまでは中々知らないでしょ?

この舟は刺繡と箔で実に上手に陰影や濃淡を描いているのだが、多分製作者はその場所を知っている・・みたいだ。

 

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9

こんな可愛い帯を見っけ!!! 可愛すぎる。楽しすぎる。

そして、あ・・あ・・高すぎる。

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10

柄をアップしてみる。歌舞伎の勧進帳がテーマ。由水十久さんの作品。

「あいや、暫く」と皆を制しているのは弁慶らしき。全員がどうも弁慶格子を着ているように見える。やはりこの方の唐子は何といっても可愛い。しかし帯が如何に可愛くてもこの青磁色の着物には若干無理がある。勿論どの帯も合わせて可笑しくはないだろう。ただぴったりの物を探したいだけ。ちなみに前の柄は

 

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11

松。むーん、この松も可愛い。この帯はこの着物でない方が柄が生きるに違いない。

結局中々ぴったりくるものがなくて更に後日に探索続行。流石に疲れた。

でもここまで来たら探すしかない。どれももう一つ・・・と。

中々なくて諦めていたところ・・・遂に見つけた。

 

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12

どうだ?悪くないでしょ。。。探索に一週間以上かかった。

グレーの輪つなぎ、花つなぎ、まるで見ようによっては麻の葉模様風の袋帯

でもこの幾何学模様が絞りを邪魔しない。いとも細くしなやかで締めやすそう。

しかも値段がとても手ごろ。こんな着物と帯で街を歩く人って素敵じゃない?

私的には全部の中で一番恰好良いと思う。色味が抑えられている分帯締め帯揚げで色々楽しめる。春にはきっぱりしたグレーでも、青色でも、緑色でも、レモン色でもワイン色でも素敵。多分幾何学的なこの帯なら案外と無地っぽい濃い着物にぴったり合うはず。

いゃあ・・・~見つかってすっきりした。

 

ちなみに私だったら…と勝手に自分の好みの帯も知らず知らず探していた。

 

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13

私だったら12の帯も好きだけれど、若干重い感じのこの帯が好み。鎧縅風の重厚な雰囲気の焼箔の手織りの逸品。絞りの着物にはちょっと重厚すぎるけど私はそれ位が好き。柄も細かいので死ぬまで使える。勿論帯締めは白っぽい青磁色のできるだけ凝ったものにしたい・・・などと「う、ふ、ふ」とにやついていた。誰も私にくれるわけではないけれどひと時楽しんでいた。

 

コロナで外に出かけることもないし、着物を着ることもない。たまには美術館でも…と思うが入場制限とかでネットから申し込まないと受け付けてくれない。

着物とはちょっと遠ざかっているこの頃、せめてコーディネイトでもと遊んでみた。

お店や問屋さんめぐりは結構息抜きとなった。楽しかったよ。

私に付き合ってくださった店員さん、オーナーの方々本当にありがとうございました。(九拝)

 

実際マスクとさようならはいつの日の事か・・・

皆さん、上手にストレス発散できてますか~~~。。。。

 

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青空

 今日は天気が良かったのでたっぷり散策・・・みんな、またね~・・・・♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

沈黙を破って・・・

「仲良きことは美しきかな」

確か武者小路実篤の言葉だったと思う。

本当にそうだろうか・・・

その「仲良き」のレベルにもよるだろう。

 

表面だけの仲良しにどれだけの意味があるだろうか。

仲良し・・というよりいつの間にか無関心、無責任ということになっていないか。

本当に何かと真剣に向き合っていく時、意見の相違は勿論のこと、対立して険悪な雰囲気になる事すらある、あってしかるべきで無い方が不自然である。十人いれば十の意見がある。譲れない部分で対立することは仕方のないことでもある。

それよりも私は危惧する。

真の自分の思いを隠し、表面だけニコニコして笑顔で語る事がさも美しいことでもあるようなそんな接し方を怖いと思う。対立した後の相手への理解が永遠に得られないからである。そこには進歩も発展も永遠にない。嘘も方便・・・私には無縁な言葉である。

 

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生徒さんに問いたい。

トップにいることだけを考えることに意味があるだろうか。

自分だけいい思いをすることを考えることに価値はあるだろうか。

面倒なことをいつも人任せにして逃れることに反省はないのだろうか。

自分だけは面倒なことに巻き込まれたくないと思うことに後悔はないのだろうか。

ビリだから足手まといになるのではないかとビクビクしていないだろうか。

長谷川の言うとおりにしておいた方が無難だと受け身の姿勢ばかりではないだろうか。

 

そして私は言いたい。

歌がうまい・・だからどうなのだ。

撥さばきがうまい・・それがどうしたのだ。

私たちは人の生き死にを語っているのだ。

人の思いが分らないのに琵琶の弾き語りもないもんだ。

隣の人の思いを知ろう。

向かいの人の考えを知ろう。

そしてまずは自分の本心を見つめよう。

少なくても先ずはその努力はしないといけない。

私たちの向かっている先は見掛けではなく、「魂の内側」だと思うから。

 

皆で話し合う時に自分の思いを堂々と口に出して欲しいと思う。

それは違うのではないかとひるまずに言って欲しいと思う。

それでその場の雰囲気が悪くなってもその先にはきっと互いに少し分かり合える世界が近づいてくると思うから。

いつも言うように、私たちは一つの大きな縄の輪の中にいると思っている。

大きな壁を乗り越えて行くには互いの協力なくしては絶対無理である。

一人のパフォーマンスでどうにかできるものではない。

一人一人が一生懸命練習し、共に支え合い、苦しい時を乗り切る。誰がトップであろうが、誰がビリであろうがそんなことは問題ではない。一丸となって苦難を乗り越え一つの目標に向かって力を合わせ努力していく。そこに価値がある。それが素晴らしい。時には皆を支え 時には皆に支えられ、全体として少しずつ前進し目標に近づいていけたら・・と。壁を乗り越えていけたら・・と。そんな集団になれたら怖いものはない。そんな素晴らしい集団はない。それを目指したい。いやそれしか目指す所はないのではないかとすら思う。

 

最後に・・・多分これが一番言いたかったこと…

もし私が言ったり思い込んでいたりする事で違うと思った時には躊躇せずに言って欲しい。自分の本心を言うことに恐れないで欲しい。

昔、初代黒田長政が謡を披露した時のこと。

家臣は誰も彼もその下手くその謡を一同ほめたたえ称賛したという。しかしその時一人の家臣が言った言葉。

「殿がへつらいや追従を見抜けないようであれば当家の長久は望めない」と。

誰でも褒められるのは嬉しいし、もっと聞きたいと思うものである。

でもそういう一つの意見だけが全てだと思うところに心の罠がある。

そんなことはありえないから。

長政は痛く反省し毎月「異見会」(意見会ではない)を開き耳の痛い事を家臣から聞く機会を作ったとか。これが通称「腹立たずの会」となったのだ。

 

私はちっぽけな人間なので耳の痛い事には腹も立てると思う。くっと髪を逆立てるかもしれない。

でも耳の痛い事こそ人一倍しっかり聞きたいとも思う人間でもある。反省は人一倍すると思う。その結果その意見に従うか従わないかは別の話である。それは自分自身の問題である。

着付け教室を開いた時の座右の銘

「汝を褒むる者、悪魔と思へ」だった。

何年もの間、ホワイトボードに貼って自分への戒めにしていた言葉である。

 

私も含めて皆で守って気を付けていきたいと思う。

 

 

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・・・・・・・・・・無沙汰のお詫び・・・・・・・・・・・・♪・・・・

日々の雑多な中で苦しみ悩みもがき、自分なりに何とか活路を見出そうとしている毎日だった。家の中にも外にも、仕事でも、そして何より自分自身の事など、本当に目の前の事から一つずつ片付けていくしかなかった。楽しいことは見事な位 殆どなく(笑) 時には座り込んでしまう日もあった。「なんでもいいから、私を笑わせて!!!」と無理無体な電話もした。まさに「うずくまる女」・・・もとい、「うずくまる婆」だった。

ブログにまで手が伸びようはずもなく、全て煩わしくなったりして少しお休みをもらっていた。考えないといけない事が本当に山積。気が付けば私の髪はとっても薄~~ー~~くなっていた。笑い事ではなかったけど、笑った。

メールや電話で励ましてくれた方々、ありがとう。

持つべきものは友達だね。容赦のない叱咤激励・・・いやいや叱咤叱咤だったか・・

大丈夫です。私は何とか人並みに元気です。(笑)

着物の事がご無沙汰なので、次は「柳絞り」について書くね。

 

秋の風


琵琶の音が少しささくれ立っているような・・・

糸のすり減りが目立ってきている。

「糸を変えよう」と突然思い立つ。

ついている四本の糸を全て外す。

 

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絃が切れないと滅多に変えないのだが、この日は何を思ったか一挙外した。

 

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首の竹の部分に石蝋を塗る。

 

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糸の滑りをよくするため。

これがないとキシキシと音がする。

 

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向かって左から一の絃、二の絃、三の絃、四の絃となる。

 

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一の絃を張る。

順次張ってゆき・・・・

 

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完成。

全部張り終えた。

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習い始めた時はチューナーなど使わないので一本ずつしか張り替えるのができなかった。音を確かめながら今日は四の糸・・今度は三の糸・・というように前後左右の音を聞きながら恐る恐るの張り替え作業だった。チューナーを使うようになってすっかりチューナーだよりになってしまった。

大体が音感ゼロ、私の耳はバカ状態。

 

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先日神社の集会所を借りての全員で合同練習。

コロナ感染が心配で中々狭いところで全員集まれないので久しぶり。

いゃあ~とても楽しかった。

今の方々は本当に音感がすこぶる良いのでうらやましい。

特に若い時に楽器を触っていた方はやはりスバ抜けて正確である。

私は「ねえ・・この音、あってる?」などと生徒さんに聞きながらの参加。

「ずれてる!!少し高い!!」と指摘を受けながら調整している。

「今度は上がっていく時は大体いいけど、降りてくる時のラとㇷァが少し低い!!」

音というのは聞いているその瞬間は分かるのだけれど、時間がたつと音が私の頭から消えていていつの間にか他の音に微妙にすり替わっているようだ。しかも押さえる指の感覚だけで音を出しているので毎回違う音になるのだ‥(笑) 精進するしかないね。

すぐに聞き分けられる人って凄い。

先生の身としては本当に恥ずかしい限りであろうが、案外と本人はめげてはいない。(笑)ローマは一日にしてならず・・・である。

すぐにできないのは今に始まったことではない。

しかし、何をさせてもどん臭いのよね、私。。。

中学の時のリードバンドのアコーディオン担当だったが、コンクールの時に「お前は絶対音を出すな」と言われた経験がある。音感もさることながらリズム感が全くなかったらしい。さっさとやめて英語劇のクラブで「ベニスの商人」に挑戦したっけ。デュークか何かの役柄だった。このことは以前中学時代の話としてどこかで書いているはず。

 

ここでちょっと調べてみた。

「中学時代」ではなかった。「私のボイストレーニング」だった。

記憶までややこしい。

参考までに  

 

umryuyanagi104.hatenablog.com

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案外さみしい記憶のはずなのに傷はない。というか、この程度を傷と言っていたら私は全身傷だらけになってしまう。正しい選択をするための一つの「辻」だったのだ。話は違うが「辻」という漢字は音読みがない。こういう字を「国字」という。「辻」の他に「峠」とか「躾」とか「榊」とか。私はこの程度しか知らないがかなりの数あるらしい。「躾」は着物で使うのでその時に気が付いた。

話を元に戻す。今まで琵琶を習ってきた時に自分が全く気にもしなかった「音の正確さ」というものに今向き合っている。琵琶の場合どの程度まで正確さを求められるかは今からの課題。何とか私でもどうかなる範囲であって欲しいと切に願う。まあ今後に期待してくだされ。

 

これからもどうぞよろしく・・・~・・♪

 

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      すすき葉のさ青長葉のしげり葉の

            するどに垂れて風あらずけり (木下利玄)

 

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      身の透けて心あらはになるごとき

            秋の日向の白きに遊ぶ (富小路禎子)

 



夜静かに本を読むのが楽しくなるこの頃・・

久しぶりに短歌の本を開いたらなんだかとても新鮮だった。

もっともワインの量が目茶目茶増えるのだが、それはそれで又よし・・・・

 



 

     

吉野間道

 

今回は着物の事を書くことにする。

 

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最近我が家の庭を自分の庭だと思って住み着いたらしき黒猫

 

 

           ☆ 「吉野間道」 ☆

 

紺屋の白袴」という言葉を皆さんは聞いたことがないだろうか?

「紺屋」というのは染物屋さんの屋号と思ってもらっていい。もっとも今は使わない。昔の話。藍色で白生地を染める業者を「紺屋」といった。読み方は「こんや」とか「こうや」とか読んでいた。それが次第に染物業者一般に「紺屋」という言い方をするようになった。「紺屋の白袴」というのはよそ様の染物仕事ばかりして自分の袴を染める間のないことから「人の為ばかりに働いて自分のことをする時間がない事」をいうようになった。私は子供のころよく母からこの言葉を聞いた。同じように「紺屋の明後日」という言葉も。仕事が忙しすぎて常に遅れがちになることから仕事を受けてもなかなか期日通りにいかない時などに使われる。着物の仕事をするようになって分かったのは藍染めの仕事は天候に非常に左右される・・ということ。自分がしようとしても天気次第で思うとおりに仕事が運ばない最たる職業だったに違いない。

前置きがものすごく長い…・・・

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大家族

 

 

「え?これ、前置き?」

そう、単なる前置き。何故ならここからが本題。

「灰屋」に持って行きたかった。

「灰屋」というのも「紺屋」同様仕事からくる屋号である。

今のように化学染料や化学媒染剤がない時代、「灰」を媒染剤として色を定着させたり、色止めをしたり、はたまた色を変えたりする事で染色の仕事をしていたお店。「灰屋紹益」という人はその仕事で豪商となった江戸初期の京都人である。本阿弥光悦の親戚筋に当たる方で、書、絵、和歌、など各芸事に精通ししかも当時の一流人たちと深く交流し、書物まで書いている。この「灰屋紹益」色んな逸話を残しているのだが、その中でも当時の花魁「吉野太夫」との事はとても有名。「吉野太夫」は京都の寛永三名妓と言われた「吉野太夫」「夕霧大夫」「高尾太夫」のうちの一人で、父親は西国の武士と言われている。

和歌、俳諧、琴、琵琶、書道、花、囲碁などどれをとっても達人の域だったとのこと。こういうことは尾ひれがつくので何処まで本当かは不明であるが、とにかく美しく聡明で優しい人だったようだ。大夫になったのが14歳くらいだったはず。時の関白・・この人は天皇の親戚筋であったらしい・・その関白が吉野太夫を見受けしようとしたという話もある。関白と灰屋紹益は吉野大夫を挟み張り合うのだが、結果的には灰屋紹益が見受けしめでたし・・となったようだ。灰屋紹益の養父は花魁を妻にしたというので一時、灰屋紹益を勘当したとも言われている。ただ吉野太夫の人柄を知りやがては勘当を解いたという話も残っている。その吉野太夫に灰屋紹益が惚れ込み数々の贈り物をするのだが、その一つに珍しい帯があった。その帯がこの「吉野間道」である。

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久しぶりのアオサギ

 

大体「間道」というのは古い縞模様のこと、室町から桃山時代あたりに渡来した格子縞、縞柄を言う。縞の一部に浮織のあるのが特徴で名物裂(きれ)である。

名物とは有名な茶人が名品と認めた茶道具をいうのだが、その茶入れや仕覆、掛け軸、表具、袱紗などに用いられた裂(きれ)を名物裂というのだが、吉野間道もその一つとされている。そのほかには有名なところで

日野大納言輝資(ひのだいなごんてるすえ)所持の日野間道

笹蔓間道、小松弥兵衛にちなんだ弥兵衛間道、聖徳太子に由来する太子間道・・・この辺りは着物二級受験する方は抑えておいた方が良い。もう少しで、今年もきもの検定だね?今年は和装組曲から二級を受ける方が4~5人いるはず。コロナの影響でどうなるかは不明だが、試験会場に応援に行くね。

 

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柵(しがらみ)を超えて

 

笹蔓間道と太子間道は以前ブログで写真を載せているはず。笹蔓間道はいろんなところで目にするのでそんなに珍しいものではないのだが、太子間道はまずお目にかかれない。ただ京都の和泉博山氏の工房で糸の染色から正確に復元されたものは写真で確か載せているはず。

今回「吉野間道」・・・

吉野間道は臙脂、白、茶、深緑、などの細い縞で囲まれた太い縦縞と真田紐状に織り出されている浮き織横縞を組み合わせたものといわれていて、時には格子模様もあるのだが、立体的な縞模様が特徴。

吉野間道を糸の染から草木染に拘り再現しようとされている方の帯があったのでそれをお見せすることにする。これは私好みの実に渋いものなので見ていて面白くはないだろうが、独特のこの織の雰囲気だけは伝わるのではないか、と思う。

 

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使われている染料は

「鬼胡桃」「揚梅(やまもも)」・・・白茶、茶

「矢車附子(やしゃぶし)」・・・茶も黒

「藍」「臭木」・・・青、水色

 

   ↑  このあたりの材料と媒染剤で色がどう変化するかも抑えておくべし

  これに臙脂などが入ると随分鮮やかになるだろう。又赤系や紫系を糸に入れたかったら、動物染料であるコチニールなどを使うと鮮やかな色が可能となる。

二級を受けるときには苦手かもしれないけど草木染の種類や媒染剤は絶対目を通しておくべき。もし二級で役に立たない出題傾向でも一級では必須。頑張って損なことはない。

 

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ちょっと分かりにくいかもしれないが真田紐状の縦横の浮き織がわかるかな

これがこの間道の特徴。

 

 

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実際お太鼓になる部分はこんな感じかな。

ただ糸も紬糸だし間道という柄からしてもこの帯は格の高いものにはならない。

ただ名物裂なのでちょっとしたお茶席にはOK。

私は江戸小紋と合わせて着る。

帯で着る。

 

黒も完全な黒ではなく、墨色に近い。そこがまたいい。

草木染は何度も何度も糸を染めて色を濃くしていくのでものすごく手間がかかる。でもそれだからこその奥行きの深い味わいがある。化学染料の黒とは一味違う。昔の方々は蚕を飼い、糸を紡ぎ、こうやって身近な植物を使って草木を煮出して、糸を染めてそして一織一織、夜なべ仕事にして織っていったに違いない。

経糸緯糸の織り成す無限の空間・・・

かすかにに感じる歴史の香り・・・

人の手作業で作られたものはどこか暖かい・・・

 

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千利休、今井宋薫、古田織部小堀遠州、更に松平不昧・・・

そう、松平不昧はこの吉野間道の写しを自ら中国に注文したことでも有名。

その美しさに魅せられた茶人たちをちょっと忍んで今回は「間道」について、中でも「吉野間道」を書いてみた。ではでは・・またね。

次はいつになるんだか・・・(笑)

 

と終わるはずだったのに、一つ書き忘れていたことに気づいた。

吉野太夫と灰屋紹益との間には色んな逸話がある。本当だか、作られたものだか、今ではわからないでとても多いのでなるべく脱線しないように書いたので(信じられないだろうけど、本当 !! )面白い話もいっぱいあったのだが、今回は着物優先。間道優先。そう思って横道を横目にまっしぐらに進んできた…進んできたけれどこれだけは最後に書かせて。

吉野太夫は三十代後半に亡くなった。灰屋紹益は吉野太夫より確か四つか五つ下だった。遺体を荼毘に付し全て灰にした。そして壺に入れ身近に何時も置いていたとか。そして毎晩飲む酒の盃にその灰を少しづつ混ぜながら飲んだと。最後にはすべて灰を飲み切ったというのを何かで読んだことがある。灰屋紹益の「灰屋」ならではだと妙に印象に残っている。

 

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ヒヨドリの幼鳥・・母を探して鳴く?