和装組曲♪

・・着付け教室、琵琶演奏、能面制作などに勤しむ日々のあれこれをグダグダと綴ります・・

鰊来たかとカモメに聞けば〜♪♪♪

鰊の柄は未だ着物や帯に見ていないが、
北海道のヤンシュウの筒袖(ツッポ)の半纏の背中には
逆巻く波、カモメとともにでっかく描かれているやもしれぬ。

昨日夕方、近所のおばあちゃんが除雪をしている私の傍を通りかかり・・
「ねえさん、ミガキニシン食べんかね?」と新聞紙にくるまれた四本をくれた。
この年でも「ねえさん」と呼んでくれるのは私がお嫁に来た時から知っているような方だけ。(笑)
多分、八十、九十でも「ねえさん・・おるけ??」と訪ねてきてくれるはず。
生きていれば・・私もだけど、その方も。

で・・四本、数が半端なことはさておき米のとぎ汁で一晩つけておき今日は朝から柔らかくなるように煮た。
私はみがきニシンは「身欠ニシン」と書くが本当はどうなのか正しくは知らぬ。
「ニシン」も「鰊」とも「鯡」とも書く不思議な魚。

    ニシン来たかとカモメに聞けば〜♪

    わたしゃ立つ鳥、波に聞け〜チョイ〜♪

    やさエンヤー〜・・・・

まさに春告魚。春になったら店頭に並ぶ。
ちなみに春告鳥は鶯(うぐいす)。
だったら春告木は梅?と思うが何処にもその記載はない。
今の時期は干しニシンである身欠きニシン。
干して保存できる魚は、雪に埋もれた時代には貴重なタンパク源だったに違いない。
小さな時によく食べた記憶がある。

今回、その時代が懐かしくなり冷蔵庫にあるものや買い置きの野菜を使って煮る事に。
今日は五色の食材を使う。
ニシンと煮るのはどういうわけかジャガイモが一番相性が良い。

適当に切ってニシン、エンドウを除き皆鍋にいれる。
味を取るのは日高昆布、塩としょうゆだけ。砂糖などは使わぬ。
あくまでもダイナミックに。姑息な味付けは不要。だから昆布はケチってはならぬ。

お正月に神社で頂いた小さなお神酒を一本神棚から持ってきて全部鍋に入れる。
「え〜??一本全部??」という人に・・
ちょっと残したら余計始末に悪い。
思い切ることは人生の必須条件。
何かを手に入れようと思ったら、持っている何かを手放さないとね。
(例えがちょいと違う気もするがあまり考えないこの性分)
気合とともに入れる。「エイッ!!やあーっ!!」それほどのものでもないか(笑)
味を調えてから最後にニシンを上にのせ唐辛子を入れる。
さっと味を絡ませている間に器を用意。







ちなみに


輪島塗の器の模様は「桜楓(おうふう)模様」。
「桜」と「楓」を一緒に描いてあり春でも秋でも一年中使用できる。
着物の柄が工芸品にも通ずる。

違うブログに来た・・とずっと思っていた方、和装組曲のブログだと・・きっとここで分かってもらえるはず。




湯気でカメラが若干曇る。ご容赦を。

じつはミガキニシンはものすごく脂がある。
生で煮る以上に好き嫌いがあるかも。
「蕪寿し」には「蕪と鰤」を使うが、金沢では「大根と鰊」を使って「蕪寿し」と同じように作る「大根寿し」なる漬物もある。麹でつけるので県外客など好き嫌いもあるし、進物にすると食べられないと捨てる方もいるとか。かなり癖が強いといえる。

一旦カラッカラに干してあるニシン、灰汁を除いて柔らかくするにはお米のとぎ汁で一晩つけると良い。ニシンだけ甘辛く煮てもお弁当のおかずにおいしい。
昔母親がよく作ってくれたし、私も息子たちに作ったものだ。
柔らかくするためと脂を取るためにそれこそ何度も水を替え、煮るのだがそれでも駄目な人は食べられないというちょっと癖のある魚。

皿に小さな三切れしかニシンがのってないが、たりないのでは??と思ってみている方へ。
心配ご無用。三切れで胸がむかーっとなるはず。
寒い地方の方、こんな魚を食べないとヌクヌクならないのね〜と思ってしまう凄い脂。
生のニシンを焼いた方がまだしも食べれるかも。

ワインや日本酒でもいいが、焼酎の方がいい。←好き嫌いのある方色々試してくだされ。
ワインや日本酒の上品さはニシンの癖に負けてしまう。
強烈な魚のときは強烈なお酒で・・・



ちなみに「押忍」のこの焼酎。いわくつきの限定品。
極真空手をしていた方・・うなずけていただけるかと。
他の方は単にスルーしてね。
お酒の下に敷いているのは「麻葉模様」綿の古布。

昨日近所のおばあちゃんに頂いた身欠きニシンがあったのでちょいと遊んでみた。
着物の柄を楽しみにしていた方、堪忍やで・・・又。。。。。