襦袢の色で時々出てくるのが「もみ」
「紅絹」と書く。
恋の一雨ぬれまさり
ぬれてこひしき夢の間や
染めてぞ燃ゆる紅絹うらの
雨に悩める足まとひ
島崎藤村『傘のうち』
汗や摩擦で色落ちしやすいため今ではすっかり化学染料。
この「紅絹」の色はウコンなどで一度黄色に染めた後、紅花で濃く染めた色。
「もみ」といういい方は貴重な紅花を包んだ袋をもんで出色したためとか・・。
紅花は平安時代、貴族のみの使用で一般には禁止されていた禁色(きんじき)の一つ。
この禁色(きんじき)に対して庶民にも許された色が許色(ゆるしいろ)。
同じ紅花染でもあまり紅花を使用しない薄紅色などがそれ。
濃い紫はダメでもうすーい薄紫は許色。
野菊の墓(伊藤左千夫)の民子が握っていた、政夫の写真と手紙を包んだ布の色がこの紅絹の色。ロマンの色かも。
私的には光源氏が秘かな思いを伝えるために書いた紙の色で誰が見ても注意をひかないような渋い「胡桃色」の方がひっそりと上品で好ましい・・と。