和装組曲♪

・・着付け教室、琵琶演奏、能面制作などに勤しむ日々のあれこれをグダグダと綴ります・・

拘りの黒い振袖

最近痛感している事・・・それは私にはプライドが無い・・という事。

いやいや、物凄くあるでしょう?

と反論する友達もいる。

いや・・・無い。多分一般の人よりも無い。・・・と思う。

ただ拘りは強い。人一倍強いに違いない。

特に着物。

実に普通の方が拘る比ではない気がする。

見えるところは勿論、見えない所まで拘る。

そこまで拘る? という位拘る。

何故かは分からない。

実際洋服にはそこまでの拘りはない。

その辺にあるものを適当に着ているだけの気がする。

 

先日、振袖で物凄く拘った人が作らせた振袖を見る機会があった。

今日はその話・・・・

 

黒い振袖は決して珍しくはない。

色んな色の着物が集まっても黒という色は割とはっきりと目立つので成人式でも見かける。

しかし、問題はその黒の分量である。振袖の役目上、裾や袖に華やかな模様が氾濫しているのが普通である。しかし今回の振袖、黒の分量がとてつもなく多い。

後ろ

これは拘ってわざわざ作られたものに違いない。

で・・・色々話を聞いてみた。

この方のお母さんのご両親が娘の成人式の時に注文して作られたものらしい。

黒の縮緬地の反物に刺繡をして貰ったものとか。

実にひっそりしている。

大きさと言い、使用された糸の色使いと言い細かく注文したに違いない。

 

 

女性は十二単であるが引腰など付けていない。

男性も烏帽子に狩衣姿の気軽な服装である。

間に源氏車がある。

袖には花扇が二扇。

左袖にはあるが右袖は黒のみ。

 

今時中々こんな拘りの振袖は見ない。

しかも、袖は結婚して切ってしまえば付け下げになるように柄付けされている。

格好いい。背中には花紋も大きくつけられていて後ろから見ても華やかさもある。

 

帯が着物と少し違和感があり聞いてみた。

「自分の時は余りに帯が重かったので、娘には軽い帯を買いました。」と。

なるほど。最近の帯である。

これは聞いてはいないのだが、私ならこの振袖に黒地に金の唐織の帯を合わせただろう。多分そんな帯だったのではないか。ただ昔の帯は重い。帯の芯も今のように絹ではなく綿を使い汗や湿度を吸い帯の痛みを避けていたはず。ひょっとしたら丸帯だったかもしれない。確かに重かったに違いない。

一日着ていたら物凄く疲れるに違いない。

 

 

 

触らせてもらい、着せ付けさせてもらい目の保養。

刺繍の出来も物凄く美しく、前の縫い目を見ても美しく吟味して作られたものだと分かる。

帯結びは 横から見たら、十二単の裾の襞をイメージして、

又真上から見たら、袖の花扇のデザインをイメージして結ばせて頂いた。

真上からの形に拘ったのは、この日のおめでたい席で料亭の和室に座ることをイメージして、真上から見る姿に拘った。真後ろからの写真ではちょっと形が分かりづらいのだが。

残念ながら私は出来上がりの写真を撮らなかったので、帯を真上から撮った写真はない。どの写真もこの方の撮られた写真を使わせていただいた。勿論ブログに載せることを了解していただいたのは言うまでもない。

 

 

 

そして・・・・

この日の夜、寝る時に色々考えてみた。

この図は源氏車を挟んで、深草の少将と小野小町の物語だともいえる。

命を懸けた恋!!!

 

    百夜のしぢの端書の

       君の情けは思えども 関の柵固うして・・・

 

琵琶曲「横笛」を口ずさんでいた。

正に・・それ。

普通の黒の反物二反を使って振袖にしたに違いないことを思うと、振袖を取ったあとに残った生地で黒い八掛が取れたはず・・・

もしそうしたら、私なら八掛にはどんな刺繍を施したろうか・・・

ずっと何を刺繍したら、ドンピシャとくるか・・・・

長い時間楽しんだ。

ありがとう。。。

 

で?

結局何にするか?

・・・・もう、これしかない。

長い~恋文  

それしかない。でしょ???

着物って、やっぱり楽しい,ね♪♪♪

作る人によってどういう風にでもストーリーが出来る。

 

 

乙女椿



      【6月の琵琶演奏会のご案内】

 

京都で演奏会します。

和泉先生、inuwanさん、南海さん、エメ姐さん、丹後の郁ちゃん・・・

待っててください。

のほちゃん・・・ちょっと遠いかな?

会えるといいなあ。

次回のブログで詳細をお伝え致します。

お待ちください。

できれば6月24日空けておいてください。