和装組曲♪

・・着付け教室、琵琶演奏、能面制作などに勤しむ日々のあれこれをグダグダと綴ります・・

五月のしつらえ

「花残月」もあと四・五日もすれば終わり・・・


と、いうのに昨日、今日の金沢・・霰はふるわ、雷はなるわ、どうしちゃったの?という天気。
で・・・気分一新・・
設えを変えた。
五月の為に兜をだした。


この兜、源義経の兜をかたどったもの。
笹竜胆でおわかりいただけるかと。


爽やかな香炉もだした。



この香炉は私の大好きな作家さんのもの。
時期的には少し早いかなあ・・・と迷う。でも、まっ、いいか〜。
何が好きかと言うと縦と横の対比の割合がどういうわけが自分の好みと一致する。

こういう対比のものは案外、台がない。台がないと締まらない。
この香炉も台がなかった。だいたい(ここは笑っていただけたら・・・)、香炉や花器にぴったりの台は中々ない。
小さいものは何とか有るもので済ませれるがこれはちょっと長さがある分、手持ちのものでは如何ともしがたい。

自分で探すしかない。この作家さんは縦と横の対比がいつもものすごくよい。
なんというか・・・どの角度から見ても美しいと感じる割合なのである。しかも斬新な対比でもある。と、いってもそれは私にとってだが。
で・・当然丁度良い台はまずない。真塗りの台がないとちょっと締まらない。

この方の個展にいってそれで随分迷う。
台のないものをもらってもなあ・・・と。
迷う私に、この方、「じゃあ、作りましょう」と。
二人でその香炉の下に段ボールを当てて、そこは短いとか、こっちが長いとか、・・・それれだけ長いと美しいが置く場所がないとか。
台の長さも一応決まったが、じゃあそれからどうするか・・。
この方の友人の輪島塗の職人さんにぴったりはまる台を作っていただいた。
勿論出来上がるまでに一年近い歳月がかかるのだ。何度も何度も塗り、乾燥させ・・を繰り返さないといけない。

今から十年以上、もっと前の話〜

勿論アカショウビンらしき鳥もよい。
バックの楓らしき葉の色合いも書き方も素晴らしい〜
九谷焼でこんな色の木の葉を描く人はその時まだいなかった。
なんとも爽やかで全てが美しい〜と。
そんなことを思いながら・・・

外では雷、雨・・
好きなだけ雷鳴らば鳴れ〜、雨も降れば降れ〜


昨日いらした生徒さんからの質問。

まず一つ、このブログを読んでいるけれどもコメントに書き込んでいいものか・・・というご質問。
大歓迎だ。このブログで書いていることに関して直接またはメールでのお問い合わせ多いが私にすればコメントに書き込んでいただけた方が有りがたい。
私の書き方が悪かったり、紛らわしい使い方をしたりと自己反省もできるし、同じ疑問を持っている方にもここで訂正や修正ができるので。
「是非、遠慮せずに」という私に「はてなブログの方って何だか凄い方ばかりでちょっと気おくれ」とのこと。
何を遠慮することがありますかいな。何でも聞いてくだされ。人は人。
私なんぞよそのブログで「基本中の基本」や「最低限の常識」すらないことを何度も露呈するような質問一杯してばか丸出しさ〜・・・と。
知らないことはそんなに恥ずかしいことやない。知らないことを知っているふりをするのはそれこそ恥ずかしいでしょ。
「こんなこと聞いてはずかしいわ〜」と思わず「これこそ良い機会」となんでも聞いてくだされ。

二つ目。一般の方からの一昨日メールでの質問。
前回のホワイトボードで予約されている方の着物は何?というご質問。
4月15日のお稽古の写真を出したがお母さんの着物としか紹介しなかった。
で、お答え。




これはつけ下げです。
模様が全て上向きになっている。衽と前身ごろのところは良く見ると柄がつながっているようにも見えなくもないが襟と左胸、袖までは柄が合わせてはない。「訪問着」とまでは言えない。「つけ下げ」もしくは「つけ下げ訪問着風」あたり。

ちなみに

4月24日の雨の降る朝・・・

この日は四回目のお教室で彼女は自分で家からこの着物を着てこられた。
「足もとの悪い時に着物できたの?」と聞くと
「自分で着れるようになって嬉しかったのと、雨の日も一つの練習かと思って」と。

ついでと言っては何だが、後ろのお太鼓だが、良く見てくだされ。


赤、黒、白、金で斬新な柄行きだが決して下品でも主張しすぎるでもない。
この方の結んだお太鼓とたれの柄が見事に一致しているのがお分かり頂けるだろうか。
本来帯は後ろでも柄が一致するような寸法で作られているのだ。
ただ自分で結ぶと鏡でも見ない限りは中々ここまで一致できない。

「まぐれです」と。
確かに・・・まぐれかもしれない。
でも何も考えなくて基本どおりに結べばこうなる・・・という見本。

この着物と帯・・・
この方のお母さんがこの方を出産され病院から退院された時にこの着物と帯を着たとのこと。
二十年、三十年と言う長い年月(この方の年齢を私は知らない)、親も大変だったと思うが、親の前でチャッチャッと同じ着物を着る娘・・・まさに感無量だったに違いない。
この日は二十分で着れましたとのこと。
「お父さんには着物姿見せた?」と聞く私に
「カメラ・・カメラ・・・と探しに行って、一杯写真撮っていました」と。
お父さんの嬉しい気持ちまでも伝わってきた。

お母さんのこの着物、この帯をどうしても着たい・・・と初回に言ったこの方の優しさもしっかり伝わってきましたよ。
「色々ありがとうございます」
と畳に手をついてお辞儀されたが
「私の方こそ、心温まるお話、ありがとうございます。お役に立てて嬉しいです。」
と私も深深とお辞儀する。

和装組曲はなんて素敵な所〜☆・・・自画自賛の極み・・・・(笑)・・・

人が褒めてくれるのを待っていてもらちがあかぬ。。。。