和装組曲♪

・・着付け教室、琵琶演奏、能面制作などに勤しむ日々のあれこれをグダグダと綴ります・・

隠れ蓑〜☆


        「隠れ蓑」(かくれみの)

今日は「隠れ蓑」について。
政治家の副業や、資金団体の話とは全く関係ない。

昨日金沢市内を車で移動中に見た、「○○探偵事務所」なる大看板。
ふ〜〜ん・・・今時まだあるのだ、こんな仕事、と思いつつ通過した。
探偵事務所からの発想にすぎぬ。
浮気調査、素行調査、はたまた尾行調査・・
いつの時代も男なるもの・・・否、現在は女もかも・・などと思い運転していた。

「隠れ蓑」・・それを着ると姿が見えなくなる・・という昔話がある。
そんなもの、誰が欲しい??  と思う私。
いりゃあせんがな・・・
いやいや、昔は「宝物」として考えられていた。

「宝尽くし」の一つ。
宝尽くしとは宝物を並べた縁起の良い吉祥文様。
中国の思想、八宝や雑八宝の思想からくる。
八宝・・輪宝、宝瓶、金魚、宝傘、法螺、白蓋、蓮華、盤長
雑宝・・珊瑚、丁子、方勝、七宝、角杯、火焔宝珠、銀錠、嫌勝銭


このあたりは知らなくていいのだが、仏教経典からくる吉祥文様。
これらが日本に入ってきて日本独自の吉祥文様に変化していき
打ち出の小づちとか、隠れ笠、隠れ蓑、金のうなどその中に入れられて文様化していつた。


着物や帯の模様として単独でも松竹梅などと合わせたりして使う。
上の写真は私の九寸名古屋帯。雪輪と合わせて刺繍の宝尽くし。
お正月あたりから一月の間使っている。

そのうちの一つに「隠れ蓑」がある。


ふらふらとした南国系のこしみのに見えるのが「隠れ蓑」。
参考までに・・「隠れ笠」もアップしておく。

昔は隠れ蓑、隠れ笠・・・この二つが男性諸氏の宝物ナンバー1だったに違いない。
女性は金が一杯入っている「金のう」とか宝物が詰まっている蔵の鍵「方やく」あたりがお好みかと。
(女はいつも現実的!!どんな時も力強く生きていく時にはとっても必要なことさ〜)

隠れ蓑の写真のそばにあるのは人参?大根?ゴボウ??という質問があるはず。
私が昔、そう思ったから。
先にこたえておく。
それは「丁子」のつもりかと。
今でいうスパイスのクローブ
薬用、香料、染料、油など平安時代渡来した中でもものすごく少なく貴重だったため、宝物の仲間入りしたよう。
温泉旅館などで浴衣とともに足袋が用意されているが、ちょっと値の張る高級旅館は足袋に「丁子足袋」とか「丁子染め」とか書いてある。
染料の一つなので「丁子色」なる色の一つでもある。
明るく渋い橙色・・もしくは少し赤身のあるベージュ色というとわかりやすい。

源氏物語にとても頻繁に出てくる。平安貴族に愛された色。
濃い色は丁子色といいこれが薄くなると香色となる。
江戸時代には薄茶とよばれた。

   薄茶色を眺めているとやはり赤味がかって見えてくる
   口紅があせたような色
   紅バラが枯れしぼんだ色
   血が古びたような色

  これは「千羽鶴」の中で川端康成が菊治に語らす文・・
   

ちなみに・・・もうひとつ。
今朝10センチ以上雪が降り、我が家の木々も雪化粧。
これは今朝の「かくれみの」。庭木にもある、この名前。
5〜6mになる。日陰でも平気で育つ。我が家の「かくれみの」
これだけ雪をかぶると「雪持ちかくれみの」さながら。

葉は卵型で厚く光沢があり、三裂、五裂のものがある。
柏餅の葉っぱに似ている。それもそのはず「ミツナカシワ」ともいう。
木の幹が細くて華奢だが葉が大きいので窓際に植えると家の中が見えない。
で、トイレの外、お風呂場の外に案外多く植えてある。
樹皮を傷つけて出る汁は黄漆といい家具塗料に使う。
時間も来た、今日はここまで・・・・
                   
                    おしまいさ〜・・・またね。