和装組曲♪

・・着付け教室、琵琶演奏、能面制作などに勤しむ日々のあれこれをグダグダと綴ります・・

早蕨

先端が拳状に巻いた早蕨文様の帯。
 
  「早蕨」の「早」は「さ」と呼ぶ。
  「早蕨」と書いて「さわらび」と呼ぶ。




  
帯の素材は結城紬。九寸名古屋。
早蕨の文様は手書き友禅。
「襲の色目」で言う「早蕨」は表は紫、裏は青。
勿論糸目糊は使用しなくて、直接の手書き。
人間国宝の作。
青い蕨と茶色の蕨・・そしてその兼ね合いがものすごく気に行った。

着物と合わせてみた。
藍の江戸小紋の柔らか物の着物と合わせるのがいつものパターンで無難。
今回はちょっと織の着物と合わせてみた。
格子の模様に織った着物地を半分だけ横に糸で絞りながら染めた着物。
この着物は帯の選び方で粋になる。
たとえば白い塩瀬の帯とか、濃いグリーン、黒などを持ってくると私にはちょっと無理やりの感がある。
粋な感じはちょい苦手な私。この早蕨の穏やかさが粋になり過ぎないように抑えてくれる。
若干織の着物と織の帯で固くなりすぎるようなきらいもあるが手書きの柄が助けてくれる。

小物は思い切って白。


春らしくしたかったのできっぱりした白の帯上げ、薄汚しの白の帯締めとした。
三月中ごろから末には桜の模様が着たくなる。それまでのしばらくの間しか着れぬ。

全部合わせたコーディネートは


こんな感じか・・・

色がなくて寂しいと思う方・・・
小物にクリーム色やピンク系なら優しくなる。青や緑だとちょっと通っぽいかも。
寒々しいと思う方・・・
半襟にはんなり色を。
私は根付けや帯止め、和装扇に色を使うかも。

蕨の文様は、たとえば綺麗なピンクや黄色、透き通る空色などどういう地色に持ってきても、地味な文様。
菊、桜、アヤメ・・なにと合わせても地味くさいと思う。年配の模様にしかならぬ模様だと思う。
ただそれを承知でシダ文様の着物に楽しむのも一興かと。


   石走る垂水の上の早蕨のもえいづる春になりにけるかも  (万葉集)