二日目、東京両国のホテルからの朝景色・・・
三日目、東京駅のホテルからの朝景色・・・
二日目も三日目も複雑な思いで眺めた東京の朝だった。
幾つか済ませたい用もあったし、行きたい所もあった。
また、久しぶりに会いたい人もいた。
今回は三日間とも着物で通した。
洋服は一枚もトランクには入れなかった。
そして、三日目はこんな服装で金沢に帰ってきた。
着物は毛万筋(けまんすじ)、遠目には無地に見える。
江戸小紋の中でも一番好きなもの。
近くで見ると極細い細い縞模様である。
分りやすいかと思い、電車の中で座って足を組んでいる所を上から写してみた。
膝元で模様が分ってもらえるはず。
足元は全くの無地に見える。
帯は焼き箔の変わり立涌(たてわく)の少し凝った帯にした。
小物の帯揚げは葡萄色と金泥でアクセントを持たせた。
帯締めは「これを締めて・・」と応援して下さる方から頂いたもの。
右に見える赤っぽい物は防水の琵琶ケースである。
送ると破損しやすいので全て琵琶を持っての移動でもあった。
なにはともあれ終わった。
無事と言うべきかもしれぬ。
大きな失敗や絶望的になるようなことはなかったのだから。
まずまずと喜ぶべきだろう。
しかし・・・・
今回の演奏で私自身が一つはっきりしたことがあった。
それは自分が物凄く卑怯だったことである。
私はとてつもない緊張感から身をかわしたのではないかと思う。
緊張感と最後までつきあえなかった。
調絃室や舞台袖の重圧から秘かに自分で自分を解き放してしまったような気がするのだ。
気持ちは違う所にいた。
臆病だったのだ。
金沢大会の時は最後まで緊張感を持続できた。
最後の最後の瞬間まで自分の気持ちにストイツクだった。
かなり無理かな、と思う走り高跳びを思いっきり跳んだ感じだった。
だから誰のどんな評価も不要であった。
自分が跳べたことを身を持って分ったから。
演奏が終わった瞬間物凄く心地よい開放感で身体も心も満ち満ちたものだった。
残念ながら、今回はその怖さからスルリとよけてしまった気がするのだ。
ぎりぎりの所でバーをスルリと下げたような気がする。
無様に転倒する事もバーをひっかけて尻もちつくこともなかったけれど自分が自分で気持に負けたことを感じてもいた。
これは同じ体験を持つ方には分って頂けると思う。
大きなどころか小さな失敗すらしなかった・・確かに。
でも満足感がない・・当たり前、乗り越えていないのだから。
単に終っただけ。そんな気持ちである。
これもまた勉強だな・・とホテルの朝日を見ながら思った。
今日から又新しい課題に挑み、修練が始まるのだ。
真摯に努力し励む、そして自分の技と心を何処までも磨いて行くのだ。
物を習うと言うことは有る意味、修行僧のようなものだな、そんなことを思いながら帰ってきた。
応援して下さった方々、ありがとうございました。
本当にまだまだ未熟で修業不足の雲龍柳です。
いつか、頑張ったと・・・あれ以上はできなかったと・・・
胸を張れるように今日一から鍛練です。
会場に来て頂いたブログ友の皆さん、
そして東京の知人、友人の方々、
金沢から来て頂いた琵琶仲間の皆さん、
お忙しいのにお時間を取って頂いたことを此処に感謝します。
全力で新たな課題に立ち向かっていける雲龍柳になれるよう頑張ります。
写真は「鱗柄」の和装扇。
魔除けのつもりでこの演奏会の日この扇子を選んだ。
期せずして演奏を終えてその夜泊まったホテルのベットカバーも「鱗」だった。
これからまた、琵琶に向けての精進が始まる・・・・