和装組曲♪

・・着付け教室、琵琶演奏、能面制作などに勤しむ日々のあれこれをグダグダと綴ります・・

裾(すそ)模様

江戸褄という模様配置がある。

江戸褄・・・と書いて「えどづま」とよぶ。
最近私のブログの漢字が読めず、読み方を調べているうちに時間がたつ、できれば振り仮名を・・という苦情&要望がメールであったので親切&誠実な私は要望にお応えすべく対応することにした。

で、もどる。江戸褄という模様のとり方・・・がある。

裾模様のバリエーションの一つで江戸後期から流行した。
裾から褄、襟にかけて斜めに模様を配したもの。
当時は裾を引いて着ていたので上前、下前・・つまり左右対象の柄行きとなる。
現代の黒留袖の原型となるが、現代は下前にはほとんど柄はない。衽裏(おくみうら)には若干模様は残る。それは歩く時見えるため。

左右対称の留袖があるので参考に

後ろでは模様はつながっていないが左右対称に配されているのが分かる。
ちなみに手書きなので左右の柄は微妙に違う。
































なおかつ面白いことに裏を見てほしい。
胴裏の羽二重が上に見えると思う。
裏なのに表と同じように左右対称に模様を配している。



お引きにして着ていたので表と同じくらい裏も大切に考え、
しかも左右同じように描いてある。
100年以上前の物なので裏生地の羽二重はかなり傷んでいる。
しかし色は顔料など使ってあるせいか鮮やかで色落ちは見られない。
裾には綿が入っていてどっしりと存在感がある。

面白いので参考になるかと。

柄に関して言えば、建物が青い屋根、柱が朱色なので中国の建物のようにも見える。
鶴が遊び松がここかしこ。
この留袖の模様は多分「蓬莱山」かと。
竹取物語にでてくる・・
  
    東の海に蓬莱という山あるなり・・

中国の伝説で東海中にあり仙人が住む山。不老不死の地とされる霊山。
日本ではさしずめ堀河百首の「よもぎがしま」。

   まことにや「よもぎがしま」に通ふらむ鶴に乗るてふ人に問はばや

ヨモギの「蓬」と「蓬莱」の「蓬」は同じ字。
一つ一つの柄がとても小さいので年配の方の物かと思う人が多いはず。
あにはからんや、結婚式の衣装だったようだ。
大振りそでになっていて袖にもこの模様が左右についていたのを
結婚して袖を短く切った。いわゆる「袖を短く留めた」ところから「留袖」。
留袖にできるようなところまでしか振りの模様はつけてなかったということ。


凄いね・・・日本人の知恵は。