和装組曲♪

・・着付け教室、琵琶演奏、能面制作などに勤しむ日々のあれこれをグダグダと綴ります・・

竹&雀

       「竹と雀」

舌切雀の話は「宇治拾遺物語」に出ていることでも竹林と雀は昔からなじみの深いものとして扱われてきたともいえる。竹は「竹取物語」からも分るように竹には神が宿るとか、神の使いが来るとか、また竹の節の中には金銀財宝が詰まるとか、縁起の良いものとして考えられていた。豊作は雀を暗示させ、ひいては雀は神の使いとしての存在でもあった。だから雀は季節を問わず年中使われる。春の時は雛として秋は稲穂と共に、冬はふっくらした福良雀として。

着物でも帯でも顔のあるもの、目のあるもの・・というのがどうも苦手の私。
一つも持っていない。欲しいとも思わない・・否、思わなかった。ところが・・

    

























何年も前に、あまりにも垢ぬけたシャープな雀と竹のデザインに後先も考えず思わず買ってしまった帯。買った後に知った。
今は亡き人間国宝の絵をデザインごと買った織元が帯にそのデザインを活かして制作した帯とのこと。ご存知の方も多かろうその人は、生涯弟子をとらなかったことで有名。
ここからは人に聞いた話。若い作家さんに花のデザインを見てくれ・・といわれ彼が見ると百合の絵がデザインブックに書かれてある・・・と、そこで聞く。

「季節は?時間は?どこのどんな山?方向は?大きな木の根元?斜面?地面?光の当たり方は?一体君は何時どこでこれを書いたのかね?この絵からは何も分らぬではないか!!」
と。本当かどうかも知らぬ。でもうなずける。それほど偉大な人であった。

絵は何ともいえず気品があった、だからといって友禅のデザインを帯に使い、友禅のようにそれを活かせるかどうかは帯の制作現場の話であり、プロデュースする人の責任。
だが・・しかし・・・残念ながら出来上がった帯は物凄くしめにくかった。
素材の地の糸が太くて締めた時にパシッと体に合わず何処かボコボコしてしまう。帯では色、柄もさることながら糸の細さが案外大切。細い糸で織られている帯は軽くて締めやすい。更にこの帯、芯も良くなかった。裏地とも表地とも合わず。更に仕立ても良くなくて、結局全部ほどいて芯を変え、裏地を変え、仕立て直しまでした。安くもなかったが更に高くついたというすこぶるお馬鹿&お粗末な私。綴帯として手織りで作った方がデザイン案外生きたかもしれぬと思うが、それもやってみないと分らぬ話。

さて、竹と雀というが家紋の場合は笹と雀が多い。あの上杉謙信が紋。
上杉家は天皇から頂いた菊や桐の紋も持っているが、笹と雀の紋を定紋としてとても大切にしてこよなく愛したとか。独眼竜正宗で知られる伊達正宗も「竹に雀」。正宗の何代か前に上杉家との養子縁組がありその時に上杉家からもらったもの。(養子縁組は実現しなかったのだが、流石に返せといわれなかったようだ。)

代々関東管領だった上杉氏の「笹と雀」の紋は関東の武士の憧れだったに違いない。
忠臣蔵でこの雀の紋が出てくる。吉良上野介に加勢する上杉勢はこの紋。ちなみに吉良上野介は「丸の中に二つ引き」、足利氏の流れをくむ由緒のある家系なのだろう。浅野内匠頭は「浅野鷹の羽」(普通の違い鷹羽と少し違う)。大石内蔵助は「右二つ巴」、打ち入りの時兜の前に付けているあの火の玉二つのようなのがそれ。話がドンドンそれていく、もどすね。
もらった紋はそれぞれ少しずつ変化させて自分の家独自の紋に変化させていったらしい。
その変化の付け方も一定のやり方があったらしいが詳しくは知らぬ。
「えっ??」何故上杉の話にまで行くのか?
だって上杉謙信は「越後の龍」といわれていたでしょ?!
何としてもここまで持って来たかった・・・・今年の干支・・単にそれだけ。

    【p.s】ちなみに武田信玄は?
         上杉謙信が「越後の龍」なら武田信玄は「甲斐の虎」。
         定紋はあの有名な「武田菱」
         お婆がお絵かき帳で初めて書いたあのたどたどしい四菱さあ〜。

【今だから言う裏話】 
武田菱のあのたどたどしい話で思い出した。      
「お絵かき帳」なるものを初めて使って悪戦苦闘した時の最初の絵の時。
「何とかもうチョイましな物を書けんのかね??」といわれた。何人にも。(笑↑)
「もう少し上手になってからアップしろやあ!!」とも。メールまで来た。(シュン↓)
ありがたい、友達ならこそである。
でも内心「なんとでも言いいなされ」とも思っていた。

何でも初めての時がある。失敗もするし下手くそな時もある。
下手なことが恥ずかしいなんて思ったことがあまりない、今まで。
下手なくせに上手に見せようというのが良くない。何時までも上手にならないとも言える。
下手なりに一生懸命することに意義があるのだ・・・と。
着物を着るのも一緒。着物雑誌に出てくるような皺ひとつなくピシッと着ようと思うから何時までも着られないのや。いざという時、美容院に走るのや。ここぞと云う時、人の手にゆだねてしまう。お金で解決してしまう。これでは何時まで経ってもうまくは着られへんで。着くずれも直せへん。
いいのや・・下手でも。着くずれても。何でも最初はある。そのまま受け止めればいい。
それが今の自分。ありのままの姿。でも明日はもっと上手になろう。来月は更に上手になろう。←あすなろ・・の木やな。ちなみに「あすなろ」は石川県の県木。
そして積み重ねていくのや。
自分でしよう、着よう、やってみようが大切なんよ。
そうこうしているうちに嫌でも、ほんとに嫌でも上手になる。そんでええのや。
何でも一足飛びはないのや。着物着るのが下手でもええのんよ〜♪。
一緒にやっていこう〜♪。楽しんでいこう〜♪。自分で着るという気持ちが大切やねん。
そして上手になる過程が楽しいの〜。

      雀の話がいつの間にか、秘かな・・お婆の主張になってもた。
         (どこが秘かやねん・・・一人つっこみを入れる・・・笑・・)

このお婆、放し飼いにしておいたら何時までもどこまでも話を続けていくで〜
今日はちょいとPRまでさしてもろた〜☆☆☆
まあ、誰もこんな長い文、最後まで読みはせんがな。(笑)
この辺で終わりにせねば。では・・・では・・・。