和装組曲♪

・・着付け教室、琵琶演奏、能面制作などに勤しむ日々のあれこれをグダグダと綴ります・・

船弁慶

今日は落語・・・の話。

以前夜眠るとき時々落語を聞いていた。
「聞いていた」と言うのは今は琵琶を聞く方が多いので落語はあくまで過去形。

その落語に船弁慶というのがある。
ざっくりとあらすじをいうと・・・・

喜六とお松は夫婦(名前が違っていたらごめんなされ〜)であるがお松は「雷お松」という二つ名を持つ、ものすごく強い女房である。ある時友達に誘われ喜六は船遊びにでかける。お松には喧嘩の仲裁にいくというていのいい嘘までついて。

喜六は船遊びに興じて酒を飲み過ぎていつものおとなしさは何処へやら。めっぽう羽目をはずして騒ぐこと、騒ぐこと。そこへ友達と偶然通り合わせたお松。騒ぐ男が自分の旦那とわかり血相を変えて船に乗り込む。ところが喜六は酒が入って気が大きくなっている。勢い余って女房を川に投げ込んでしまう。さあ・・・大変。一同息を飲む。なにせお松は雷お松。

浅いながらも川からびしょぬれ、ざんばら髪でやおら立ちあがったお松・・・・おもむろに言う。

「そもそも・・・われは・・・桓武天皇の九代の後胤、平知盛の幽霊なり・・・」と。

其の時すかさず喜六は数珠を手繰り寄せる真似をし弁慶になり済ます。
五大明王の御名に掛け一心に祈る信力・・・東方大威徳・・・」と経を読む。

歌舞伎の船弁慶の知盛と弁慶の俄芝居を喜六とお松が川と船の上で繰り広げる・・・という話。





かつてこの落語を聞いた時に噺家の話術の巧みさだけで笑って聞いていたのだが、何がどう面白いのかさえも分らなかった。一同どっと笑う声がCDに響き渡るのだが、「船弁慶」の能も歌舞伎も知らなかった私にはちょっと今一つ理解できなかった。



今、琵琶で「船弁慶」を弾いている。で少し背景を勉強していた。
・・・納得。あ・あ・・・あの時のお松と喜六のにわか仕立ての芝居はこういう背景があったのだと。
凄いね・・・古典落語を聞くときにはいろんな知識や文芸に通じていないと中々可笑しさの真髄まで届かないし楽しめないのだ。昔は能や歌舞伎が庶民の物として身近だったのだろう。落語のなかにスッと入り、一瞬にして理解してもらうにはそうとしか考えられない。今普通にこの落語を聞いてすんなり理解できる方々がそれほど多いだろうか…そんなことを考えて今回は思い切って落語の話となった。

折角なので船弁慶の簡単な説明も。
興味のある方、読んで下され。

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船弁慶平家物語吾妻鏡源平盛衰記などに取材した能楽作品。
登場人物は 義経、弁慶、静御前平知盛(幽霊)

平知盛とは壇ノ浦の戦いで自ら入水した清盛の子。

作品は前半と後半と二部仕立て(能や歌舞伎では三部構成もある)
前半は弁慶の進言により義経と静の悲しい別れのシーン
別れて一人都に帰ることを中々承知しない静だったが、やがて又会う時まで命を惜しんで生きましょう、と舞を舞う。切々と皆の涙を誘うシーンである。
後半は弁慶や義経の乗る船に六甲から烈しい風が吹き付け沖合にドンドン流されていく。
そして海上から平知盛の幽霊が現れ海の中に義経たちを連れ込もうとする劇的なシーン。



全く違う内容の二部構成だが前半部分の静かな切々たる別れ、と後半の亡霊との烈しいせめぎ合い、最後に弁慶のお経に拠り亡霊は消え去る激しい攻防と静と動の世界の展開となる。

能では前半は静がシテ、後半は知盛がシテ
ちなみにどちらも弁慶がワキとなる。
私の茨木のあとの琵琶曲はこの能の船弁慶から題材にした琵琶曲である。
義経と静の別れは実はこれが最後となりもう会うことはできないのだが、この別れのシーンは哀切な別れとなる。男女の悲恋はちょっと苦手。知盛との攻防は激しい琵琶の崩れという烈しい撥さばきが入るのでこれも又凄い苦手。(笑)
得意なところのない琵琶曲となる。一年かけて頑張りまっす。

厳しい一年になりそうです〜・・・(汗)




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写真は上から

     ・ニンニクの色づいた花(前回のブログでは色づく前の花)
     ・アオサギ
     ・カルガモ
     ・双子の夏ツバキ
     ・琵琶ならぬ枇杷
     ・ヒヨドリ(口に持っているのは枇杷の実)
     ・ムクドリ
     ・ツバメ

      ヒヨドリムクドリもツバメもまだ幼さが残る雰囲気。
      巣立ちしてまだ間もない様相〜。。。