暑い中を慌ただしく過ごしていた。
特にこの一週間はめまぐるしかった。
端折りながら少しずつ書いてみる。
●「いろは会」テーマは「秋の気配」
前回の時は大雨の土砂災害で関西地方から参加する方が急遽欠席。
今回その方が再度の挑戦。しかしながら台風20号の影響でサンダーバートのみならず山陽新幹線まで運休となった。
何とか前日復旧し金沢に来られたことに流石に「ホッ〜!!!」
何とかいろは会を開けたことは有難い。
京都からの参加者は九月・・・と言う事だったのでそれはそれで又楽しみである。
まずはこの方・・帯を白ではなく茶色を選ばれたのと、模様がどことなく秋風のようにも感じられる。この方は「秋」ではなく、あくまで「気配」という言葉に拘られたようだ。
次の方は帯に強烈なレモンイエローを持ってきた。
何処か夏の太陽のような明るさや、向日葵をイメージ。
でも着物は何処となしに秋の色を感じさせる涼し気なサマーウール。
大胆だがワクワクするような楽しい組み合わせ。
黄色と言う色はとても若さを印象付けてくれそうだ。
濃い紫色は透け感が強いのだが、まだまだ残暑が強いので目に涼感。
ざっくりとした組帯を合わせて落ち着いた雰囲気。
しかし今回何といってもこの方がダントツ私の目を引いた。
・・爽やかで美しいチョイス・・・
絽の秋草のひっそりとした小紋に帯、アップで取らせていただいた。
写真ではちょっと分かり辛いのだが草の上にコオロギらしき虫の姿
お母さんのタンスから拝借とのこと。一見地味な色合いや柄でも季節の移ろいを表すにはとてもナイスな選択かと思う。
嫌味のない爽やかな趣である。
前回の浴衣「天城越え」から一転、同じ人とは思えぬ清涼感。
さてさて・・・その後は各自銀座結びに挑戦してもらった。
お一人だけ私がトロトロ話していたために写真を取り損ねてしまった。
帯の張りや、柄、雰囲気、着物との相性などもあり、銀座結びがしっくりきたり、こなかったり・・・各自の今後の課題になりそう。。。
私はグレー地の薄の柄の変わり絽の着物に、透け感の有る墨色の帯をしたのだが、話すことに夢中になり自分の着物姿を撮るのを失念。あしからず。次のとき必ず・・・
● 琵琶「祇園精舎」
いろは会の翌日は夏休み中の子供たちに琵琶の音色を利かせてあげたいと企画された方からの依頼。
ピアノや声楽の発表会で祇園精舎を弾いてきた。
何せ、三分半程度の演奏なのでどの程度分かってもらえるか・・
いやいや分かってもらえなくても大人になった時にこの時の記憶がちょっとでもあるとそれはそれでいいかな、という気持ちだった。
午前中から出かけリハーサル、最後の方に演奏なので帰ってきたのが夜だった。
演奏時間のわりに何だか物凄く疲れた日だった。
やはり慣れないことをするものではないかもしれない。
ただ何人かの方に
「もっとキチンと聞いてみたい」
と言われたのは物凄く嬉しかった、少しは琵琶に貢献できたかな・・
● 鹿島神社「鳴和の滝」
話に登ったのが一年半前。
やっと実現。
能「安宅」や歌舞伎「勧進帳」で有名な弁慶と富樫氏とのやり取りで何とか安宅関を抜け出た義経一行の話はどなたもご存知だと思う。
その後義経、弁慶一行は金沢の大野湊神社で一息つくのである。弁慶だけは白山市に当時あった富樫氏の館に出向き、義経だと分かっていたのに関所を通してくれた富樫氏に礼を言いに行く。そして「一夜の宮」と現在でも残っている大野湊神社で義経一行は一晩過ごすのである。次の日一行は連れ立って金沢鳴和の神社で休憩する。その時富樫氏が馬を走らせ義経一行に追いつくのである。一緒に酒を酌み交わしたとか、鳴和の滝の水を酌み交わしたとか色々説はあるようである。現在ではか細く流れ落ちる水であるのだが、当時はきっと勢いよく流れていたに違いない。この場所で現在でも滝に打たれに来る方もいるようであると地元の方々から聞く。
今回、この鹿島神社のお祭りの日に合わせて琵琶の演奏となった。
演奏くださったのが、この日東京から駆けつけてくださった錦心流全国一水会会長と四人のお弟子さん方。
「勧進帳」を高らかに謡って頂いたのだが、ほかには「西郷隆盛」や金沢支部長による「五條橋」など。
迫力ある歌声に会場はしーんと水を打ったように静まり返る。
多分氏子の皆さんは琵琶など聞かれた事など今まであまりないのに違いない。
感動と感謝の言葉を背に次の宴会場へと走る。(笑)
私はと言えば、この性格・・・
そりゃあ、静かに控えめに、黒子のように・・・くノ一忍者のように・・・陰で動いておりました。(嘘)
● 能面「中将」の進み具合
何とはなしに進んできたので今は口を鋸で開け、唇と歯を六本作った。
今は鼻に穴をあけて裏まで関通。今その穴の形を整えているところ。
● 最近読んだ本
尾形光琳(仲町啓子) JAKUCHU若冲(狩野博幸) 不運と思うな(伊集院静)
本が好き、悪口言うのはもっと好き(高島俊男)
ベテルの家の「非」援助論(浦河べてる)
べてるの家の「非」援助論―そのままでいいと思えるための25章 (シリーズ ケアをひらく)
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ブログ友や友人が面白かったよ・・とくださったメールに従いやみくもに読んだ気がする。
かなり難しい内容から、高尚な文体もあり。ちと私には難しいかな、と言うものもあり。
私の卑しい人格が現れるようなものから、邪まな心の片鱗が覗くような選択も有る。
でもダントツ一番面白かったのは
人間、やっぱり情でんなぁ(竹本住大夫)
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自分が今まであやふやに思っていたこと
、釈然としなかったこと、
言葉に出せないけどぼんやり認識していたこと、
そんなことが霧が晴れていくように胃の腑にストンと落ちていくような気がした。
「聞いている人が上手に聞こえるような謡い方はするな」とか
「口から声を出すな、眉間から出せ」とか、
「五年、十年でできなくていい。五十年後に出来ればいい」とか、
いゃあ・・・ぼんやりと、霧がかかったような思いが、なんだかすっきりとしていくような気がする言葉に満ち満ちていた。
芸のために、どん底に落ちるのも決して悪い事ではない・・とまで言い切る文章に満ち溢れていて実に気持ちが良い。ちなみに浄瑠璃と文楽と義太夫の違いなども分かる。
浄瑠璃と言う言葉は義経と深い関わりがある事なども「目から鱗」。義経と契りを交わした浄瑠璃姫の哀れな最後を「浄瑠璃12の段」として語られたのがその始まりとか。
「静御前」や「浄瑠璃姫」、そして「蕨姫」、と義経は一体どれだけ周りに浮名を流した女性がいたのか。(ん、とにもう・・ですね)
ちなみに「蕨姫」は平時忠の娘である。時忠の姉が清盛の妻時子である。蕨姫は義経の妻でもある。その為かどうかは分からないのだが、清盛の近しい親族でありながら命を助けられ能登に流された時忠は無事に生涯を終えている。その流れをくむ時国の屋敷は「時国家」として今でも国の重要文化財として知られている。「鳴和の滝」のあと「倶利伽羅峠」を通り義経一行は能登に逃れ「時国家」で過ごしやがては「珠洲の舟隠し」から舟に乗り東北を目指したと言われている伝説が残っているのはそういう経緯もあるのである。
この本は私の今年のベスト1かもしれない。
● さてさて・・これからのいろは会のご案内
9月29日(土) テーマ「秋の模様」
10月6日(土) テーマ「菊」
10月27日(土) テーマ「紅葉」
各自思い思いのいでたちでいらして下さい。
「何を着ていこうか」と頭を悩ますのもこれ一つの楽しみ
・・・ではでは・・・またねん。