和装組曲♪

・・着付け教室、琵琶演奏、能面制作などに勤しむ日々のあれこれをグダグダと綴ります・・

三月の養成コースの一日〜♪

月1回の養成コースのはずが、月に8回は我が教室に出入りしているのではないかと思うくらいよく練習に来る。
今日は必死に頑張る面々をちょっとご紹介しようと思う。

とにかく今年の方々は物凄く頑張る。
ひたすら頑張る。恐ろしいくらいに頑張る。
息が切れないか・・・生き倒れになるのではないか・・・心配している。


上の作品は彼女たちの現在のレベル。
まだまだ一つ一つアップできるほどのものではないが養成コースに入ってきたのが1月だと思うとよく仕上げていると褒めてあげたい。
しっかりと結びこんでいるがこの程度で満足しないでもらいたい。
この程度・・といっても成人式などに着付けて歩いている方々には比べ物にならないくらいハイレベルだと自負している。
この調子だと直に皆さんに胸を張ってお見せできる日も近いはず・・・楽しみ〜♪


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実は和装組曲の養成コースに入りたい・・・と言う方、去年11月までには10人余りいた。
ちょっと脅した。「甘くはないよ!!よく考えて!!」と。
とにかく意識を高く持たないと付いてこられない・・と何度も言った。
普通の着付け教室のようなレベルではない。
この一文を読まれた他の着付け教室の方は「ムッ」とするはず。
「たのもう〜!!」と道場破りよろしく来た方もいる。
何人も生徒さんを持つ師範の先生がいらしたこともある。
養成コース1の方々のレベルにも達しなかった過去が何度もある。

脅したお陰、かどうかはわからぬが12月初めには8人になった。
ただ残る方々は着物の本を何冊も買い込んで既に勉強しだしていた。

更に追い打ちをかけた。
「途中でやめてもお金は返さないよ!!よく考えて!!」と。
主婦ならいざ知らず仕事をフルタイムに持ち、家族を持ては中々自由になる時間はあるものではない。
ただ完全なる主婦で卒業までこぎつけた方は今まで一人としていない。
12月末には6人になった。家庭や仕事の日々の状況は刻一刻と変化する。
自分に何時も風が吹くとは限らない。
逆風の中で耐えないといけない時もあるのだ。
いや逆風の時の方が人生多いのだ。
「何度か泣く覚悟で・・・」と。
恐ろしいお婆になりきって・・・嘘、嘘・・・なりきらなくても元々が恐ろしいお婆だ。
1月に入っても辞退者が出る。

いいのだ。途中で辞められる位なら最初から少ない方がやりやすいし、私もかっ飛ばせる。
そしてその方が結果的には優しさなのだ。
しかも本気の方たち一人ひとりに時間をかけてあげられる。
なだめたりすかしたりしてやる気のない方々を続けさせる気は毛頭ない。
そういう意味では私は経営者として既に完全にプロ失格なのだ。
いいのだ・・・私は物を作る、そして教える、が主目的。何より「着物」というものを教えることのできる人を育てるのが大目的なのだから。

1月の第1回説明会にはそれでも「絶対がんばる」と言う方が5人いたがなんと説明会を終えて早々に1人辞退。
結局4人でスタートとなる。

今日はその方々の途中経過をご披露しておこう。
いわば筋金入りの4人である。
1月に入ってきたのに、早くもいろんな事を知っているしやってのける。
彼女たちは後で知ったのだが私のブログの参考文献でさえ既に去年入手し勉強している。中にはほとんど目を通している方もいる。
なんとブログも私の書き始めた時からのを読んでいるらしい。
勿論自分たちで集まったりもしているし、メールや帯の写真などやり取りして日々努力しているらしい。


この日は朝から雪模様。


ちょっと嫌な天気〜・・・・。

おまけに風も吹いてきた。




でも皆さん、着物で参加。洋服でいらした方は教室で先にさ、さ、さ〜と着替えられた。



余談なのだが、ついでなのでちょっと履物に触れる。

一番左の草履・・・どなたが履いてきたかは知らぬ。
でも右と左が逆である。このブログを見て「あちゃっ〜」と思っているはず。
今でこそ右も左もないような草履が売られているが、基本的に左右はある。
左右の無い草履は履きにくい。この青い草履も明らかに左右ある。
持ち主の方、一度ご確認を。勿論「私です」と名乗りを上げる必要はない。
こんなこと大したことではない。次から気をつけてみればいいだけのこと。

そしてその横・・・ビニールのかかっている草履。
雨の日や雪の日は足袋を汚さないので北陸では必須。
しかしガレージからガレージと移動したり、デパートの駐車場など屋根がある場合もはや不要の場合も多い。
下駄や草履にこのように覆いのあるものを「爪皮」(つまかわ)とか「爪掛け」(つまがけ)と呼ぶ。
付けたり外したりできないものもあれば出来るものもある。参考までに。

この日は養成コースの方には着物の知識の講義をしてもらった。
和装組曲のしきたりとも言えるのだが、自分のメモは一切見ない、聞く人にも抜粋した資料などを与えない、メモも取らせない。
自分の頭に入っているものだけで勝負するのだ。
入っているものがないなら頑張って入れるしかない。
聞く方もメモは取れないので必死。一つ一つを覚えるのではない、理解していかないといけないのだ。
そして講義に出た人名、地名、年代、新しい言葉など家へ帰って自分で調べて行くのだ。
ただし具体的なものは使ってもよいのだ。具体的なものは物凄く説得できるので。
ただどんなものでも手元にあるわけではないし、手に入れられるものではない。
そこが工夫である。工夫できる方と出来ない方がある。
工夫できない方は智慧を使うしかない。

発表順に載せる。


この方には「三大友禅」として「京友禅」「東京友禅」「加賀友禅」を講義してもらう。
物凄く勉強してきた跡が見てとれる。ただ初めての講義でちょっと緊張していたようで膝に置かれた手に目一杯力が入っている。
頭にある知識を十分に出すことができなかったようで次回への課題。一生懸命さが物凄く伝わってきた。
しかし、私の評価とは別に自分の講義が何処まで人の知識や間違った思い込みを修正できるか・・・説得力をつける時には具体例をあげることが必要。
三大友禅の実物を皆に見せてあげられると何よりだった。「えっ??持っていない??」否否・・・東京友禅は「沢と鴫」の訪問着。あれは東京友禅だと思う。また「加賀友禅」や「京友禅」のところは和装組曲の花嫁暖簾を使いながら話しても良かった。


この方には「帯」全般について講義してもらった。
よく勉強していて持参の帯を何種類か提示しながらの和裁までに及ぶ分かりやすい内容。
名古屋帯の歴史的なことにも触れたり袋帯と比較したり、仕立ての領域まで踏み込んだのは良かったと思う。
ただ資料として帯を使うなら全てを何としても用意する執念が欲しい。皆の手に入るものを見せるのは意味がない。
むしろ皆が手に入らないものをどう工夫するかが大切。知っているものを見せても意味がない。
例えば用意できないなら代用品を使ってもよい。私が反物代わりに障子紙を使ったように八寸帯や九寸帯を障子紙を使ったり、仕立て前と仕立て後をそれで違いを見せたり、額縁仕立てを見せたり・・とか。芯がどうみえるか・・とか。ああだこうだというより一発で長所、短所が分かる。
一歩踏み込むことが聞き手だけでなく自分の勉強になるのだ。聞く方々はずぶの素人ではない、一歩も二歩も踏み込んでいきたい。



若い方が地味目の着物を着ての講義。良く見ると千鳥の模様の小紋
着物の裄がもう少し長いとなお良かった。
この方には「着物の歴史」の中でも「小袖」について。落ち着いて丁寧な講義でしたよ。
いつもとてもよく勉強していることと、地に足が付いているような地道な取り組み方の勉強の仕方だといつも感心していた。
勉強は長く何処までも続くことを既に覚悟しているかのようなデンとした取り組み方である。講義する仕方も何度も練習した跡が見てとれる。
あれだけの講義をする時はどれくらい勉強したのだろう・・・と思いながら聞いていた。ただもう一つ欲を言えば自分の講義を皆がどの程度理解して聞いているかを皆の顔を見ながら反応の手ごたえを感じながら話すことが大切。一人ひとりの目をしっかり見て・・・・この方はちょっと理解していないかも・・と思う方には反対に質問してどの程度かを見極めるのも大切。皆が理解していない時は自分の説明が悪いのだ。手ごたえを感じながら話すことを覚えてもいいかな・・



他の方より一年ベテランの方。着物の合わせ方も雰囲気もとても落ちついて流石に1日の長がある。
「着物の格と紋」についての講義。内容は一般的だったかな?もう少し踏み込んで「ほう〜っ」と皆をうならせる知識があっても良かった。知っていることだけだと聞いていても感動がない。それはどうかすると退屈なものになるきらいがあるので、次回からは知識欲旺盛な方々に講義する時は踏み込んだ知識を随所にさしはさんだ方がはるかに深みのある講義内容になったと思う。あの程度では着物にちょっと詳しい方程度なのでちょっと残念。多分準備不足。勉強不足。どの程度勉強したのか。手厳しいかもしれないけれど養成1の方々があれだけの講義をしたら養成2の方はそれ以上の講義をしないと、ね。

最後に養成コース卒業生で私のアシスタントをしていただいているこの方・・・


流石に手馴れたもので身振り手振りでリラックスしながら話してもらいました。
ぶれて写っているのは私のカメラ技術のせいというより、この方の動きに寄る所大。
「仏像の衣装に現れる時代考証」というと物凄い立派すぎる題・・・何を隠そう今この瞬間私がつけた。(笑)
京都へ行って来てお寺の中で見た仏像の衣装や打ち敷きの話。
随所にさしはさむ感想は何気なく聞くと何と言うこともないのだけれど、じっくり味わうととても面白い領域でこの方の着物や歴史に対する造詣の深さを垣間見る思いがした。歴史が物凄く好きなのだろう〜。ただ具体的な例が欲しかった。自分の感想だけで言うのではなく、「たとえばこのお寺のこの仏像の袖口が・・」とか、あの寺の仁王像の裾の長さが・・とか。すると物凄く分かりよい。写真を撮れないお寺が多いが実際見たものをキチンと説明すると案外大丈夫。
余りに広い領域は大変なので領域を限定しても楽しかったかも。「東本願寺」なら打ち敷きがどんな錦で織られていた、とか色使いはどうだったかとか、お坊さんの衣装や袈裟の色などに触れても面白かったかも。

ちなみに私はまだ正座なるものができないので和装組曲の制服で失礼させていただいた。
講義内容は「黄櫨色(はじいろ)と黄櫨染(こうろぜん)の違いについて」
丁度雛まつりで男雛の着ている袍(ほう)の色について話したかった。似ているようで全く非なるもの・・。

養成コース卒業生で東京の徳川美術館に行かれた方が和宮所蔵の雛飾りを見てきた感想をメールで送ってきてくれたことから急遽思い立った。彼女の感想やメールを披露しながら、江戸城の火事で和宮が腰入れの時に持参した雛飾りが焼失した事実などを絡めての講義内容。話している自分が物凄く楽しかった。ごめん。皆にはあまり興味がなかったかも・・・。話し始めると止まらなくなる、私の悪い癖が所せましとあばれまわりましたねえ〜(笑)

1時から3時までが知識の講義、3時から5時まで男袴の実技指導。
この間にも卒業式、入学式の予約のFAXが相次ぐ。
入学式は朝早くからなのでドンドン着せつけ時間が早く成って行く。
これ以上予約あっても受けられないね・・・という私に中の一人・・
「その日、仕事休みます。変わりに休日に出勤しますので。」と。
「えーーっ!!じゃあ私も別の日に仕事変わってもらう。」と。
「私は仕事の前に着せつけ入ります。8時に此処を出れば仕事間に合います。」と。


「ちょっと・・・皆仕事に穴開けんでよ。車の運転、気をつけてや〜」と言う私に
「だって負けられん。自分だけ置いて行かれるのは嫌やもん。くらい付いていく。」と。

凄い・・・唖然とした。
皆物凄く力はいってるわ。
こんな養成コースの方々そうはいない・・・多分初めてかも。

無理をして息を切らさんでね。
頑張りすぎる症候群にならんでね。

しかし・・・指導者冥利につきるね。有難い。
頑張る方々には何としても上手になってもらいたい。
物凄く応援してますよ。

最後に降り注ぐ艱難辛苦に耐えて美しく咲く草木、降り注ぐ自然の冷たさに耐える生き物たちをご披露。
全てこの日の撮影したもの。少しボケているのは見上げて写真を撮ると降りしきる雪がカメラのレンズに付くため。
あしからず。








私たちも花さんや鳥さんに負けんとこうね〜・・・・♪
本当の内輪のブログ内容・・・他の方々ごめんなされ〜・・・こんな日もある。