和装組曲♪

・・着付け教室、琵琶演奏、能面制作などに勤しむ日々のあれこれをグダグダと綴ります・・

木賊(トクサ)

今日の職場の玄関〜






木賊」(トクサ)と菊。

トクサは砥草から来た言葉。
50〜100センチの高さ。
夏ごろから出て秋に刈り取ると言われているのだが着物では夏の着物や帯に多い。
緑一色が涼しげで爽やかさを印象付けるからかと。

秋に刈り取り木材や金属を砥いだり磨いたりするのに昔は用いられた処からこの名がついた。
漢方では木賊(モクゾク)と呼ばれ止血や解熱剤として使われているとか。
現在も何処ぞでそのような使い方をされているかも・・・


穂は小さな土筆のように先端についている。
木賊は細い茎に特徴があり文様化されている。
能装束、友禅染、染め帯と単純なライン模様が使われている。
たまにウサギと共に「木賊兎文」や木賊を丸くした「木賊丸文」も。

以前教室で「木賊」の話をしたときに若い方で
「え・・・っ??見たことない!!」
と言った方がいた。
若い方はこんな地味な植物、見ていても多分記憶にないのだろう。

話飛ぶが・・・
京都駅をおり真正面にあるホテル・・・
そこの玄関にはよくこの木賊が活けてある。
毎年・・と言っていいほど暑い時期に。
両腕に抱えても余るくらいの木賊を、大きな壺にザパッと投げ入れている。
いつも「格好いい生け方」だと感心している。
他の花も枝物も一切いれぬ。木賊だけ。
京都は「これでもか・・・これでもか・・」という飽和状態の美の印象なので
初めて目にした時は「大胆素敵〜☆」とびっくり。
特にホテルの玄関口。ちょっと度肝抜かれた感。
凛々しい生け方でとても素敵だった。


「流水に木賊」や「兎に木賊」・・・の訪問着

木賊に色はついていなくても深い緑の爽やかさが伝わってきたり
直線と曲線の対比も美しい。バックにあるのは露か・・雪か・・
今にも紅葉のひとひらが散りそうな・・・

着物模様は写実的なものもそれはそれでいいのだが
イマジネーションが刺激されるのも又いいのではないか・・・
自分で好きなストーリーを作っていける・・・

かつての思い出と重ね合わせれば、貴重な思い出の一枚となるはず。。。。