和装組曲♪

・・着付け教室、琵琶演奏、能面制作などに勤しむ日々のあれこれをグダグダと綴ります・・

梅文様

         
            「梅文様」

菅原道真は学問に造詣が深いこともあり学問の神様として祭られている。
その菅原道真について・・少し。
平安時代、右大臣であった道真は陰謀により流される。
     
     去年今夜侍清涼   去年の今夜  清涼に侍し
     秋思詩篇独断腸   秋思の詩篇  独り断腸
     恩賜御衣今有斯   恩賜の御衣  今斯に有り
     奉持毎日拝余香   奉持して毎日 余香を拝す

大宰府に流されて行くときに読んだのが御存じ、漢詩「菅公」。
初めて琵琶でこの曲を謡った時には「なんと何時までも女々しい〜」と思いながら謡ったものである。角度を変えればそれほど帝のそばが全てだったのかもしれぬし、当時は京という場所が全てだったのかもしれぬ。

都に戻れずかの地で無念至極で没したが 彼の死後、奇怪現象が続き、怨霊となった道真を慰めるべく天神として祭られた。それが大宰府天満宮であり各地の天神社。その神社の境内には必ず梅がある。信者たちもこぞって梅か梅鉢の紋を使用し天神としてあがめその霊を鎮めようとした。道真が梅を愛し、衣服や車に梅の紋を付していたのはあまりにも有名だったから。北野天満宮には二千本以上の梅の木があるとか・・。
   
     梅は食うとも核(さね)食うな 中に天神寝てござる

と種に毒のあることを戒めた昔のことわざにさえ天神様は登場する。

さて・・・その梅・・・ここからが本題。
前置きが長すぎて堪忍やで。
行きあたりばったり、考えなしで書いているとこうなる・・。

寒中に耐え、どの花にもまして芳しい香りを放ち開花するので中国では逆境に耐える人生の理想とされ縁起のいい花の筆頭。
歳寒二友(梅・寒菊)  歳寒二雅(竹・梅)  歳寒三友(松・竹・梅)
四君子(竹・梅・菊・蘭)  四友(松・竹・梅・蘭) どれをとっても必ず梅は登場する。
ちなみに「松竹梅」としてセットで工芸品や衣服などに吉祥文様として使われ出したのは江戸中期。

        
    

梅のことを好文木とも言うのはご存知かと思うが、それは十訓抄から。
「帝、文を好み給ひければ開き、学問怠り給へば散りしをれける梅はありける。好文木とぞいひける。」と。     
最後に道真が自宅「紅梅殿」を思って詠んだ歌・・・

   東風(こち)吹かば匂いおこせよ梅の花 主なしとて春を忘るな(忘れそ)
  
残念な事に私は梅の着物を持っていない。
(こう書くと、さもほかの柄は持っていそうに聞こえる。が、梅に限らず柄物がない・・ほとんど無地。ほかのどんな柄もないというのが本当のところ。)
写真でお見せできないのが残念。しかし梅なら想像はできるはず。
絵の良し悪しもあろうが、美しい紅梅にちらちらと雪が降りつもる「雪持ち梅」はとても素敵・・だろう・・・きっと・・・そうに違いない・・。
着物よりも帯の方がきれいかも・・これは単なる私の好み〜。

   紅梅は色を愛で、白梅は匂いを愛でる

というが、皮肉なことに、なんとも美しい淡いひっそりとした紅色が染まるのは白梅の古木とか・・・…