和装組曲♪

・・着付け教室、琵琶演奏、能面制作などに勤しむ日々のあれこれをグダグダと綴ります・・

正倉院文様〜☆

着物にも帯にも柄がある。
この「柄」に面倒なことに「格」というものがある。

以前にも言ったように好きなものを好きなように組み合わせて着ればいいのである・・
いいのではあるが、知っていて損はない。
それに従い王道をいくのも気持ち良いし、人の目に対してどこまでも安心感がある。
それを知っていてあえて逆らうのも自分流であり、人の目に対してどこか愉快に思える楽しさがある。

それは知らないで好き勝手にやるのとは一味違うのではないか。
・・・というわけでここ何日、ちょっと知識になればと思い脇道に行かぬよう己を戒めながらまじめに取り組んでいるお婆である。(とてもエライぞ!!)

着物も帯も「柄そのものの格づけ」があると話した。
「格が高い」とされる模様には大きく分けて

   正倉院文様  有職文様  名物裂文様

なるものがある。格とは若干違う意味で琳派文様もある。
どれがどうなのかさっぱり・・の方が多いかと。
今日は正倉院文様を少しだけ・・ほんの・・少し〜・・
なんとか分かりやすくと思うのだが・・私もまだ入り口にも至ってない・・だからほんの少しで勘弁してもらおう。(ぼろがでぬよう・・に)

    ☆ 正倉院文様 ☆  〜ほんのちょびっと編〜

正倉院奈良時代に建てられた東大寺の巨大な倉庫  (正確には「大蔵」という)。
東大寺の法要、大仏開眼供養などの法具などと共に、染織品十数万点も収められている。
狭義には正倉院の染織品の裂(きれ)の模様を正倉院文様と云ったり、広義には正倉院に収められている楽器・調度品などの宝物を模様にしたもの全てを含めて正倉院文様と云ったりする。
と、いわれてもなあ・・具体的にはどういうものか・・

     華文、唐花、唐草、鳳凰、鹿、孔雀、鳥、・・・など・・

正倉院文様は格式の高い帯によく使われる。留袖、訪問着などにあわせるような。
しかし、実際どんなものか・・見ないと分らないものである。
暮らしの中に身近にある「正倉院文様」・・・ないか・・・探してみた。
 




橙色に金の打敷(うちしき)。
仏具として日本に入って来たこの打敷の柄から帯や着物地に取り入れられたものなので打敷という名前くらいは覚えておいてもいいかも。
これに織りだされているのが鳳凰。(ブログの「龍」の所で触れたやつ)
伝わった経緯を考えると・・お家の中で仏壇周りが多いかも。
仏壇の打敷、座布団の柄、お数珠入れ、あと掛け軸の表装、・・・
掛け軸も「南無阿弥陀仏」とかの仏具用のものに格式の高いものを使う。

昔の風呂敷にあったね、唐草文様。
どこかやぼったく子供の時は感じたが唐草の大きさと色合いを変えるとものすごく垢ぬけているようにもみえないか?
お婆の家では僧侶用座布団は牡丹唐草と菊唐草、
 


  
























来客用の座布団には馬に乗って狩りをする狩猟文様、これも模様としては正倉院文様。
正しくは連珠狩猟円文。連珠は小さな丸を連ねた文様のこと。円の中にこの写真は騎馬人物が配されているが、獅子であったり、鳥獣であったり、・・。この文様は古代ペルシャで作られ奈良時代に伝わったとされている。   



着物や帯にこだわらなくても案外身近にみられるものだ。
自分の家に仏壇のない人、葬式に行った時お坊さんの袈裟(けさ)を注意してみなはれ。
左肩から右脇下にかけて衣の上に着る衣装。
その袈裟だけでも話したら面白い。袈裟に使えない色とかもあるのだ(ちなみに赤・青・黄・白・黒のはっきりした混じりけのない色は袈裟には使わない)
               ・・・戻ろう…戻ろう・・・また脇道だがね・・・
そこに織りだされている模様は用途から考えてたいてい正倉院文様かと・・・

「袈裟がけに切る」と時代劇にでてくる・・あの袈裟・・もここからきている。
これ以上、脇道に行かぬようこの辺で…・・・

身近なものから正倉院文様探してみてくだされ〜
案外楽しいかも。。。

         

             ・・・・・・・・・・・・・・・・・・♪・♪・・・

こういうことに興味のある方は宮尾登美子作・「錦」がおもしろい。
龍村織物の創業者をモデルに仏具の裂から新しい帯を創意工夫して作り上げていく熱意が書かれていてものすごく楽しいし、勉強になるかと。参考までに。