和装組曲♪

・・着付け教室、琵琶演奏、能面制作などに勤しむ日々のあれこれをグダグダと綴ります・・

第6回「いろは会・初夏」&ゴルゴ13

仕事と私用で気持ちはてんやわんや〜♪
でもこう書くと物凄く忙しいと思うでしょ?
いやいや、そうではない。
自分の処理能力にガタが来ているだけ。(笑)
連休中にいつも手抜きの台所と風呂場、トイレの掃除。
何時までかかっている、こんな所ぐらいに…と思う程進まない。
作業よりも休憩がドンドン長くなっていく。
合間を見ては6月の2回ある琵琶の演奏会の打ち合わせ。
これは完全に気分転換。好きな事はへっちゃら〜♪






黙々と仕事を進めている人もいる。
どうも茄子の苗らしき。

いつまでもトロトロとしている自分が「情けねぇ〜!!」(笑)
笑っちゃう〜・・・頑張らねば。



今日は恒例の「いろは会」
テーマは「初夏」である。
先ずは設え。



タペストリーは「ツワブキ」と「コウモリ」



江戸型染め。安齋君予さんの作品。
これは私のお気に入りのもの。
見ているだけで心が落ち着くから「あ〜ら、不思議。」



2階の教室の暖簾はアジサイとツバメ。

教室の中は・・・・





さてさて皆さん、今日はどんな初夏の姿を見せてくださるか楽しみ〜♪


まずはこの方・・



本藍の色も鮮やかな着物に白地の織帯
実に際立つ爽やかさ。
八掛には染で花を一輪も心憎い。


「見せて〜」「触っていい?」と声が飛ぶ。

次はこの方・・




クリーム色の無地、しかし付け下げ風に地模様が入っている凝ったもの。


これくらい黒地の帯でも何となく違和感なく着こなしてしまう雰囲気をご本人持っている。
こんな装いで歌舞伎見物に行けたら良いね。

次の方は「初夏」というテーマから調べたと。
どんな色が初夏というテーマに合うかなども考えられたとのこと。
藤の色・・・菖蒲の色・・・鉄線の色・・・
で、この着物をチョイス。




ちょっと扇子を見せて・・というと・・・



クレマチス・・・何処までも完璧。(笑)

又この方はお友達から頂いたグラデーションに江戸小紋の着物。
帯も落ち着いた色合いで着物のグラデーションと合う。



結婚する時に持っていらした夏の着物などを持参され・・・
皆で批評し吟味しあう。


まだ数えるくらいしか習っていない方でもメキメキと上達されている。
どの方も何も注文しなくてもここまで綺麗に美しく完璧にコーディネートされて季節感まで取り入れられ実に素晴らしい。
文句のない着姿を拝見し私は感無量〜♪
完全に追い越された感有り。



ちなみにこの日、私が着たのは微塵格子の薩摩絣の木綿の着物に白地の博多帯。
何時もながら地味の極致。
でも私はこれ位の地味さが心地よい。
相変わらず両膝ははれ上がっている。
15分の曲を2曲、30分の琵琶演奏会での正座はちょいとしんどかったようだ。
でも気持ちは爽やか。

この日の午前中に練習に来た方の着姿もおまけ。
習い始めて4回目。
3回までは袋帯、この日初めて名古屋帯に挑戦。
一度家に帰り、今度は一人でトライするとか。
午後からお茶のお稽古に着物姿で行くとのこと。
気合いが入っている。
何事も物を習うにはこれくらいの気構えが必要。





    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・♪♪♪・・・・・・
さてさて・・・
今後のいろは会の予定。

   
    
    6月 2日 (土) テーマ「透」(うすもの)
6月23日 (土) テーマ「涼」(すずやか)
7月 7日 (土) テーマ「実技・半幅帯」


です。参考まで。
いろは会には実技は基本導入しないのだけれど今回は特別。
半幅帯の変形バージョンなどマスターしたい方はこの会を利用されたし。



最後におまけのおまけ。
最近私事、ちょいと心が波立つことがあった。
相手が悪いのではない。
あくまで自己責任。
ただ自己肯定は人間の常。
相手も悪いと思う事で心のバランスが辛うじて取れているのが私。

心の中で何度も「チッ!!」と舌打ちをしたくてたまらない位自分に腹も立てていた。
基本、本当に辛い事は誰にも言えない。
人に言えることは大したことではない。
自分で消化し耐えるしかない。
でも・・・でも・・・と心で繰り返す毎日。

ある仲の良い年下の友人が私の何気ない深くて重いため息を聞いた。
何も知らないのに、私を心配して瞬時こう言った。
ゴルゴ13に頼みましょ!!」と。
瞬間物凄い笑いが私の中に広がった。
「ありがとっ。その言葉で今生き延びた気がする。」
楽しい事ばかりではない、楽しい事の裏返しは必ず受けなればいけないのだ、生きていれば。

tomoちゃん・・・感謝。
私は立ち直った気がする。
久しぶりに声を出して笑った。
ありがとっ♪♪♪
笑うって大切。
苦しい時こそ笑える自分でいなければ、と改めて思う。

辛くて苦しくて苛立ちながらそれでも乗り越えないといけない時の私の合言葉になったかもしれない。

     ゴルゴ13に頼みましょっ!!!
ゴルゴ13を知らない方、ごめんね。
物凄いブラックジョーク。
分かり易く言えば“必殺仕事人”かな〜♪
明日から又精一杯頑張りましょ〜♪♪♪

小っちぇ〜自分にさようなら・・・・☆★☆

庭園コンサート

先日ご案内した庭園コンサート・・・・


こういう場所で開催された。



中は古い古い旧家・・



雰囲気のある日本画・・と思いきや人間国宝の木村雨山の二作品。


又高光一也の大きな二作品も。
額を入れたら一間はあろうかという大きさ。



座敷は弁柄の壁も調度も美しい。




奥座敷が演奏者の控えの間なのだが、その広縁から外を見れば・・



豊臣秀吉伏見城の鬼瓦とか・・五三の桐。
伏見城を解体したときに出た物らしい。



凄いお屋敷である。
特筆すべきものが物凄く多いのだが、残念ながら撮影禁止の物が多いのと、ガラスケースに入っていたりするのでフラッシュが反射して上手く写せない。ご容赦を。

さてさて・・
私たちの演奏会場はこんな感じ。
庭を背にしての演奏。当日の収容人数は百人。
座布団の方や椅子の方、掘りごたつタイプのテーブル等など。



当日・・・
逆光で上手く写らない。





私は謡う時にどうも顔をしかめて眉間やこめかみに青筋を立てて謡うようだ。

藤舎先生は端然と美しく座っていらっしゃるというのに・・恥ずかしながら・・(笑)

どれもこれもアップできるような写真がない。
ほとんどが目を閉じて謡っている。
このあたりで勘弁して頂こう。




「横笛」「琵琶塚」と二曲。
楽しいひと時でした。
箏の先生や書道家の先生とかとも知り合えてとっても濃い一日。
沢山のご来場の皆さんにもとても真剣に聞いていただき嬉しい限り。
皆様のおかげで楽しくも実のある一日だった。
本当にありがとうございました。


   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・★★★・・・・・


最後に生徒さんの素敵な着姿を。
今日は習い始めて三回目の方で着物で帰っていかれた。



クリーム色の着物にターコイズブルーの鮮やかな帯
新鮮な感覚だが、実に若々しくお洒落ではないか〜♪♪♪
小物も実に吟味されている。

この方、県外から通われている生徒さんでプロの小物作家さん。
自分の個展などで自分で着物を着て過ごしたいと我が教室にいらしたのである。
バックがとっても今からの季節にぴったりだし、可愛い。
このバックも勿論だけれど、イヤリングや簪も彼女の作品。
写りが悪いのはデジカメのせい。
半分壊れているのをガムテープやセロテープでくっつけて使っている。
何回も落としているので「メニュー」の項目の部分が選択できなくなっている。
写りが悪くてごめんね・・・





皆さん、良い連休を。
私は台所とお風呂場の掃除で連休を過ごす予定。
いつも何もしていないのでこんな時くらいしないと・・・ねっ・・(笑)
ではでは〜♪

第5回「いろは会・萌」

4月に入ってモタモタしている間に月日は「あっ〜!!」と言う間・・(笑)
本当にお婆のすることはとろすぎる。




4月のいろは会が先日過ぎた。




でもいらして下さる皆さんの着物姿に目が覚める。





テーマは「萌」だが、来月大きな会合の受付をすることになったのでそのコーディネートを見てほしくて・・・とのこと。
薄い藤色の品の良い付け下げ訪問着に非常に細かいこれまた凝った袋帯
小物もとても吟味されている。

「ほぼOK〜」
ほぼ・・と私が行ったのは帯の金地と帯裏の朱の色が今の季節なら丁度良いのだが、5月にどう人の目に映るのかが気がかり。「5月は暑いよ、きっと」と。とても暑い時に金と朱色は結構暑苦しく人の目に写るのではなかろうか・・ただこの方は県外の方なのでどういう地方かにもよる。周りの方々との調和にもよる。案外そういう風なものを好まれる地域柄なら全然OK。着物も帯も物凄く凝った良い物なので自信を持って行かれればよい。





毎回の事だがこの方は非常に安定している。
しかもドンドン上手になっている。
着物と帯と小物とのチョイス、更に着物の着方。何も言う事がない。
織の着物に織の帯なのでちょっと硬い雰囲気になる所をご本人の雰囲気で実に上手に和らげていらっしゃる。
しかも今回とても驚いたのは説明が物凄く上手になった。
嘗て私が話した事なども交えながら何故このコーディネートにしたか、何故この色にしたか、などの説明は聞いている方々の称賛を得たばかりでなく、ご本人の思いが伝わり私まで「ほ〜っ!!」と感動した。



少しの色の違いで着姿を上品にも下品にもするのに、この方は物凄く神経を使って実に自分に合う色を上手に選択できるようになってきた。誠実で正直ながら熟慮し推敲する術までここにきて身に着けていらっしゃる。大した方である。真摯に粘り強く勉強することの大切さをこの方が示して下さっているように見える。






実は15年前の私の生徒さんだった方。
現在は県外からの参加。

15年前ほんの何回か教えただけなのに
「着ないとすぐ忘れるので、できるだけ着る事が秘訣」
という私の言葉を肝に銘じ3か月に一度は着物を着る機会を自分で作っていたとのこと。
だから今回もちゃんと着て来られたのだ。


帯締めに藤の花・・
季節の先取り・・こんなところにも神経が行き届いているのも素晴らしい。
昨日今日でできることではない。
この方の15年間の着物にかける思いが伝わってきてとても嬉しい。
15年前に同じように着物を習っても果たしてどれだけの人が今着ることができるだろうか…
しかも3か月に一度・・・というと言葉では簡単だけれど実行できる方が果たしてどれだけいるだろう・・しかも15年間。律儀であるだけでなく静かに努力する方なのに違いない。
如何にご本人も着物を着ることが楽しくてしょうがなかったとしても、である。


今回この方が締めていらしたのはお母さまの帯。
しかしちょっと見ていただきたい。
刺繍の丁寧で可愛い雰囲気もさることながら繊細な金泥の描き方に感動。
金泥は粘着質で案外どぼっと付きやすいのだ。じゃあ金泥を少ししか筆に付けないで書けばいいと思われるかもしれないが、そうすると線が途中で途切れてしまうのだ。一息でしかも同じ太さでこんな風な繊細な線を一気に書くことができる方は京都といえどそんなにいらっしゃるものではないと思う。こんなに美しく繊細に書かれているのを見るのも珍しい。私は二度目である。一目ぼれで買われたお母さまの気持ちが分かる気がする。



この方は和装組曲に習いにいらしてまだ4回しかたっていない。
今はまだ着る順番で一生懸命なのに違いない。
着物は小紋、帯は染め帯。
どちらも染めなので、どことなく甘い雰囲気であるが、ご本人のホンワカした雰囲気に何となく合っている。
着物の丈は一考の余地あり。実にご本人がスレンダーなのに後ろから見たら帯下、半身が短く見えるのは何故かを考えてみてほしい。全て着方。又八掛の色、帯の色、帯揚げや帯締めの房の色・・・・後ろから見たら色んな色が見え隠れすることをこれから少しずつ計算できるようになるだろう。そういうことが分かって初めて着物の楽しさに目覚めるのである。これからが楽しみだね。



この方はここに「萌」を配した。


帯締めでなく帯締めの房にだけご自分の思う色を持ってきた。
これも技ありだね。(笑)

この方の場合は毎回言うようだが、何より顔の表情がいい。
どんな苦難も乗り越えて来られたのに、微塵も感じさせないおおらかさや優しさがある。
着物云々の前に人として見習いたいような方である。
何かで読んだ言葉である。
「その方の器以上の苦難がその方の顔を歪ませる」と。
どんな大きな苦難も困難も笑って乗り越えて、生きたい自分でありたい。



この方も5回習っただけの方。
今回は総絞りの着物に無地の赤い帯。
総絞りの着物と言うのは案外太って見えるものだが、この方には優しくふんわり当たり、理知的でシャープな目鼻立ちを優しく美しく見せてくれとってもナイスな選択。しかも帯が無地を持ってきたのが何より良かった。スッキリと見える。ただピンクの髪飾りは考慮の余地あり。
慌てて着物を着たら「ちょっと失敗〜」と言いながら教室に駆け込んでいらした。手慣れた着方をするまでには何度も何度も失敗はつきもの。それを恐れていたらいつまでも着物は着られない。パーフェクトでなくていい、あちこち色々失敗あっていい・・・楽しみながら上手になりましょう・・と皆さんと話していた雲龍柳。

いろは会の方ではないのだけれど、この日の午前中教えた生徒さんの着姿も参考に。
これから茶会に行かれるとか。
一つ紋の色無地に明綴らしき袋帯




この日が3回目の練習。
私の手助け一切なしでの着付け。15分くらいで完成。しかもこの日2回完成した。
この色を選ばれたのは「藤の時節だから・・」と。
日本人って素敵。



ついでに雲龍柳の当日の着物。







大好きな縞の小紋に黒地の織の洒落袋。
地が変わり織になっているので写真ではわかりにくいのだが、白地にくすんだ緑色の縞模様である。
毎年2〜3度、実に35年間、春には着ている着物である。
なるべく今の年齢だけの物でなく長い間着れる着物を手に入れることをお勧め。
本当に気に入ったものを手に入れたらそれこそ数はいらない。





さてさて・・・最後の来月のご案内に行く前に一つだけ書かせてもらおう。
これは私の近しい友人やよく我がブログを覗いては色々メールをくださる方々からの一様に頂く弁。
「今年のいろは会のメンバーが物凄く質が高い」と。
そう・・実は私も密かに思っていたこと。
普通は何度も何度も私が悪者婆になって繰り返さないと分かってもらえないようなことを、今年の方々はいとも簡単に理解してくださる。私も思っていたことなので的を得た称賛の言葉を一杯頂いたことを最後にお伝えしておくね。いろは会のメンバーの方々・・・いい気になってもいいよん〜、それだけのことは確かにある・・ので〜♪(笑)


       
     【 5月のいろは会のご案内 】
       5月12日(土)
         午後1:30〜3:30頃
         テーマ「初夏」

暑くなっていく日々の中
どの様な着物や帯、特に小物などチョイスしていくか。
知っているようで案外知らないもの。
季節も昔とは変わってきているので昔のしきたりは案外通用しない。
でも知識として知っていることはとても大切。
そしてそれをどう生かすかは自分次第。
この機会に覚えてみませんか。


 

あきない世傳

3月、4月は何となく忙しく慌ただしい。
卒業式や入学式の着せ付け、そして何かを習いたいという向上心旺盛な方には習い事を始めたい時期でもある。

時期が時期なので私的にも色んな食事会や祝い事なども続く。
そんな時なので最近は能面関係の本しかパラパラと読んでいなかった。

ブログ友のエントリーに「あきない世傳」の紹介を見ていつか読んでみたいとは思っていた。
仕事に通じる書物はどんなものでもなるべく目を通したい・・・
そうでなくても読みたいと積んである本が10冊以上たまっている。
しかし・・・・

二日前にブログ友からメール有。
雲龍柳殿、是非この本を読むべし」と。
その方は今はブログを少し休まれてはいるのだが、敬愛するブログ友であり、時々良い書を知らせてもくださる。
しばらく忙しい日々が続くのだが、この方が薦めてくださるなら直ぐ読むしかない。
その日のうちに書店に。そして五冊買う。

其れがこれ…

あきない世傳 金と銀(四) 貫流篇 (時代小説文庫)

あきない世傳 金と銀(四) 貫流篇 (時代小説文庫)


あきない世傳 金と銀(五) 転流篇 (時代小説文庫)

あきない世傳 金と銀(五) 転流篇 (時代小説文庫)



昨日一日かかって読む。
早朝から昼までに二冊〜
午後から仕事&来客

夜7時から読み始め・・気が付けば5巻読了が夜の2時半すぎ。
いゃあ・・面白かった。

貧乏学者の娘として生まれた9才の少女・幸が呉服屋の下働きとして奉公する話。
一生鍋の底を磨いていくしかない女衆の身でありながら
その店の老齢な女主人や番頭から色々「商いのいろは」を教えてもらいながら成長していくのである。


その家の放蕩三昧の廓通いに湯水のごとく金を使う長男、
商いの才や美の極意に人一倍抜きんでているものの人情に頗る欠ける2男、
優しく周りに心配りはするものの商才の全くない浮世草子に励む3男、

忠義一筋一生懸命励む律儀な番頭や下働きの女衆を織り交ぜ、呉服離れの進む江戸期の呉服屋での話。
話の内容もさることながら着物の話が面白い。
世間の流れや大阪と言う土地柄も面白い。
「おお、その話にも触れてくれるか・・」
という着物の裏話や世間の流れ、人として生涯をかけて歩むべき道にまで微かにさらりと触れている。

周りと力を合わせてお店の為目的を成し遂げていく幸の幸せを祈らずにはいられない。



北陸で生まれ、6才で貧しさの為養女という名目で里子に出され東京で下女としてその家で暮らしながら
一つ一つ苦難を乗り越えてやがて自分の進むべき道を見出していかれた我が師と仰ぐ方の昔話とリンクし
下働き女たちの報われぬ苦労がダブって読みながら何度も涙をこらえていた。
「ああ・・昔は貧しさでこんな目に合う人たちが多くいたんだろうなあ・・」と。
それでも強く逞しく真っ直ぐに前を向き凛々しく生きていたのが案外普通だったのかもしれない。


5巻で終わりではないのだが、1巻1巻楽しませてくれる。

教室の皆さんには貸し出し用書架に加えたので読みたい方はどうぞ・・・



もう少しで琵琶の演奏会「庭園コンサート」があるのでまずはそれに集中しよう。
その後、暫くは高田郁の書が日課となるかもしれぬ。

「庭園コンサート」&「お召」

まずはこちらのお知らせ・・・
旧家でお庭を見ながらのコンサート・・・




          
          4月28日(土)午後2時〜

          庭園コンサート♪♪♪
         箏/  伊藤美智恵『六段』
        哥澤/  哥澤芝駒恵『住吉』
         笛/ 藤舎秀代 『春の月』
         書/  斎藤千霞
      薩摩琵琶/  長谷川凍水『横笛』

           琵琶は私、雲龍柳が演奏いたします。
         

     ※チケットは2500円ですが、多分ほとんど3月に予定人数完売状態。
      有名な老舗とあって凄い人気です。
      でも今日、明日あたりなら2人3人はまだ大丈夫かも。
      電話予約必要。
      まだ未定ですが、今回は能美市でしたが、
      そのうち金沢でも開催予定と聞きました。
      金沢近辺の方、暫しお待ちください。
           


        ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





前回「お召」について少し触れた。
で、今日は「お召」についてもう少し。

「お召」は正式には「お召縮緬」の略。
江戸期、11代将軍家斉に京都西陣で作られた「縮緬」を差し上げることに・・
将軍様はサラリとしたこの着物をことのほか気に入られたとか。
将軍様がお召になった縮緬」ということでこの名があるとか。
とか一説には「徳川家への御召料」として献上した所からとか。
では普通の縮緬とどう違うか…

まず普通の縮緬は糸に撚りをかけて織られる。
出来上がったその縮緬地の白生地を精錬しその後色をかける。
精錬すると撚りが戻ろうとしてシボができ縮緬独特の凹凸ができる。
凹凸ができると羽二重や綸子のような光沢はないが、シボの凹凸が影となり生地に陰影を与える効果があるのだ。
縮緬は白生地を織ってから後で染めるので「後染め」である。




一方お召はまず糸を精錬し染色する。
その後、撚りをかけて織られていくのである。
当然精錬をしているので糸の光沢はある。しかも撚りをかけて織られているのでシボもできるという訳である。
こちらは先に糸を染めているので「先染め」である。
お召は案外縞模様が多かった。
将軍様に献上した物は「縞お召」であったように言われている。

勿論今は色んなお召が作られている。
代表的なものとして「上代お召」「縫い取りお召」「風通お召」など。
上代お召はしっかりした風合いで中でも紋を織りだしたものは「紋上代」とも。
縫い取りお召は生地に織り出してある模様部分を金糸、銀糸、色糸などで織り出していて一見、刺繍が施されているようにもみえる。お茶席などで紋を付けた着物で見かけたりするのがこれ。
風通お召はジャガード機が普及し発達した二重組織。裏と表とで色が逆になっているのを見かけたことはないだろうか。
もっとも「縫い取り縮緬」とか「紋意匠縮緬」とかもあるので物凄くややこしいといえば言える。一言で言えば、お召は「サラリ感」「シャキッと感」があるのではないかな。






どれも緯糸に強撚糸を使うので元に戻ろうとする力が働きシボができるのであるが、この強撚糸の緯糸を「御召緯」(おめしぬき)という。
いろんな地方でお召が作られていたのだけれど、現在は「白鷹お召」「塩沢お召」「西陣お召」が有名。
とはいえ、どの地方もかなり減少していると思う。そうそう、「桐生お召」というのもあった。
雨コート地をイメージすると分かり易いかも。ちょっとシャキッと感がある。

去年京都に徳永先生の絣工房を訪ねた時のブログを見てもらうと分かり易いかもしれない。
あの時大枠という機械に巻き付け撥水性の紙を捲いて防染していたのがこの糸でもある。
と、いう私も完全に理解しているわけではない。
実に我ながら心もとない知識であり理解でもある。
何度もいろんな糸や工程や工房を見せていただかないと甚だ不確かでややこしい。
深くて複雑なものは理解したり、認識するにはやはりそうたやすいことではないのだ。
でもだからこそ楽しいし嬉しいし、理解できた時はとても愉快、爽快、納得するのだ。

幾つか実物をお見せしようと写真を撮ったのだが上手く撮れていなかった。
まあ、写真で・・と言ったところで分かりにくいことはとても分かりにくいのではあるのだが。
何といっても実物を見るのが一番、触ってみるのが一番である。
私が前々回のいろは会で着たのが西陣お召。
いつか塩沢お召も機会を見つけてお見せしようと思っている。
白鷹お召は何処かで書いたかもしれぬが板締めで糸を染めるそれはそれは凝ったものなので値が張る。
私は持っていないのだが、何度か着ている方を見たことがある。男性だった。白地の実に細かい美しい亀甲だったように思う。
金沢は着物好きな洒落た男性が時々いるのだ。渋いね。いつか写真を撮らせてもらう事もあるかもしれない。



又時間を見つけて色々此処彼処、勉強しに行ってこよう…
まずはこの膝をもう少し良くしないと…(笑)





桜がついに満開〜♪♪♪

能面「十六」・・完成

一年間かけて制作していた能面が完成。
「敦盛」が首を討たれた時の年齢からつけられた名前。

確か皆さんにはここまでしかお見せしていないはず。


今回彩色を済ませたのでご披露。

まだまだあどけなさが残る美少年だったとのこと・・・
とはいえ、そんなに上手くはいかない・・(笑)


真正面から・・・
あどけなさと何処とはなしにはかなさ頼りなさ。



横から・・・




上から・・・
何とも凛々しい公達〜♪


髪の生え際は・・・


墨で書くので失敗はできない。
はみ出すことも、どぽっと墨が付くことも厳禁。
凄い集中力で頑張った。
ちょっと酸欠状態。(笑)
書いた後は古く見えるように傷彩色。


笑っているようにも見える・・・


この角度からは妖艶にも・・・



兜を押し上げ首を討とうとした熊谷次郎直実は余りにも美しいその姿に
何とか助けられないかと一瞬ためらうのである。
女人にもみえるとは・・こんな感じだろうか。






裏から見ると・・・




薄さは・・・




薄いはず。重さは100グラム少し。

本当に少しずつしかできなくて完成まで一年間かかった。
我ながら気の長い話である。
でもとても幸せな一年間だった。
自分の定位置の居間のテーブルにお正月頃からはいつも置いて話しかけながら毎日磨きをかけていた。
少しでも早く仕上げたいとは露ほども思わなかった。
早く仕上げることより、自分の満足行く磨き方をする方が優先だった。
「どやっ!!!」
と言う位、ピカッピカッに磨き込みたかった。

そして
「物凄く綺麗にしてあげるからね〜」とか
「これ以上ない位に磨き込んであげるからね〜」とか
言いながら寝る前には毎晩磨いていたので愛着は物凄くある。
出来上がってしまうのが惜しいとさえ思っていた。

「この子はね…」
と語る私に家族は気味悪がってもいた。(笑)
段々慣れてきてはいたのだが、流石に夜中突然視野に入ると
「ちょっと、ギクリ・・」
したとも。

能面袋に入れてやっと保管。
能面袋とはこんなもの。






この袋は知り合いに作ってもらった。
生地は元々は名古屋帯
生徒さんから頂いた名古屋帯だったのだが、帯としてはちょっと癖があり過ぎ。
でもこの龍の図柄が気に入って能面袋として「十六」専用にした。
下さったけいこさん・・・ありがとッ!

次は何に取り掛かれるかな?
楽しみ。
暫くは木の塊とノコギリとノミで悪戦苦闘になる。
物凄く苦手な分野。
又ご報告するね〜♪♪♪

前回お約束した「お召」については次回・・と言う事で、お待ちあれ〜☆

第4回「いろは会・桜」

今年の金沢、3月末に桜が開くかもとか。
低温で雪の多い年だった分、一挙に暖かくなり桜も花開くのであろうか。



今回は「桜」がテーマ。
教室の玄関には桜と小手毬。
玄関には打ち水をして桜のタペストリー。


勿論お香は「淡墨桜
白檀の香に何か少しブレンドされている気がする。
白檀特有のツンとした香ではない。



今回はこんな設えで皆さんをお迎えすることに〜♪♪♪
さてさて、皆さんどんな桜をイメージされているのか…








    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・♪♪♪・・・・・・



先ずはこの方・・・
夜桜見物に行く時のイメージとか



少し暗いかな。
見ようによっては帯に桜のうっすらとした色が入っていなくもないのだが、
私的には帯揚げか帯締めにほんのりと明るい色が欲しかった。
帯揚げが茶色というより淡いピンク、もしくは明るい水色とか、薄い黄色とかだと後姿も明るくなるのではなかろうか。
又襦袢だけでも少し明るめの色を選ばれたら、袖口や振りから覗くのでもう少し雰囲気は違うと思う。
ただ春だからと言って全ての人が明るいわけでもなく、その方その方で人生の中で沈む時もあるにはある。
明るい色を着たくない、一切身に着けたくもない心境の時も。
それはそれで分からぬでもない。

又この方・・・

パッと華やいで見ているだけでこちらまでウキウキする・・そんな気分にさせてくれる。
タンスの中に入っていた若い時の着物とか。
「孫に着せてもいいかな?」と笑われていた。


いやいや、本人の持っている雰囲気がこの着物の若々しさに負けていない。
こういう方を見ると着物は年齢で着るものではないと改めて思う。




又こちらは・・・
黒地に花びらの舞うぼかしの地模様のある付け下げ。
帯は富士山を背にした桜を刺繍した袋帯
水に写る富士山が春にはとっても清々しい。
一目見るだけでもとても爽快。




「でも帯揚げを何故その色にしたの?」
と聞く私に・・・



八掛の色に合わせた・・・と。
凄いじゃん!!!と。
何故ならこの方は全く知らない状態から初めてまだ五回しか習っていない。
それを名古屋帯を習い、この日は袋帯を結んでいらした。
しかもこの帯はかなり手ごわい。(笑)
前の柄とお太鼓に来る柄を吟味しないといけない帯だから。
お太鼓の富士山の上が欠けるわけにはいかない、でも前に来る富士山を脇にずらせるのはちょっと…と。
頑張ったね。技ありだね。
この辺りは自分で帯を結べない人には分からない苦労かも。
この方、日に日に上手になっていくのが分かる。
コーディネートが楽しくて仕方がないに違いない。
毎回、何かに挑戦されている。

次の方…
京友禅風のあっさりした図柄を華やかな地色に。
帯は品の良い明綴れ。
花はどことなく桜にも見えなくもない。





何時もながらお上手。
春らしく華やぎもあり、この方ならではの品の良さを持っていらっしゃる。
着物の華やかさに負けない花がご本人にはある。

そして、着物は余り独りよがりにならず、周りの方々にまで華やかさのお裾分け・・・できる良いお手本だと思う。



次は、今回飛び入り参加のブログ友。
電車で4〜5時間かけて金沢まで遥々このために来てくださった。


右近の橘、左近の桜・・・のイメージで橘の小紋
帯は



切り嵌めの露芝の名古屋帯
芝が雪輪になっているのもこの時期らしくて楽しい。
コーディネートも着方もパーフェクト。
細部に至るまでご本人のイメージを引き立たせているチョイス。
帯締め帯揚げも文句のつけようがない。
帯が白、着物が黒、というコーディネート、一つ間違えば嫌味になる所を全く感じさせない。
着物の黒地に白い色が入るのと柄のチョイスが鋭角的にならぬ様に物凄く吟味されているから。
更にご本人の雰囲気もある。
こういう合わせ方、小物の選択、それはここ何年かでおいそれと出来るものではない。
多分長い間の着物愛好歴があるに違いない。

一目見た瞬間「やられた」感。(笑)
こういうコーディネートを見ると着物ってその方がもろに出る、とつくづく思う。



いつもはこの辺で「ではでは・・・」と終わるのだが、
前回コメントで雲龍柳の着物姿を・・とコメント頂いたので
恥ずかしながら最後に姥桜登場。(笑)




実はまだ正座が厳しい。
瞬間芸のような正座。
折り曲げた腿の高さが物凄く違うのは片方の脚がまだ代謝悪くてパンパンに腫れあがっているから。

着物は銀糸を織り込んだ薄汚し色の明るいグレー地の無地の着物。
帯は山桜の柄の袋帯
前述の富士山の柄は刺繍だったが、この山桜は刺繍ではない。
織出しの模様。だから華やかさにちょっと欠ける。
でも山桜はその方がしっくり来る。
着物をこの色にしたのは帯の山桜の白っぽい花びらの色に合わせたかったから。
後ろから見た帯はこんな感じ。





この日の胸にさした和装扇は平忠度

     さざなみや 志賀の都は荒れにしを 
                    昔ながらの 山桜かな

の上の句を書いてある露芝の扇子。



最初は扇子だけに桜を暗示させて着物も帯も一切桜を使わないでおこうと考えていた。

その方がお洒落だろう・・と。その方が恰好いいだろう・・・と。

でも気持ちって何て不思議〜♪♪♪
教室の前に桜の枝を生けていたら無性に桜の帯を締めたくなった。
桜の帯は何本か好きなので持っている。
満開の夜桜の箔帯もあるし、チラホラと花びらが舞う優しい染め帯もある。
紀貫之の歌を薄墨で書いてもらったものもある。

でもその中でこの山桜を選んだ。
今回はまだ桜が開花していない事も有る。
まだまだ気温も低いことも有る。
何より私は山桜のこのひっそり感が好きでもある。
山桜には里桜の華やかさはない。
白い花びら・・一枝の山桜・・・
だからお太鼓はすこーし控えめに小さく結ぶことを心掛けた。




今朝散歩していて南向きの山茱萸の花が満開なのを見つけた。
我が家の山茱萸は西向きで、蕾はまだまだ固いのだけれど。
春は本当にすぐそこ・・・


     ◇◆◇  4月の「いろは会」のご案内  ◇◆◇

    4月21日(土) 午後1時30分〜3時30分ころ
    
    端午の節句近くとなり、菖蒲、杜若、藤などの季節に向かいます。
    野にも山にもつややかな緑と空の青さが目に眩しい季節となります。
    着物のテーマ 「萌」とします。

   
    各自の思いや好み、イメージを表現した着物姿でお越しください。
    次回はこの時期ならではの襲の色目にも少し触れてみたいと思っています。
    なお参加希望の方は必ず予約必要です。
    メールもしくは雲龍柳の携帯にお願いいたします。