和装組曲♪

・・着付け教室、琵琶演奏、能面制作などに勤しむ日々のあれこれをグダグダと綴ります・・

伊勢型紙と行燈

先日、伊勢型を彫る作家さんから荷物がとどいた。
  

荷をほどくと・・なんと行燈。
そして行燈に付ける伊勢型紙を三枚。


伊勢型紙は美濃和紙を重ねて柿渋で貼り合わせ彫刻刀のような道具を使って精緻な模様を彫ったものである。三重県伊勢で彫られたことからこの名がある。
着物の世界では、江戸小紋の型紙になる。
柄が細かければ細かいほど技は難しくなるし値も張る。
気が遠くなるような作業を根気よく続け丁寧に彫らないと完成しない。
色々な種類がある。江戸時代は武士の裃に使われた模様でもある。
数千種類ある中で留柄といって武家ごとに柄が決まっていた。徳川本家はお召十、御三家は 行儀・格通し・鮫 で江戸小紋三役。特にこれらは紋をつければ準礼装になる格式の高い柄でもある。ちなみにわが加賀前田家は菊菱。
時代劇を見ていると武家の名前と裃の柄を注意してみると又一つの楽しみになるはず。
江戸小紋という言い方は、昭和三十年、小宮康助氏が人間国宝に認定される時他の小紋と区別するために使われるようになった。
  
その伊勢型紙を着物以外なんとか日常に使えないかと考え行燈の紙に巻きつけ使用することで、モダンな和文化を日常生活に提唱したのが今回型紙を送って下さったこの方。今では伊勢型紙をふんだんに様々なものに使ったり応用したりしているがその草分けの方でもある。

頂いた行燈にこれまた頂いた「竹と梅」の伊勢型を取り付けた。

日常に何の違和感もなくすんなり溶け込む。

今年、渋谷のNHKふれあいホールで作品展をされたときに見に行った経緯もあり私がそれを何枚か羨望のまなざしで見ていたのを気にとめて下さっていたのだろう。季節により職場の行燈に使いたいと思っていたのでものすごくうれしい。
着物愛好家でたびたび雑誌に写真や随筆、作品など出されているし、昔と変わらぬ艶やかな着物姿でよく登場なさっておられる。
NHKの「美の壺」にも今年夏出演されている。
江戸っ子らしい気風を地で行く話しぶり、サバサバとしたお人柄、年齢を感じさせない格好いい方である。この写真を見るとどなたかすぐ分かる方もいるだろう。
      

実際の型紙を使って作った彼女の文香は海を渡り今では世界中に羽ばたいていっている。去年は私のショーのためなんと五百個、一つ一つ手作りで作っていただいたのである。ショーにご来場頂いた方々のためにそれを一つ一つパンフレットに張り付けてお渡しするために。

今回更にこんな貴重なものを頂いていいのだろうか・・と思いつつ、返すつもりは毛頭ないちゃっかりお婆である。
      

昨日のイベントはこの行燈でお客様をお迎えしました〜・・・♪♪♪

このブログもきっと見てくださっていると思うので、この場をおかりして・・
  
         ・・・・・ ありがとうございました〜★★★・・・・・