和装組曲♪

・・着付け教室、琵琶演奏、能面制作などに勤しむ日々のあれこれをグダグダと綴ります・・

柳絞りのコーディネイト

以前お約束していた柳絞りについて書こうとパソコンに向かった。

向かったけれどネットで調べればある程度は誰でも知識が身につく。

で・・・・今回は柳絞りのコーディネイトを書こうと思う。

 

柳絞りはその名のとおり絞りである。

絞りというのはよく言えば可愛い、反面少し野暮ったくもなる。

ところが、こんな垢ぬけた柳絞りを見せてもらった。

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実に絞りが細かい。丁寧。そして手が込んでいる。

ちょっと分かりづらいのでこの写真ではどうだろう。

 

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地は綸子であるのでとても光沢がある。

しかも写真からは分かりにくいが地色は青磁色である。

拡大してもらうと分かりやすいのだが縫っている糸目が実に細かくて正確である。物凄く手間暇をかけて丹念に縫い染めたに違いない。こんな美しい柳絞りは今まで見たこともない位に素晴らしい。多分柳絞りに限らず、絞りを知っている方でもこの雰囲気はとても意外に違いない。普通はもっと絞りが粗く縞や染まりの太いところがあるのが普通なので。綸子地の渋い小紋に見える。

 

さて、この垢ぬけて品の良い柳絞りに合う帯を探して欲しいと言われたのだが、いやぁ・・・難しい。でもやってみましょう・・・と。ちょっとワクワク。勿論先方の予算もある。それがあるからなお楽しいのだ。

今日はその色々探し回った時のコーディネイトをお見せしよう。

 

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1

オーソドックスな組み合わせ。帯は袋帯で紺地。糸も細くしなやかで悪くない。でも普通過ぎて何となく面白みがない。何となくしっくりと来ないのは紺地のせいか。イメージでは青磁色と紺地は合うのだけれど実際見てみるとしっくりとしない。

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2

帯は手織りの綴れ帯。少し紫が入っていて着物の青磁色と合っていて素敵である。白いポイントもちょっと面白い。こんな帯なら帯締め青磁色にしたらすっきりとしていて楽しいかも。ただ私的には少し色っぽい。それが好きな人はそれで良い。

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3

こちらの帯も実に柔らかく締めやすそうである。細い糸で実に手触りもいい。

ただ私の好みの問題であるが赤い色がちょっと鼻につく。赤い色を入れましたよ…という作り手の媚が伝わってくるようで嫌だな。私ならこの赤い色は渋い緑色や紺色あたりが嬉しいかも。

 

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4

パチッと黒の名古屋帯青磁色に黒はきつそうに見えるが出かけていく場所にもよるのだが、花展や美術館辺りならぴったりかも。際立った色が入っていないので会場で作品の邪魔をしない。これはとても大切な事。柄も何気ない雰囲気でのしめ風なのも良い。

黒地の名古屋帯はどうしても花柄が多いのでこういうさりげない帯はとても貴重。

 

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5

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6

この二点は色違い。手織りの焼箔帯で実に美しい。お太鼓の所の上の柄が着物の地色と同じ色なのもさりげなくて悪くない。ただ帯が少し格が高すぎる。でも可笑しいかというとそうでもない。この辺りになると完全に好みの問題なのだが。

 

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7

思い切って雰囲気を変えてみた。こんなのを好きな人もいるに違いない。

色は合わなくはないのだが、この柄の大きさに関しては好みが大きく分かれるに違いない。沢山の帯を見るたびにぴったりはまる帯は本当に少ないことに気づく。なんとなく悪くはないのだが、やはり「これしかない」という帯に出会いたい。

 

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8

実にお洒落な帯に出会った。茶色なのだがこの青磁色の着物にドンピシャッ。帯の茶色の中に緑色が入っているからか、とても色は合う。おお・・・素敵。柄も波と舟。なんだか柄もとっても垢ぬけている。ただじっと見ていると舟がでかすぎる。もう少し小さいと良かった。多分仕立てると帯の両脇が縫い込まれるので地色の余裕が更に無くなってしまう。物凄く残念だが諦めるしかない。何本もの帯を見ていると流石に疲れてくる。

全くの余談だがこういう舟は案外誰でも見たことはあるだろう。ただ本物を見た人はいるだろうか。この舟と同じ舟を実家で持っていた。そういうと何人かの人が必ず言う・・私も見たことがある…と。では質問する・・この舟は網などで捕らえた魚を何処に収納するのか・・・と。舟の上に置いて漁を続けると炎天下の中魚は当然傷む。ではどうするか。。。実は保存場所があるのだ。そこまでは中々知らないでしょ?

この舟は刺繡と箔で実に上手に陰影や濃淡を描いているのだが、多分製作者はその場所を知っている・・みたいだ。

 

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9

こんな可愛い帯を見っけ!!! 可愛すぎる。楽しすぎる。

そして、あ・・あ・・高すぎる。

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10

柄をアップしてみる。歌舞伎の勧進帳がテーマ。由水十久さんの作品。

「あいや、暫く」と皆を制しているのは弁慶らしき。全員がどうも弁慶格子を着ているように見える。やはりこの方の唐子は何といっても可愛い。しかし帯が如何に可愛くてもこの青磁色の着物には若干無理がある。勿論どの帯も合わせて可笑しくはないだろう。ただぴったりの物を探したいだけ。ちなみに前の柄は

 

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11

松。むーん、この松も可愛い。この帯はこの着物でない方が柄が生きるに違いない。

結局中々ぴったりくるものがなくて更に後日に探索続行。流石に疲れた。

でもここまで来たら探すしかない。どれももう一つ・・・と。

中々なくて諦めていたところ・・・遂に見つけた。

 

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12

どうだ?悪くないでしょ。。。探索に一週間以上かかった。

グレーの輪つなぎ、花つなぎ、まるで見ようによっては麻の葉模様風の袋帯

でもこの幾何学模様が絞りを邪魔しない。いとも細くしなやかで締めやすそう。

しかも値段がとても手ごろ。こんな着物と帯で街を歩く人って素敵じゃない?

私的には全部の中で一番恰好良いと思う。色味が抑えられている分帯締め帯揚げで色々楽しめる。春にはきっぱりしたグレーでも、青色でも、緑色でも、レモン色でもワイン色でも素敵。多分幾何学的なこの帯なら案外と無地っぽい濃い着物にぴったり合うはず。

いゃあ・・・~見つかってすっきりした。

 

ちなみに私だったら…と勝手に自分の好みの帯も知らず知らず探していた。

 

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私だったら12の帯も好きだけれど、若干重い感じのこの帯が好み。鎧縅風の重厚な雰囲気の焼箔の手織りの逸品。絞りの着物にはちょっと重厚すぎるけど私はそれ位が好き。柄も細かいので死ぬまで使える。勿論帯締めは白っぽい青磁色のできるだけ凝ったものにしたい・・・などと「う、ふ、ふ」とにやついていた。誰も私にくれるわけではないけれどひと時楽しんでいた。

 

コロナで外に出かけることもないし、着物を着ることもない。たまには美術館でも…と思うが入場制限とかでネットから申し込まないと受け付けてくれない。

着物とはちょっと遠ざかっているこの頃、せめてコーディネイトでもと遊んでみた。

お店や問屋さんめぐりは結構息抜きとなった。楽しかったよ。

私に付き合ってくださった店員さん、オーナーの方々本当にありがとうございました。(九拝)

 

実際マスクとさようならはいつの日の事か・・・

皆さん、上手にストレス発散できてますか~~~。。。。

 

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青空

 今日は天気が良かったのでたっぷり散策・・・みんな、またね~・・・・♪