以前9年前に「山葡萄の下駄」を書いた。
4、5年前に突然コメントがあった。
tさんという方からだった。
「その下駄は今どうなってる?」
「そのうちにアップしますね」
と答えた。忘れていたわけではない。
忘れていたわけではないのだか、お見せできる状態ではなかった。余りにもバタバタと傷み酷かったから。
暫く休みもある事だしと、その下駄を直しに出そうとネットで検索。
何処かがきっと直してくださるはず、と。
ところが何処にも悉く断わられた。
京都の下駄屋さんにも、東京の下駄屋さんや問屋さんにも。
買うときは100年持ちますよ、とかいつでも貼り替えます、とか言っていたのに。ちなみに買ったお店は既に廃業していた。
山葡萄の表面を剥がして、新しく台を作り其処に剥がした山葡萄の表面を貼る、それだけの事ではないか。段々腹が立ってきた。何をそんなに勿体をつけるのか・・・
しかし問い合わせた問屋さんと色々話していて気づいた。事はそんなに簡単ではなかった。
今はこんな感じ。
上から見るとまだ履けそう。しかし
踵がもうない。
常にアキレス腱を伸ばすリハビリ用にしか見えない〜(笑)
鼻緒も泥染の渋い奴だが、過酷な使い方に遂に耐え切れず〜
台もさることながら、鼻緒も変えないとあまりである。
下駄や草履の衰退は着物の衰退から想像に難くない。今は杉や桐の下駄などより安価で手頃なプラスチックものばかり。磨り減ったら捨てるのである。ましてや山葡萄など張り替えるなんぞ今の時勢やる人がいるわけない、と電話口。しかも下手をしたら山葡萄の皮を剥がす時万が一失敗したら弁償物。誰だってそんな危険をおかしたくはない。もし上手く何とか形になっても傷んでしまった山葡萄の蔓までは修復出来ない。いやあ昔は傷んだ蔓まで綺麗にそっと抜いて新しい蔓を入れて修復する職人さん、居たんだよなあ〜〜と懐かしむ人もいた。今は輸入物の山葡萄使っているからねぇ…と。そして「今は無理、諦めなはれ・・」ときた。
そうかい、もう頼まぬ。自分で探す。
きっと何処にいるはず。
「任せな!」
そして言う。
「綺麗に直してやるよ!」
「姐さん、待ってな!」
と。
「うん、待ってる~♪」
私は少女のように答えるのだ。
きっと私の目はキラキラと星が輝いているはず。
(話変わるが、先週私の目に小さな何かゴミらしき物がはいった。余りにも痛いので目医者に行ってきた。何と小さな金属片とか。しかも入ったときに手でこすったらしい。その先生曰く「キラキラしてる。金属だね」目に刺さっているとか。麻酔をして取って貰った。私には3度目。小さな目の癖に何でもよく入るのだ、余談〜♪キラキラで思い出した。)
話戻して・・・
絶対何処にいなせな職人さんがいるはず。
その人は吉原繋ぎの手拭いを頭に巻いている、きっと、首に下げているかも。イヤイヤ腰に下げてるかも。その三箇所ともだったら笑っちゃう。
きっと生徒さんの中には「吉原繋ぎってどんな柄?それも分かりやすく出して!!」
という人がいるはず。それくらいは自分で探しなはれ。
自分で調べたものしか記憶には残らないよ、きっと。
格好いい柄さ。案外男物の浴衣に多い。若々しい柄。
かくして山葡萄の下駄復活作戦が始まった。
以下、次回という事で。
は、は、は・・・・いたよ・・・・