和装組曲♪

・・着付け教室、琵琶演奏、能面制作などに勤しむ日々のあれこれをグダグダと綴ります・・

はや二月〜♪

本当に寒い日が続いていた。
それでも時間を見つけて歩いた。
一日一万歩は毎日歩き続けたかった。

膝の筋肉や腱を鍛えておかないといつ何時この頼りない我が膝は「ぐにゃり」となるかと心配だから。
頸椎も腰椎も損傷や圧迫骨折しているので首にはマフラーをしっかり二重に巻いておく。
「こんなに寒い時は外に出ない方がいいよ〜」
と物知り顔でなまけ心が呟く。
「一日位休んだからといって変わらないよ〜」
と、心で悪魔がささやく。
どんな時もやらないよりやった方がいい。
それに一日休むと次の日が更に辛くなる。
今日できなかったことが明日できるわけがない。
寒いだの、雨が降るだの、雪が降るだの、雷だの…
北陸でそんなことを言っていた日には歩ける日がないのだから。

   かくて かく在り、かく生きる


くじけそうになる今日という日を何とかだましだまし歩き続ける。
散歩途中で見つけた他所のおうちのツララ〜♪




今年の寒さは特別だ。
しかし寒いのは私だけではない。

橋の下を見ると何と・・・




川の水でツララの先の方が溶けている。
橋にもこんな風にツララができているのはあまり見たことがない。

そんなこんなで雪と格闘し低温と格闘している時に
何と思いもかけぬこんな嬉しい届け物〜♪♪



イ・チ・ゴ・・・♪
静岡のブログ友が送ってきてくれた。
しかも冷蔵便で。
でないと凍るから、と。
そんなことを想像できる人がどれだけいるだろう。
やることが憎いっ☆
しかも赤い色は元気になる。

夜、寒さで冷え切った身体をゆっくりゆっくりもみほぐしお風呂でぬくぬく。
そのあと、ワインで真っ赤なイチゴを頂き

    「 ★し・あ・わ・せ★ 」


家の前の雪の量も有るには有るのだが一段落。
またまた来週から雪が続くようなのでその前に・・・と
先日気分転換に県の美術館に出かけて来た。

それがこれ!!



村雨山。
昭和30年、人間国宝という認定制度ができた時の第一号の方。
小さい時から名前だけは聞いていた。
今のように誰でも着物に「号」を書ける時代ではなかった時から他とは別格の扱いをされてきた方である。
何が凄いのか、何処がそんなに素晴らしいのか、実は何も知らなかった。
ただ周りの大人たちが称賛の声を上げるので「ああ、そうなんだ」というレベル。
今回知り合いの方から招待券を頂いた。
途中余りの雪の多さに
「見に行っている暇がないだろうな〜」
と諦めかけた時もあった。
仕事の合間に家事と琵琶と能面制作をこなすだけで目一杯の所にこの雪。
除雪で目一杯目一杯、目一杯の日々となった。
でも、その方が並々ならぬ熱意で木村雨山の凄さを語られていたのを思い出す。

で時間を見つけて行ってきた。

結論は、ああ〜とても言葉に表せない。

没後40年たっているというのに、何と新しい。何と今でも斬新。
しかもすべてが縦横無尽。
スケッチブックはまるで昆虫図鑑、植物図鑑。
ここまで緻密にここまで精巧にスケッチする必要があるのかという位に極精密。
でも着物に書かれた時の大らかさ、大胆さ、抽象さ。
抽象は写実を超える…
そんな言葉がふっと浮かんできた。
友禅という範疇を超え自由に気持ちの赴くまま・・
そんな世界が着物地に展開されていた。
あ・・ぁ・・この方は本当に好きなんだ・・・



圧倒されて時間の経つのを忘れてしまった。
館内は4〜5人程度しかいない。
静かでゆっくり解説など読みながら好きなだけ好きな作品の前で立ち続けていた。
一時間程度でサッと見て帰ってくるつもりが気が付くと3時間以上いた。
帰り道は既に暗い。


帰り道・・
感動して自分の気持ちが静かに高揚しているのに気付いた。
あの人は一つの世界を創ろうとしていたのだ。
自分を掘り下げ掘り下げそして既存のものを打破して新しい自分の世界を創る。
そしてそれも又満足しなくて更に掘り下げていく・・永遠に続く。だから常に新しい。
どの着物も実に新しかったではないか。
自分の世界を持つ人は強い。

それでもそんな自分を更に突き抜けていく新しい自分・・・


そんなことをブツブツと心で繰り返しながらの帰途。
あの人を超える人はひょっとしたら出ないかもしれない・・と。
ああいう仕事に従事する人々は超えられないその存在をどう受け止めているのか。
諦めていくのか・・
追随していくのか・・

真似をする人は所詮真似。
コピーはどんなに素晴らしくても、どんなに頑張っても本物を超えることはない。

自分の世界を持つことの大切さを少し教えてもらった気がした。

       勉強しよう!!!

コツコツと勉強しよう。
それしかない。
自分の世界を持つよう頑張ろう。
それしかない。

       ありがとう〜♪

誰に言うともなく感謝した。
精神が少し啓蒙されたひと時だった。


身体は冷え切っていたのだが、心の一部が熱く力強く私を温めていてくれた気がした。
家へ帰って又黙々と除雪した。