和装組曲♪

・・着付け教室、琵琶演奏、能面制作などに勤しむ日々のあれこれをグダグダと綴ります・・

テレビ収録・・・無事終了〜♪

暖かくなったり・・・寒くなったり・・・・
気候が体調やその日の行事に合わせてくれるはずもなく・・・
今日は2月本来の寒さである。
朝から霰や雪が舞い散る寒い一日
裸木に一羽止まっているのは大きさからヒヨドリあたりかな。




でも昨日は霰や雪の降る日ではなかったのが幸いだった。
昨日はテレビ収録の日。



場所は和装組曲の教室の2階で。
テレビ局は「テレビ金沢
そして・・・



愛らしくお茶目でキュートなテレビ金沢のスタッフさんたち〜♪
どの方もめちゃ・・・「かっわいい〜♪」
和装組曲のスタッフから黄色い声援が飛ぶ。(笑)


着物の撮影なら何度か経験があるのだが、今回はなんと・・・琵琶。
年だけはベテランなのだが、琵琶に関してはまだまだ未熟で経験浅い私である。
相方はこの方・・・藤舎秀代さん。



いつもになく、二人神妙な面持ちでテレビ局の担当者から段取りの説明を受ける。
二人が演奏するというより、この日はある方とコラボ。

その方は・・・この凛々しい方。




松原健之さん。
ひゃあ〜・・着物が物凄く似合う。

松原健之さんが五木寛之さんの作詞「金沢望郷歌」を語られる。
そのバックで藤舎さんが篠笛を吹き、語りの最初と最後にほんの少し私の琵琶の演奏を入れさせていただいた。



そしてこの日松原健之さんの紋付、袴の着せ付けを担当したのが和装組曲のこの二人。



終った後なので二人とも安堵の笑み。
前日からドキドキして眠れなかったでしょう?
お疲れさまでした。


◇・◆・◇・◆・◇・◆・◇・◆・◇・◆・◇・◆・◇


実はこの日の私の着物はグレーが入ったブルー。
世界の色でいえば「cerulean blue(セルリアンブルー)」の薄い色。
19世紀半ばに発売された顔料に使われてからこの色は定着した。
油絵具では塗り重ねていくと一番自然で美しい空の色となる。

では日本の色としては何というのか・・
ぴったりと一致する色があるようでない。

敢えて言えば「浅葱色にグレーを混ぜた色」という雰囲気か、それとも「新橋色を濁らせた色」というべきか。
「浅葱色」と「新橋色」のまさしく中間の色。
新橋色というのは案外聞きなれないかもしれない。
別名「金春色」(こんぱるいろ)のこと。
明治末から大正にかけて流行した色で東京の新橋が由来。今は銀座に金春通りが残る。

青色というのは理性、堅実さを象徴した色目であるのだが、この色だけは美人画に多く使われているつややかなイメージを持つ。化学染料が日本に輸入され流行し、先を競って和服に取り入れたのが新橋の芸者衆。芸妓の置屋が金春新道にあったことから「新橋色」とか「金春色」とか言ったらしい。
「日本の色辞典」(視覚デザイン事務所)によれば伊藤深水の「吹雪」の絵の女性が来ている着物がまさにこの色とか。
又その書によれば、明治初期のころ芸者には等級があり、

   一等が新橋、   二等が日本橋、葭町、新富町数寄屋橋
   三等が吉原、鳥森、四等が深川、神楽坂、五等は赤坂だったとか。

その新橋色を濁らせ少し薄めたような色で、ちょっと一ひねりしたひねり青でもある。
若い時なら着たのだが、今ではまずお蔵入り。
こんな色は着ない。似合わない。色に負けている。色が美し過ぎるのである。
つまり物凄くお婆に見えるから。(笑)
そして帯は柄の一切ない箔帯。
何処までも自分の顔写りや見目を度外視した。
涙なくして読めないけなげさであり、苦渋の決断でもあった。(笑)


・・・もしこれが法廷なら・・・

お婆に見える、と言う言葉にこの着物がすかさず
「裁判長、意義あり!!」と手を挙げるに違いない。
「実際お婆であるのは厳然とした事実であり、着物の色のせいにするのは心外であります。
只今の発言は即刻却下願います。」と。

裁判長は私の顔を静かに見る。

「しかるべく・・・」
と私はここで発言却下に対して消極的容認。
失礼〜失礼〜。
お婆度がアップすると言い換えるべき。
「裁判長〜・・・」
後ろから着物の声がする。
はい・・はい・・
確かに色が悪いのではない。自分が悪いのだ。トホホ。。。。

では何故にこの色をチョイスしたかというと、全ては琵琶の為である。



この黒塗りの琵琶を引き立たせ目立たせたかったから。
年は取っていても何処までもけなげな私。
自分の事より、琵琶の事。
塗りの琵琶はとても珍しいのでこの日師匠が貸してくださった。
その気持ちに応える為には自分の顔写りを第一に考えて着物を選んではいけない・・
如何に琵琶を美しく見せるか・・それしかないだろう。それに腐心すべき。
録画された映像は4月24日に放送されるはず。
だったら4月に一番美しいと感じる空の色を着よう。
少し濃い青色の方が琵琶は爽やかに見えるに違いないと。
この着物にしようと、前日に決めた。

ところが、ところが・・自己犠牲をいとわず「琵琶こそ我が命」とチョイスしたにもかかわらず、
実際はライトが塗りにぴかりと反射してしまった。
しかも着物の色はライトで薄めに写ったようである。
まるで違う色の空色の着物となった。
こんな事なら、最初から自分の顔にちょっとでも似合う地味な色の着物にすればよかった‥。

頭の中でマンボのリズムに乗って美空ひばりさんが軽快に「お祭りマンボ」を歌っている。
そのバックでは法被姿の若衆がうちわ片手に白足袋で
「それ〜それ〜それ〜それ〜・・・♪」と軽快に踊っている。

      ・・・あとの〜祭り〜よ〜・・・♪


誰も知らないだろうなあ、こんな歌。(笑)


デジカメだからこの色なのかもしれない。
実際のテレビの映像は本物の色に近いかもしれない。
期待しよう。
和装組曲関係者の皆さん、見てくださいね。
夕方の番組・・テレ金ちゃん・・。



まあ、何はともあれ・・・

無事撮影は終了。。。
皆さんお疲れさまでした。



松原健之さん、藤舎秀代さん、そして松原健之さんのチーフマネージャー&関係者さん、
テレビ金沢制作担当者さん、カメラさん、音声さん、
和装組曲の関係者、皆さま長時間本当にお疲れさまでした。

そして何より未熟な私にお付き合いくださいました松原健之さん、藤舎秀代さん、ありがとうございました。




木蓮のつぼみが膨らんできている。

     ♪〜春はもうすぐ〜

私の頭はもう既に春が来ているようだ。(笑)

ゆめみ会の皆さん、今度の教室で日本の色、少し勉強しましょうね。


  ※今日のブログの写真の掲載に関しては
     テレビ金沢松原健之さん共に了解を取って掲載しています。