和装組曲♪

・・着付け教室、琵琶演奏、能面制作などに勤しむ日々のあれこれをグダグダと綴ります・・

丹後のIKUちゃん

「自慢の作品を見て〜!!」と携帯メールに送られてきた。
新生児用のベット。





義理の妹さんのお孫さん用に丹後のIKUちゃんが作ったもの。
椅子を二つ向かい合わせ、動かないように脚を固定。椅子の上にはアイロン台を乗せクッションとしてある。周りを布で巻き新生児用として可愛いベットの出来上がりとなった。


このIKUちゃん・・・・
何度か私のブログに登場してもらっている。


    「二人の女性〜♪」              http://d.hatena.ne.jp/umryuyanagi104/20130612/1371007272


両足の膝を手術されていて長い時間は正座ができない。
それにもかかわらず和装組曲に着物を習いに来られた人でもある。
何と丹後から金沢は車で6〜7時間位はかかるはず。
所用で金沢にいらした時には、和装組曲へ寄られて自分で着ることとお嬢さんの振り袖を着せることを習われた方である。

確か3〜4年前の事。
まだ手術した両膝が完全ではないのに乗馬やテニスもされていた。
本人曰くリハビリを兼ねた趣味とのこと。
ご本人、どこまでもポジティブ。
膝が悪いと怖くて馬になど乗れないのが普通なのに。

家庭では三人の子を持ち、お姑さんを持ち、ご主人の仕事を手伝う。
認知症のご自分のお父さんも県外から近所に引き取り、しかも今回は左半身不随の義理の妹さんまでもしばらくご自宅で見られている。

その義理の妹さんのお孫さんにあたる新生児が訪ねてくるというので彼女の知恵で即席の新生児用ベットの誕生。


和装組曲には本当にいろんな生徒さんがいらっしゃる。
中には舌を巻くような頑張り屋さん、そこまで・・と驚くような苦労人、とてつもないインテリ、一代で大きな会社を立ち上げた女傑、などなどいつもこちらの方が頭が下がるのだが、そんな中でも一番のポジティブシンキングな人はこのIKUちゃん。
主婦業に専念されている方ではない。正業の仕事を持っていらっしゃる。
地域の在宅での終末医療に携わるケアマネ&訪問介護の仕事をしている。在宅での看取り&24時間電話応対もこなす。
電話がかかればそれがどこであろうがどんな時間だろうが必要に応じて訪問介護し、地域や病院、警察への応対もする。
しかもである。動けない人が少しでも楽になるようにと整体も導入して患者に施す、整体師IKUちゃんの顔も持つ。私も膝の半月板損傷の時には整体を何度か施術してもらったものである。更に病人や家族の話し相手もこなす。それにはただ話を聞くよりも少し専門知識を持っていた方がいいだろうと少し前から臨床心理学を通信講座で学ぶ大学生でもあるのだ。
「女子大生のIKUちゃんで〜す♪」とメールが入ることもある。(笑)
明るさが突き抜けている。


先日琵琶の会場で「お客様ですよ」と呼び出され受付に行くとこのIKUちゃんの姿。
久しぶり〜と話が弾む。
たまたま金沢に来ていて琵琶の事を知ってきました、と。
こんなことなら着物を着てくればよかったとも。
10分もあればパパッと着るのでこの方にとっても着物など苦でもない。

この日は上手く歌も演奏もできなかった私は控室で落ち込んで死んだようになっていた。
IKUちゃんの弁・・・
「歌など聞いていなかったわ。それより先生息長いね。一緒に息を吐いていたら続かなかった」と。
独自のマイペース世界観を持っているのも相変わらず面白い。

このIKUちゃん、今酸素ボンベなどの必要な肺機能の悪い方にそれを改善するために息を吸う事より吐ききることを推奨しているらしい。実は私も最近自分で思う事、胸いっぱいに空気を吸うのもさることながら小さく細く最後まで息を吐ききることが案外肺の訓練になるのではないかと思っている。ご近所の方で24時間酸素ボンベを付けないといけないような重病の方が今ではボンベ無しで畑仕事をこなされているのを目の当たりにし、人間の失った機能を残った機能が補おうとする可能性というものの凄さに驚いてもいたから。
そんな自分の近況をいつも熱く語る人でもある。

色々な事に次々と挑戦しいつも人のため家族のため地域のために喜々として働き、工夫し、知恵を出し、周りに感謝と笑顔に包まれている。
「あなた、大した人ねえ」と言う私に
「いやいや皆中途半端なの」ところころ笑う。

彼女のおうちはいつの間にか、
「ブライダルサロンIKU」になったり、「居酒屋IKU」になったり〜しているとか。
仕事の合間に段取り良く何十人もの人の食事でもホイホイと手早く作ってしまう手早さとかいがいしさ。
感の良さと頭の回転の速さがずば抜けているのと、それに負けぬくらいの手の速さ、そして段取りの良さが彼女自身を助けているのだと思う。
彼女にかかわる沢山の人に笑顔を与えているんだろうなあ〜♪
いやいや何よりも根底に人間が好き、人の笑顔が好き、喜んでもらうのが好きがあるのだ。
中々理想はあっても現実できるものではないもの。
多くの人と関わりを持つというのはそれに見合うだけのマイナスも同時に受けざるを得ないのが現実でもあるから。
それらを消化しながらも、ものともせずに突き進む・・・・
やっぱり大した人よ、あなた。 

私も物凄く元気を頂きました。
IKUちゃん、ありがとう〜♪
又丹後へ遊びに行くねっ。

           

  ※いろは会の「角だし銀座結び」をアップしたかったのだが、デジカメが壊れた。上手く写っていなかった。楽しみにしていた方、ごめんなさい。