和装組曲♪

・・着付け教室、琵琶演奏、能面制作などに勤しむ日々のあれこれをグダグダと綴ります・・

感動した〜♪♪安村敏信著「美術館商売」

何からどう書いていいのか・・・
若干独りよがりの私らしい好みの強いものであるのではあるが、物凄く良かった。

実はこの本・・・のこと。


美術館商売―美術なんて…と思う前に (智慧の海叢書)

美術館商売―美術なんて…と思う前に (智慧の海叢書)


こんな本があるのだ。
いや、こんな人がいるのだ。
美術館の職員に。
しかも日本美術研究家に。
古美術を一般の人にここまで分りやすく解説して下さる方がいるのだ。


長い間、美術館や博物館、能楽美術館、伝統工芸展、文化財展・・・
諸々の所でずっと言葉にできない不快感やいら立ちを持っていた、私。
いや、不快感というより疲労感という方が的を得ている気がする。
いやいや、京都の古刹でさえ時には私をいらいらさせる。
無愛想な受付の人であったり、上から目線の解説の人であったり。質問さえ受け付けぬ所があるのだ。
いや「ご質問は?」の一言はあるにはある・・・しかし、言外に「くだらない質問はしないように・・」と言わんばかりである。もっともそれでも気付かない風を装って何度でもめげずに質問したこともある。トイレの汚さに至っては言語道断であったが、これは此処では触れないでおこう。

古いものを見たい、いい物を見たい、そして解説も受けたい、ついでに楽しみたい、できれば蘊蓄もあれこれ聞きたい、ちょっと触らせてもらえたらなお嬉しい、・・・・・・・所詮ど素人の私ではある。
ああ、それなのに、それなのに、ほとんど得も言われぬ不快感や疲労感に体中満ち溢れ、当分もう行きたくない・・・と思って帰ってくる。きっと私にはああいう高尚な場所は似合わないのだ、と自分で自分をなだめていた。言い聞かせてもいた。でないと、腹が立ってしょうがないからだ。
展示品が照明で劣化しないように薄暗い展示会場はそれはそれで私にも分る。しかしそれならなぜしゃがまないと読めないような解説や案内を小さな文字で書くのか、高さなどを工夫しないのか・・・又ある程度の大きさは必要ではないのか・・

そんな時「止まらないで進んで下さい」とアナウンスされる。
だって解説読んでないよ・・・字が細かすぎてしゃがまないと読めないよ。



それが、どうだ。それをキチンと指摘ししかもうす暗い室内でも読める時の大きさまで解説されているのだ。



この本を読んで実にすっきりと心が晴れるではないか。
こういう人もいる・・・
ここまで考えている人もいる・・・
こういう場所もある・・・
そして動いている集団がいる・・・・

こういう風に工夫して楽しい美術館を目指している学芸員さんがいる・・・
現に実行している美術館もあるのだ・・・


嬉しかったねぇ。
溜飲さがったねぇ。
私は間違っていなかった、と。
私の指摘は的外れではなかったのだ。
読みながら飲んでいるセールの安物ワインがとてつもない高級なシャンパンに思えたねぇ。



展示場所が研究者や一部学芸員の研究場所であるべきではなくあくまで一般の方が見に行った時の感動の場所であるべき場所ではないのか・・・という私の気持ちを実に詳細に代弁していて下さる。
そうだ、だから研究者が研究材料を「仕方ないのですこーしだけ見せてやろう」とガラスケースの中に惜しそうに上から目線で展示するのだ。どうせ分らないだろうけど・・と雰囲気は伝わってくる時すらある。
展示する時のコンセプトを明確にしプロのプロデューサー等がしっかり関わる方が、見に行く方も面白いし楽しいのだ。時には手を触れ、時には解説などを聞きながら、時には写真なども写して・・・。初歩的な質疑応答も時にはあり。美術館も博物館も、文化財も楽しく感動に満ち、新しい発見の場所であってほしいのだ、私は。
この著者のように一作品に三段階での解説・・凄い。初心者から子供にでもわかる所から、その研究者の知識欲や学術探求まで網羅する解説パネル、字の大きさだけでなくその設置の高さ、内容まで言及されているのだ。

私なぞは、そこに出かけることによってそこに行かないと分らない、味わえない新鮮な感動を何かしら求めて出掛けるのだ。学術的な価値や知識を得たいなら図書館で図録を見れば十分ではないか。人はそれぞれだが、どんな人にも対応し適応できるような工夫、少なくとも対応しようとしている方々の存在はとても嬉しかった。

歴史的に価値があり展示することによる作品の劣化などの恐れがあれば初心者にはレプリカだっていいのだ。著者も全く同じことを言われている。これはこの本を一読する必要あり。この本は各種誤解を招かぬように配慮され実に系統的にきちんと書かれている。この著者は「作品の劣化が怖いなら見せなければいい」とまで言い切っている。私と一緒だ・・惜しそうに見せるくらいなら見せてくれるな、と思う。私は単なる腹立ち紛れの弁。見せれる物を見せる、そしてその見せ方の工夫が大切。もつと、もっと知恵を絞らないといけない。

そしてこの本・・多分一般の方というよりも美術館や博物館、各種工芸品展示会場などで働く方に読んでほしい。
いや、絶対読んでおくべき本である。

大げさな言い方かもしれぬが、此の本と私は廻りべくして廻りあった気がする。
日経アソシエに始まり、expressの琳派の特集記事、
そしてその時の安村敏信氏の偉ぶらない肩書と分りやすい解説・・
今度この著者が勤務している実際の美術館、絶対行ってくるぞと誓った私である。
多分一見は一読よりも更なる感動があるはず。まだまだ捨てたもんやないなあ・・・と、喜びの極みである。

ずっと自分が疑問に思い、秘かに主張し、誰にも分ってもらえぬながら小さな鬱屈を持っていたことがこの一冊で此処まで爽やかに晴れ渡るとは…やはり書物は素晴らしい。何処までも専門的になるきらいのあることをこういう風に分りやすく書ける人って凄いね。尊敬である。

何年か前、 京都の美術館でフェルメールの展示があった時は日帰りで往復何時間もかけて行った私は混雑する美術館で身動きとれない経験があった。なにせ入るまでに一時間以上は外で待たないといけなかった。入ったら入ったで、トイレにも行けぬ混雑具合。展示物どころか前の人の頭しか見られぬ。説明やアナウンスも聞こえるはずもない。入り口付近で私はすぐ諦めて出てきた。3分とかからない諦め時間だった。往復7時間かけて電車に乗り、1時間以上列につき、入場料払って、入口から入って3分で諦めた私の怒り。憤懣やるかたなく係りの人に「何故身動きもとれぬほど客を入れるのか」と聞いたことがある。「見たい方をお一人でもお入れするよう配慮しています」と。だめだこりゃあ〜と苦い思いで帰ってきたことがある。その時に美術館の方と私の会話は全くかみ合わなかった記憶がある。私は係りの方よりも、考えもなしに金沢から出て行った目出度い自分にすこぶる腹を立てていたっけ。

わざわざ京都の例を出さなくても金沢でも一杯ある・・ある。。。
去年能楽美術館に行った時もそうだった・・・
「実盛」の能衣装を展示してある時、「実盛」の白髪を染めた時の手鏡を沈めて有る池のありかが会場で地図で示されていた。
大まか過ぎる地図なので、正確な場所を確認したくて係りの人を探すが会場には誰もいない。少しほろ酔い気分の詩吟か何かの集団が騒いでいた。注意する方もいない。事務局まで行って聞く。長く待たされた後に「担当者がいない」と。「先日40人の隊を組んでバスで現地へ行かれたのでは?その時の方が全員不在?」と意地悪く聞く私。あなた方は県の税金を使って自分たちの経験や知識を増やしても、それを必要とする県民には還元できないのですね?心で鋭く突っ込むがアルバイトらしきお姉さんには何も言わなかった。言った所でどうなる?相手の立場上謝るしかない状況でしかない。この姐さんが悪いのではない、こういう子を1人残して皆不在にするこの責任者が悪い。
かくして其の何日か後に自分で実盛古戦場、首洗いの池等を回ったのだが、手鏡を沈めてある池だけは場所がはっきりしなくて行けなかった。入場券を払い聞きたい事や知りたいことを求める閲覧者に案外不親切であるだけでなく無神経な対応であることを身を持って体験している。

ただ自分の意見を言うのはいいのだが、人を非難するのは聞いていて気持ちの良いものではない。
又、自分自身も物凄く心貧しく感じられ言った後にはとても不快になる。
それでも今回は例を上げないと自分の体験として説明できなかったので書かせてもらった。

列挙すれば枚挙にいとまがない程、憤怒の山は限りなくあるのだが・・・これくらいにしておこうと思う。
ブログにも憤懣はさらりとしか何時も触れないようにしている。ただ私の友人達は私から恐ろしい辛辣な言葉を何度も聞いているはず。ただ余りに同調は得られずどうも私の独り相撲のところが多かった。むしろ友人たちの顰蹙を買っていたのではないかとさえ思っている。
「あなた何今更〜・・・美術館はそういう所よ・・〜・・」と。

だからいつの間にか美術館、博物館、文化財、各種工芸品展示はあまり期待せず、結構心に鎧を着て腹を立てないように自分に言い聞かせて出かけたものだ。期待しすぎてはだめだ・・・思い込み過ぎてはだめだ・・・学芸員の方々は何時だって上から目線・・・見せてやろう・・・と。私はただ静に見て知りたいことだけ手に入れて静に帰ってくればいいのだ・・と。美術館も博物館も所詮そんなところ・・と。どんな意見を言おうが所詮素人の意見など取るに足りぬ事に違いない。この本を読むまでず〜っとそう思い込んでいた。

美術館にワクワクしながら行けるようになるかも・・・と、ちょっと嬉しい。
今度はどんな見せ方をして楽しませてくれるか・・・と、それも楽しい。
何よりも自分の感覚は間違っていなかった・・と。
最近一番のヒット本〜♪♪
ありがと。ほんとにありがと。
この本に出会えたことにすこぶる感謝。




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朝晩の散歩コースに芍薬のわんさかある畑がある。


「わあ〜っ!!凄くきれい〜♪」

テンション上げて言う私の声にそこのお家のおばさまの反応〜・・水やりをしながら・・・・
「私のこと?」とニッと笑う。

う・・〜・ん。
そうきたかぁ〜。
ちょっと黙ってしまったよ。
完全に私の作戦負け。(笑)



蟻さんが一杯ついているので噛まれないように・・・と注意を受けて山ほどもらって帰ってきた。
お陰で今日の仕事場は芍薬でむせかえるほど・・・いっぱーい・・・♪
ボタンほどあでやかではないけど、この少し引いたひっそり感も捨てがたい。

今我が家の庭にはセンダイハギ・・・が真っ盛り。


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さて前回のブログで触れた初心者向けの勉強会「着物いろは会」・・・
今日午後開催。
本当に基礎的な事から始めて10回程度やってみようと思う。

ちょっと緊張して写っているかも…皆さん三者三様の顔。
向かって左は5回済んだ方、右の方は今までまだ4回の方。
指導担当は後ろのコメントでおなじみケセラセラさん。
出来るだけ私も参加しますね。
今回は見学の方も1名・・・ありました。

2回目は5月30日(土曜日)1時から・・・着物の格について
3回目は6月13日(土曜日)1時から・・・透ける着物の着方、小物の合わせ方について

料金は1回のみの方は    3000円
   4回チケットの方は 10000円
  10回チケットの方は 20000円

毎回完結なので、1回のみでも複数回でもOKですよ。
そのうちに軌道に乗り出したらHPにアップします。
まずはとりあえずコメントでおもだかさんからご要望ありましたので告示しますね。

そうそう・・・originalkさん・・・以前見られた方とは違うでしょ?
この方は4月の末日が第1回目で来られた方でゴールデンウィークで短期集中で5回習われた方なのでどなたも知らない方です。

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今日は「萩」の葉っぱと「センダイハギ」の葉と四葉のクローバーの葉の違いのことで盛り上がった〜・・・
ケセラセラさんの帯の模様がはたして何の葉だろう・・ということで。
残念。写真を写せばよかった。

今日のブログの最後はその萩の葉の写真を。。。。。
出たばかりの新葉なのでもう少ししないとあの萩特有のまん丸の葉っぱにはならない。


みなさん・・・よい週末を〜♪♪♪