和装組曲♪

・・着付け教室、琵琶演奏、能面制作などに勤しむ日々のあれこれをグダグダと綴ります・・

今読んでいる本〜♪

こんな本をいつ買ったのか…
全く記憶にない。
しかし書架に入っているのを一カ月前に見つけた。

われわれはなぜ死ぬのか―死の生命科学

われわれはなぜ死ぬのか―死の生命科学


養老孟司氏の「解剖学教室へようこそ」の横にひっそりと入れられていた。
「解剖学・・・」の本は確か40年以上前、まだ学生だったときに買って物凄く興味深く読んだ記憶があるのだが。


解剖学教室へようこそ (ちくま文庫)

解剖学教室へようこそ (ちくま文庫)



目に留まったのも何かの縁だ。
今日のブログは生命科学者・柳澤桂子氏の・・・・

   
     「われわれはなぜ死ぬのか」


この本について。
ひまひまに読んでみた。
これが期待以上に面白いのだ。
今まで読んで来た情緒的なものや哲学的なもの、はたまた文学性の強い随筆や道徳的、宗教的な「死生観」のものとは全く違う。
生命科学者が細胞から解き明かす死の歴史である。
命の進化ではなくて死の進化をわかりやすく説き明かしてくれているのだ。



例えば私達は老化の先に死がある・・と思いこんでいる。
しかし、そうではない生き物もいる。

例えば、ミツバチ。

社会性昆虫といわれているが、同じ遺伝子を持つ個体が女王になるか働きハチになるかで命の長さは100倍違う。働きバチのオスは1〜2か月の命、働きバチでもメスは最大12か月生きる。
ミツバチのオスは未受精卵から生じ、メスの働きバチや女王バチは受精卵から生ずる。しかし、女王になるハチは幼虫の時から高濃度の食事を与えられホルモン発達に変化を生ずるらしい。そしてその女王蜂は成虫になると一度だけ結婚飛行をするとか。色々なオスと交尾し一生に使うだけの精子を体内に保存。女王と交尾したオスは瞬時に死ぬ運命にある。女王は此の時に手に入れた500万個の精子を受精し尽くすまで生きるのだと。この間、女王はほとんど老化はしないと言う。しかし受精卵を供給できなくなるとたとえ女王バチであろうが、即死が訪れる。オスのハチに殺されてしまうのだと。オスのハチに殺されてしまう・・・とは知らなんだ。女王蜂には老化して死を迎えることはないのだ。「う〜ん」と思わず唸ってしまった。



また、太平洋サケ。
何年も海洋を回遊し産卵のため生まれた川に戻ってくるのは知られている。沢山のサケが産卵のため河口に過密状態であふれているのを映像などで見たことがあるのだが、群れをなすサケ同士が、其の時に傷だらけになり死に至るものもあるくらい凄まじく壮絶な印象がある。
何かに憑かれたように争って河を我先にと登り産卵場所を探すのである。メスが産卵しオスはその卵に精子を掛けると死ぬ。勿論産卵したメスだって死ぬのである。
なぜそのような事になるかをサケの体の仕組みとホルモンなど生理学的な面からと組織的な面からと解明してくれている。体中のエネルギーを生殖に向けて集中的に発揮させて死に至るサケの命はまさに、青春から一挙に死となる凄まじさがあるのだ。



針葉樹メタセコイア
数千年の命を持つと言われている樹木の中でも最も有名なメタセコイア。樹木は年をとるから死ぬ・・とは言えないらしい。5000年の寿命を持つと言われている松の話や、1000年は生きると言われているカシの木にも老衰するという兆候はないとか。樹木の分裂組織の成長部分は数千年にわたって増殖することができ増殖能力はいばば無限であると断言している。ではなぜそのような樹木が死ぬのか…。

このように色々な生命の死をわかりやすく解説し説明している。実に興味深く面白いのだ。
生命が36憶年の時を経て築き上げてきた死のプログラムをわかりやすく図などを交えながら解き明かしている。


しかし、如何せん、科学が大の不得意で塩基記号が出てきただけで
「ここからは明日にしよう〜」
となんら迷うことなく本を閉じてしまう私には中々急いだわけにはいかなかったのだが。
しかし、細胞や遺伝子という方向から静に丁寧にキチンと解説されていてある種感動的でもある。
「あ〜あ。。。もう少し科学をキチンと勉強すればよかった」
とすら何度も瞬間的に思う私であった。
子供が小さい時はいろんな書物に触れさせるのは物凄く大事だと改めて痛感。
こういうたぐいの本をもっと早くから読んでいたら案外物凄く科学大好き人間になっていたかも。。。
しかし・・・どんなことも遅い・・ということはないのだ。たとえお婆であっても。
興味のある方もない方も一読を勧める。




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                今日の仕事場のしつらえ











蝙蝠とツワブキ・・・
素材は麻
江戸型紙で染色

安齋君予氏の作