和装組曲♪

・・着付け教室、琵琶演奏、能面制作などに勤しむ日々のあれこれをグダグダと綴ります・・

上半身の美しい着方  〜首が短いと思われる方〜

下半身の美しい着方を書いてから随分日にちがたってしまった。




今日は上半身の美しい着方の中でも自分で首が短いと思われている方の為の対策。
しかし、ある意味物凄くマニアックな領域でもある。
着せつけをしてお金を頂く方、いわゆる和装組曲では養成コースあたりの方を対象にした内容なので
前回の白魔女さんのコメントのように自分で着られる場合にはかなり回数を重ねないと難しい。
ちょっと高度な領域でもある。

物凄く誤解されることを恐れないで言わせていただければ、美容院関係者などもこの内容の実践は多分難しいはず。
技術の面で言っているのではない。意識というか、気持ちの面というか、そういう意味でかなり抵抗があるはず。
だって着せつけには直ぐ補正する方々だもの。勿論、全部とはいわない。しかしながら、そういうところが多いのも事実。
まず補正ありき〜・・・いかにずん胴、茶筒型にしてから着物を着せつけるかをこれっぽっちも信じて疑わない方々である。多分ここまで言うのはかなり言い過ぎかも。多分そういう風に習って来た、と言う方が正しいのかもしれない。
しかし、着せつけてもらう方々にすれば、タオル一枚身体につけるのは不快のはず。自分自身に引き当ててみればすぐ分かるはず。

絹は人間の体からでる湿度をとても吸ってくれるし、程よく逃がしてくれる。
だから絹の着物は時間と共に身体になじみ実にしっとりと添ってくれる。時間と共になじんでくれる。

それなのに・・・あ・あ〜・・・それなのに、それなのに・・・

タオルでぐるぐる巻きにされちゃったその日は、身体、タオル、絹となる。
身体とタオル、タオルと絹の間には越えるに越えられぬ隙間ができる。
身体には赤いぶつぶつが出来たり、かゆくなったり、はたまた身体と絹の着物の間でタオルが居心地悪く動き回るのである。
しかもタオルがあるのでガンガンに締められて家で脱いだ時には「当分着物は着たくない!!」となるのである。
しかも脱ぐ時は身体からタオルが何枚も落ちるという、着物を脱ぐ時の錦の川さながらの情緒のある美しさ・・・など微塵もない脱ぎ様となる。(笑)

ただし、例外もある。
昨今の化繊の着物。これはどちらにしても湿度を保持できぬのでタオルを入れようが入れまいが実にふかふかと見ていて化繊であることが一目瞭然。
いや一目瞭然でもちっとも構わない。北国の雪、雨、天気の悪さを考えればそれもまた選択の一つ。ただ何時間着ていても身体に添わぬ。それは如何ともしがたい事実でもある。化繊の着物をふかふかした感じの無いように着る時には常に手直ししないといけないのだ。
もっとも最近の着物、見るからに化繊・・というのは少なく成っている。
経糸に化繊、緯糸が絹というのもあり段々見分けにくくなっているのだが。

いつもながら話がドンドンそれて行く。修正する。

事務所にかかってきた電話があったと前回のブログで書いた。
電話を下さった方がどのような方かはわからぬまま次回何とか時間を作って書く・・と約束したために今日は書く。
ちょっとその方の挑戦的な思惑を感じなかったわけではない。
書くには書くで順番がある。段取りもある。そういう私に
「着物を着る日にちが迫っている」と。

「じゃあ・・・書く。」
書くと言った。
だから書くしかない。書かねばならぬ。
でないと私の信用問題となる。
とてもじっくり話を聞ける状態でなかった時とはいえ約束は約束である。

で・・・なんとなく文字にするのが物凄くしにくい領域ではあるが書いてみる。
ただ最初に書いたように物凄くマニアックで普通ちょっと着物を着る・・という方には中々実践は簡単ではない。
ただし、電話で聞いてこられた方、私は約束を守った。だからあなたも聞いた以上、読んだ以上は出来るようにすべき。少なくてもその努力はすべきだろう。

心の片隅に・・・嫌がらせの方かも・・・同じ商売の方かも・・書けるもんなら書いてみなさい・・というニュアンスもなくもなかった。
でも私にとってはそれは些細な問題。
とにかく約束を守りたかった。
「近いうちに書きましょう」と言った自分自身に対する約束でもあった。
守らずばなるまいて・・・。呪うのは我が口である。

は・は・は・・・・前置きが長すぎた。
いつもながらとはいえブログ友の皆さん、申し訳ない。
読んでいてもとっても分かりづらい領域なのでどうぞスルーしていってください。
今日一番言いたいことは前置きで全て書いてしまったので。
ただし養成コースの方、しっかり読みこんでくだされ。
「上半身の美しい着方」は衿回り、肩周り、帯の高さ、脇の処理、後ろ姿などなど・・・
書きたいことは一杯あるのだが、今日はこれ・・・



   
      「首が短いと思われている方のすっきりした美しい着方、着せ方」





大抵の女性は自分で首が短い・・と思われているようだ。
整体の先生に言わせるとむしろ姿勢が悪かったり若干猫背気味であったりするだけでそんなに極端な個人差は無い・・とか。
しかし、この思い込みと言うのが厄介。
又、例え思い込みでないとしても、1センチ、2センチ短くても女性は重大問題、5ミリでも何とかしたいのが本音でもある。
で・・・実際少し首の短い傾向のある方及び、そういう風に頑なに思われている方の為の気持ちの良い着方を。

まず「後方向」「横方向」「前方向」この3方向で考えてみる。
そして最後は「仕立て」の領域からも考えてみたい。

   ○ 「 後方向 」



首を長く見せるためには後ろの衣紋の抜き方が大きく影響する。
普通は握りこぶし一つと言われる抜き加減であるが・・・
普通の方より1〜2センチ位多めに抜く。
ただし普通に抜くと肌が出る分量が多く成るので一工夫。
V字型に抜くと良い。ふつうはUの字型である。
同じ抜きでもUの字よりシャープに見えるし若干多く抜いても襟足や首の露出の度合いがいやらしくはない。
ちょっと極端ではあるが・・・図を見ていただければ分かりやすい。
この絵は女性の後ろの抜きのつもり。襟足だと思ってくだされ。
Uの字に抜くとどうしても露出が多く成るのに比べ同じ分量衣紋を抜いてもVの字ならあまり目立たない。

この作業は実は次の「横方向」「前方向」に影響し、スムースに作業が進む為でもある。
ちなみにUの字は普通の衣紋抜きの付け方、Vの字はちょっと違う。

面で襦袢の襟を引くか、一点の衣紋抜きで衿を引くかによる。
それでもVの字に抜きにくい時は襟芯に少し細工をするとよい。
丁度半分のところで少し折れ線を入れると綺麗にVの字に抜ける。
ただし気をつける事は痩せた方はVの字にしない方が美しい。
痩せた方はシャープな線より、柔らかな曲線の方が優しく仕上がるので。
身体にある程度のボリュームのある方:限定のおススメ。

   ○「 横方向 」


横から見た時、普通は襦袢の襟と着物の襟とは耳の下の延長線で一致させるのが一番美しいと言われている。
前回タッチさんのコメントであるように、その一致点を若干後ろ側に持っていった方が首の太さが斜めの線によって長いと錯覚させる。
で、耳の下の延長線上は若干襦袢の襟が着物から出る方が横から見た時に美しい。
図のように一致させる点をちょっとでも後ろに持っていくという方が効果的。
ただどの場合にも言えるのだが、やり過ぎると余計にそこが強調され逆効果である。
1センチとかせいぜい2センチ、衿の一致点を耳の真下か後ろにずらせるという微妙な話。
だからせいぜい襦袢の襟は耳の下の延長線のところで1ミリ〜2ミリ程度出る位と思っている。

   ○ 「 前方向 」



何と言っても一番大事なのが前方向。
顔があるのでその方の印象を決めてしまう。

まず第1に衿は鋭角的に合わせる事。
鋭角の先まで首であると言う錯覚。
ただこの場合もくどいようだがやり過ぎるとだらしなく見える。
襦袢の合わせ目は鎖骨の合わせ目のくぼみより1センチ下あたりが限度である。
ただし・・ただし・・・どんな場合もその方の雰囲気と言う物がある。
たとえば物凄く身体にボリュームある方は少しその合わせ目を下げても大丈夫だし、着る設定も影響する。

第2に衿は出来るだけ寝かせて身体に添わせること。
衿を立てれば立てるほど首は短く見える。実際に衿に隠れて短くもなっているはず。
図は物凄く極端に書いているのだがお分かり頂けると思う。

第3にいうなれば若干首から衿を離すこと。
これはゆったり見せることで暑苦しく窮屈な感覚を持たれないため。
離し過ぎるとだらしなく見苦しい印象を与えるので首と襦袢の襟は2ミリ程度かなあ。。
その方の身体の厚みもあるので物凄くボリュームがあれば3ミリ程度でも違和感はないかも。
この辺は経験から、自分の好みの離し方を。
顔の大きさ、肩幅、肩のいかり程度にもよるし身体の厚みにもよるので一概には言えない。



   ○「 仕立て 」

そして・・・・最後になるが仕立てからの改善点。
前回コメント下さった方で繰越云々・・もあったがそれは勿論の話。
多分呉服屋さんにお願いする段階で考慮してもらえるだろう点。
案外考慮されないのが衿の巾。

通常衿は5.5センチある。
広衿の場合は11センチである。それを二つに折って着せつける。
もしその衿の幅が5センチなら・・どうだろう。5.2センチでもいい。
物凄く衿にゆったり感が出るのでは?

襟幅を切る必要はない。5ミリだけ縫いこめばよい。
しかしこれは仕立て屋さんの領域。
ちょっとそこに手を入れることが心配なら、浴衣でお試しあれ。
案外襟元がすっきりと見えるはず。
首の太さも長さも変わらないのに、とっても衿回りが気に入るはず。
そしたら着物の衿巾をまずは2ミリ減らしてはどうだろう?その辺からやってみればいい。

私たちは着せつけする時は大抵広衿を着せつけるので、首の短さを気にする方にはなるべく衿の巾を広げないようにして着せつけるようにしている。
とはいえ身体のボリュームというのもある。抱き幅だけで対処できずに広衿を目一杯広げないと着せつけられない場合もある。
どんな時も出来ないことを言ってもしょうがない。出来る範囲でやるしかない。
しかし、絶対辞めた方がいいのは肩の補正である。
肩の線、胸の線が盛り上がるので更に窮屈で首が短く見えるのだ。

自分で着ることができる方で何とか少しでも綺麗に気持ち良く着付けたいと模索している方々、一度お試しあれ〜♪

上手く私の言いたいことが伝わればいいのだが・・・・



最後に・・・けいこさんのコメントにあったように自分で姿勢を正すことも大切。
頭を上に引っ張るように正しく背骨の上にのせる。
胸をはる。肩先を後ろに引き気味にする。更に背筋を伸ばし両肩を下に落とす気持ち。


首の長さは・・・肩から耳の下線まで・・と思わず、耳から肩先までと考えてはどうか。
耳から肩先までの距離が延びる・・それが案外上半身、特に首回りをすっきり見せるような気がする。


鳥さんだって、寒いとついつい・・こ〜んな感じ・・・・

気をつけよう・・・


・・・・本当はこんなになが〜いかも・・流石にそれはないか?。。。。。(笑)






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以前、何度か書いていると思うのだが、ブログの内容に対する質問や要望はなるべくブログのコメントに書いていただければと思う。
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どうか今後はブログに対する一切の質問、要望はブログでのコメント欄にお願いいたします。
出来うる限り対処するつもりでいますので、どうぞよろしくお願いいたします。


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教室での授業の進行を妨げますのでどうぞ同様にお願いいたします。
一人の方の質問にお応えすべく説明する時間が他の方の時間を取ってしまいますので・・・
どうぞよろしくお願いいたします。


そうそう・・・余りに天気の良い日だったので昨日は犀川まで散歩した・・・
ちょっと遠いかも・・大丈夫かなあ・・・と心配しながら歩いたのだが、何と往復1時間半余り、ゆっくり楽しんできました。

犀川の水の色がこんなに空の色をうつして綺麗だった・・・
遠くに雪をかぶった山も見える。





   北陸の冬にこんなに綺麗な空の色・・・水の色・・・
           を見ることができるなんて素敵〜・・・・☆★☆