和装組曲♪

・・着付け教室、琵琶演奏、能面制作などに勤しむ日々のあれこれをグダグダと綴ります・・

十二単の着せつけ・四

3月から始まった十二単の着せつけ・・・
14日土曜日に第四回目が終了。
いよいよ11月で最終となる。

特に3回目、4回目は手さばきのハイライト。
何度も教えていただくのに中々覚えられなくて前日仕事帰りに皆で集まって練習もしてきた。
それでもやはり難しい。

全ての動作に訳がある。
全ての動きに流れがある。
そして着せつける「前衣紋者」と「後衣紋者」の呼吸がある。

遥か昔の平安の御代に始まり現代では皇室のみの御使用。
しかし一つ一つの理を知れば知るほど先人の知と智に感動&感嘆。


私は今回何よりも一生懸命学ぶメンバーに感動した。

仕事がある。
家庭がある。
体調もある。
出来ない言い訳、続けられない言い訳はいつでも一杯ある。

しかし必死に一生懸命向き合っている。
やる・・・と決めたことにとことん向き合っている。
何処までもくらい付いている。


今まで何度かショーなどで華やかな十二単の一シーンをみたことがある。
しかし着物を勉強する人は十二単の華やかさや豪華さだけに焦点をあててはいけない。
むしろ華やかさや豪華さに目が行ってしまうとそれは違う方向に意識が行ってしまう危険がある。

大切な方を着せつける時の心の有り様をこそ学ぶべきである。

その方の大切になさっている衣装であること。
その方が気持ちよく一日過ごして頂くためにどう着せつけるのかを考えて動くことである。
その方の不快になることを出来るだけ避けることである。
一日着ていてもまだ脱ぎたくない・・と思わせるくらいの気持ちの良さを目指さないといけないのだ。

それはとりもなおさず自分たちが現代、着物を着せつける時絶対忘れてはいけないことでもあるのだ。
衣装を大切に取り扱い、汚さない・・・ぞんざいに扱わない・・
衣装だけではなく何処までも相手を敬って対処しないといけない。
どうかすると私たち・・というより私が一番忘れていることではなかろうか・・・と反省。

その衣装を買う時にお金をいくら払ったとか、
名のある作家さんのものだとか、
そんなことは着る方には関係ないのだ。
例え化繊であろうが、貸衣装であろうが、誰かから借りたものであろうが・・・
極端なことを言えばボロボロに擦り切れたものであろうが。

その方の晴れの日である。
衣装もさることながら、相手の方をも丁寧に大切にしないといけないのだと改めておもった。

又着せつけていて何度も手直しをする・・それは避けないといけない。
自分が一回で決められなかった未熟さを、何回も触ったり手直ししたりして補うことも絶対避けないといけない。
一回でパーフェクトにする時には背後に何百回と言う練習があってこそのこと。
着せつけた後あと、何時までも手直しすることは決して親切でも優しいのでもないのだ。
自分の「未熟さ」「至らなさ」「練習不足」を露呈しているだけなのだ。
直さないと・・と手が出た瞬間、自分の「一回で決められなかった」という練習不足を思い知らないといけない。

先人の洗練された動きの中に全て集約されている何十、何百の悟り。
物凄い反省の連続で赤面ものだった。
今私に気付けさせてくださってありがとう・・という謙虚な気持ちになった。


最終回は11月。
次回は今までのようなトルソーではなく実際のモデルさんをお願いする。
これまで色々な方から練習風景を見たいと言われていた。
真剣に練習している過程なので今までは許可しなかった。
でも最終回は練習風景を見せてあげたいと思っている。
着物を勉強している方には見ておいて損はない。
損はないどころか、この機を逃したらそうあることではなかろう。
ほんの数名しか見学できないのだが、熊谷先生の許可も頂いた。
5、6名程度の見学を許すつもりなので希望者は申し出てください。

勿論、見学と言えども着物での参加となる。
自分にできる精一杯美しい着姿で参加ください。
多分・・・・この一行で皆結構ビビりそう・・・二の足を踏むに違いない。

でもね、出来ないことをしろとは言わない。
ただ漫然と着てはいけないと言っているのだ。
意識を高く持って着てほしい・・と思うのだ。
出来る中で最高の着方をしよう・・と思って臨むと物凄い慎重に、丁寧になるのだ。
毎回、更に美しく出来る精一杯の着方をしよう・・と臨めばいいのだ。
どんな機会も自分の今のレベルに合わせた取り組み方をすればいいのだ。
他人との競争ではないのだ。
でも他の方の着方を見て反省点があるとすれば物凄く大きな一歩となろう。
勉強しよう・・と思う方は出来ない言い訳を大義名分としたり、出来ないことの言い訳として互いに出来ない者同士、群れる事はもうよそう。
見苦しい生き方はもうやめよう。
甘え切った日々の過ごし方はやめよう。
「自分の着方は美しい」と思った瞬間から既にその姿は美しくは無いのだ。
自分に力がなくてもキチンと「自分の力のない」ことにしっかりとそして毅然として向き合おう。
たった一人でもしっかり自分自身に向き合うからこそ凛々しいのだ。
それでこそ和装組曲のメンバーの一人なのだ。

着せつける方のピリリと張り詰めた緊張感に接し、遥か古から受け継がれている先人の知恵の凝縮した形をどんな形でもいいので自分の中に取り入れ自分のステージをポンとあげるきっかけにして欲しい。

和装組曲のどのコースかに在席していた方限定。
見学費用は無料。
デジカメ、ビデオ撮影など一切できないので御了承を。

なお今回の特に手さばきに関しては和装組曲のHPに履歴としてすでに今日アップした。
ご覧ください。