和装組曲♪

・・着付け教室、琵琶演奏、能面制作などに勤しむ日々のあれこれをグダグダと綴ります・・

アッコちゃん作戦〜♪

12月5日、「着物ミステリーアワー」などと称してストーリーらしきものがある着物と帯をブログで紹介した。とっても遊んで自分が楽しんで書いたもの・・・
ところが・・・なんと・・・問い合わせがきた。

「あの着物と帯をレンタルできませんか?」と。
「えーーーー〜ーーっ?!」

色々話を聞いてみると・・・
今回あるパーティに行こうと思うのだが、着ていく着物が中々なく出席をためらっていた。
ブログであの着物と帯を見た瞬間・・・「これを着たい!!」と思ったとのこと。
「格好いい!!」と。
「出席するにはこの着物以外考えられない!!!」と。

着物が好きでいつも自分で着るとのこと。
着方は全く独学。でもここぞと言う時は人に着せてもらう。
かいつまんで言うとこんなところ。

ただ今回あの着物を本人いわく「かぶいて着たい」と。
「どんなふうに?」と聞く私に
「レースの手袋、黒いタイツ、エナメルの黒い靴、黒いレースの半襟」でとのこと。

本来レンタルなどやったことはないし、やろうとも思わない。
うちは着せる技術、着る技術だけで勝負しているのだから。
ただ和装組曲の生徒さんならあるものはなんでも自由に使わせている。
こんな一般の方は初めてなのでちょっとどうしようか迷う。

「一度着てみたら・・それでものすごく似合うなら考えてみよう。」と。
あの着物をかぶいてきたら多分「悪目立ち」するだけではないか・・・
と一瞬思うが一度着てみると本人も満足するか納得するはず。
何よりこの着物・・着こなす人がはたしているのか・・と思う私自身もそれについての何らかのヒントになるかも・・と。

約束の当日。

玄関に着物姿で立つ彼女。黒地に色々な色の縦縞の小紋、半幅帯。
瞬間思った。「この子にきっと似合うわ、あの着物」と。

三十代。確かに着物大好きなのが伝わってくる。
着物を渡すと「わあ・・・重い!!!」
そう・・・この着物はものすごく重い。どっしりとしたシボのある縮緬、しかも比翼がついている。
「自分では着れない、多分着崩れする気がする!!!」
そう・・・当たり・・・化繊の軽さに馴れているとそのつもりでも着崩れする。
黒留袖、色留袖は美容院で着せつけてもらっても中々美しい着方は少ない。
まずは今日は好きなように着てもらおう・・

羽織った瞬間、彼女今までしていたレースの手袋をさっと脱ぐ。
何故・・と聞く私に
「この着物にはレースはちゃちくさいと思ったから」
この言葉を聞いた瞬間、決めた。
  ・・・・・着物と帯をこの子に貸してあげよう・・・・・・・・
本当に着物が好きで似合うならこの着物も帯も報われるはず。

少なくてもちゃんとした目は持っている。

で・・・キチンと着せてあげる。
結論から言うと、ものすごく似合っていた。
多分私の知っているどの方よりこの着物の雰囲気を生かして着れる方に違いない。
着物の独学の一つに私のブログを読むことも入っていると聞くとなお嬉しい〜♪
何気に話す知識にものすごく私のブログを読み込んでいるのが伝わってくる。
チーム・ハセガワのメンバーの一人が言う・・
「私たちより細部まで読みこんでいるわ〜」と。
ブログでは本文よりも、勉強できるようにコメント返しにも結構知識を入れるように書いているのだが、彼女しっかり読んでいる。

貸してあげるよ・・・というと本人も喜んで帰って行った。
それが日曜日の午後の話。

その日の夜・・・寝ながら考えてみた。
あの着物、帯を普通に着せたらやはりあの年齢には地味。
借りものみたいになるだけ。
対策を考えないと・・・まさにあの方ならではに見える着せ方を。
七十代の着物と帯・・・お太鼓にするとあまりに地味・・・
繰り返しながら自分の言葉で中々寝付けない。

で、昨日火曜日の夜七時。
パーティの時に着せつけを担当する二人と対策を練る。

  半襟はどうする・・・
  重ね襟はどうする・・・
  帯上げ、帯締めは白は地味すぎない?・・大人しくなり過ぎないか?・・・
  親戚の結婚式ではない、パーティーに行くのだから・・
  あまりに大人しい感じにすると本人の雰囲気だせない・・・
  あくまで本人が美しく見えないといけない・・・
  
一番困ったのが帯。
本人は帯も違うのは嫌だという。
だけどワンポイントのお太鼓柄。
飾り結びは無理。
無地の部分で個性的にできないか。
でも箔帯を皺だらけにはできない。
髪飾りはあれでいいのか。
着せつけ時間は「こんにちわ」から「では・・」と帰るまで45分。
当日色々迷う時間はない。一気に迷わず着せつけないと。
そしてトルソーに着せつけ三人で近くで見たり離れてみたり…結んではこわし・・壊しては結ぶ。
パーティーで品よく、しかも個性的に、しかもインパクトある着姿を・・・どう演出するか・・
パーティに参加した方々がしばらくは話題にするくらいの雰囲気を作ってあげたい。


昨日夜十時すぎまで打ち合わせ。

多分当の本人、私たちがここまで話合い、結びこんでいるとは思ってもいないはず。

パーティーは今度の日曜日。素敵な着せつけしますよ・・・おたのしみに。

   一つだけお見せしよう・・・・この半襟を使う。

菊をゴージャスに刺繍した何処にもないような本絹の半襟・・
何処から何処まで本物にこだわってみよう。
さてさて・・・いかが相成りますか・・・

  題して「アッコちゃん作戦」・・・としよう。

  「何故って???」


     それは・・・ひみつ・・・ひみつ・・・ひみつ・・・
            秘密のアッコちゃん〜♪    

                        (古っ!!!)