和装組曲♪

・・着付け教室、琵琶演奏、能面制作などに勤しむ日々のあれこれをグダグダと綴ります・・

快挙・全員合格・・・きもの文化検定~♪

昨日、今年のきもの文化検定の合否の通知が皆さんに届いた。

なんと和装組曲の生徒さん、5・4・3・2・1級を受けた全ての方が合格した。

中でも快挙は1級合格者が出たこと。

 

f:id:umryuyanagi104:20191208083831j:plain

 

 

この方は以前ブログでもお伝えしたコメント名「ち~ち~」さん。

去年まで何度も1級にトライするも点数が大幅に足りず何度も涙。

「何度受けてもとても合格しそうもないのでもう諦めようかと思います。」と。

「死ぬ気で取り組んだ一年だったのに一点しか増えていなかったし・・」と。

それを聞いて

「うちへ来て一緒に勉強する?」と。

そして急遽設けた一年間のきもの文化検定一級合格対策講座(笑)

そのあたりのくだりは以下に載せている。

 

 

umryuyanagi104.hatenablog.co

 

umryuyanagi104.hatenablog.com

 

一級希望の他の2名の生徒さんと3人でスタート。
この2名の方はまだまだ勉強していなかったので一級とはどの程度の勉強をしないといけないかを体験を兼ねて。

2名の生徒さんは力不足で今年は受けなかったのだが、

私は9月ころにこの方は今年きっと合格するだろうと確信するまでになった。

勿論本人にもそういった。

「落ち着いて焦らなければ大丈夫。きっと受かる。」と。

この「ち~ち~」さん、石川県の方ではない。

福井県の方。福井でのきもの検定一級合格者は初である。

本人の嬉しさは如何ばかりか…

1か月に一回とはいえ毎回ご主人様が送り迎えをし協力してくださった。

家族の力は大きい。

「ち~ち~」さんお疲れさまでした。良かったね。

努力は裏切らない・・・

 

f:id:umryuyanagi104:20191207092035j:plain

頭隠してもお尻が出ているよ~・・・オナガさん

 

 

f:id:umryuyanagi104:20191207092011j:plain

 

 

又3級を受けた方の何人かは琵琶教室の方々。

琵琶の練習もしながらの快挙である。

本当に出来そうで出来るものではない。

口では何とでもいえるが日々の生活、本当に大変だったと思う。

皆さん、本当にお疲れさまでした。

充実したいい一年になったね。

私もとっても嬉しい。

誇らしい生徒さん達。

来年も心に目標を持ってクリアできるように互いに錬磨しようね。

 

f:id:umryuyanagi104:20191210115832j:plain

 

 

おさらい会終了

琵琶教室の生徒さん・・・お疲れさまでした。

関係者の方々・・・ありがとうございました。

そして何よりお忙しい中、遠路東京から駆けつけてくださった古澤史水会長ありがとうございました。

 

f:id:umryuyanagi104:20191218143210j:plain
f:id:umryuyanagi104:20191218143405j:plain

f:id:umryuyanagi104:20191218143553j:plain

生徒さんの本名が出ているのでプログラムは添付できませんがこんな風・・・
全て手作り。なるべくお金をかけずに取り組んだ何か月。夜のご苦労さん会やお昼の弁当代、プログラムなどの紙代や通信費など諸々の雑費すべて含んでこの日の費用は一人一万円でかなりおつりが来た。靴の番号札も係の方は40個作った。脱帽。よくやった。

 

f:id:umryuyanagi104:20191218144738j:plain

 

仕事を持ち、家庭を持ち、琵琶を練習し、更にこの会の準備・・・

物凄くハードなここ一か月。実際は更に続く。家族の入院、本人の病気と。

七人には七人のそれぞれのドラマがあったに違いない。

お疲れさまでした。

全員で撮った写真。

f:id:umryuyanagi104:20191215112236j:plain

 

これだけ琵琶が集まると壮観~・・・

皆さんの顔が実に凛々しい。

終わった後のお客様の反応も実に良かった。

有難い限り。

古澤会長の演奏の時、私の知っている方だけでも二人の方が涙していた。

琵琶って本当に心にしみるのよね~・・・

その方は帰り際に古澤会長に握手を求められた。

じわじわと琵琶が広まっていくといいなあ。。。。

 

 

 

実はこの日の午前中に和装組曲のHP用の写真も撮ってもらった。

これからHPのトップページを全く新しい物に替えていくつもり。

着付教室・琵琶教室 「和装組曲」が一月にお見せできる予定。

お楽しみに・・・~♪ 

 

「おさらい会」のご案内

琵琶教室を始めて、初めて生徒さんを募集したのが今年一月・・・

二月から一人二人と増え今では七人の生徒さんたちが揃った。

 

f:id:umryuyanagi104:20191017070425j:plain

 

この七人・・・・とにかくよく練習する。

毎回私が吃驚するくらいに歌い込んで弾き込んで教室に来るのだ。

普通の意識レベルを遥かに超えている。

しかも言う言葉が凄い。

 

例えば・・・

失敗しないように・・と危惧する私にこういう。

「人生一度きりしかないのに、一度も失敗しない人生を歩むなんて、そんなつまらない事はない。」とか。確かに。仰る通り。(笑)

例えば・・・

家庭を持ち職業を持ち、時間のないながらも練習に励むその方に、あまり無理をして体を壊さないようにと釘を刺す私に

「長谷川先生の所に習いに来るのに、無理せず・・という言葉はありえない。此処に来ることはある程度の無理は最初から皆さん承知のはず。こんな程度では音を上げたりする柔な人はここには一人もいない。」とコロコロ笑って切り返す。はぁ~・・・ごもっとも。

「でも夜中一時や二時の練習は老骨には辛いぞ。」と言う私に

「年を考えたら何もできない。」と。

はい、私も夜中一時や二時練習した日も有る、確かに。

 

 

 

失礼・・・失礼・・・御見それしましたというしかない。

 

女六人、男一人ながら 人呼んで「七人の武士(もののふ)」

長谷川武士団(サムライズ)だね?

 

さて、その七人の武士たちと私とで初めての長谷川門下「おさらい会」を開催する運びとなった。

今日はそのご案内。

 

         ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・♪・・・

 

             「和装組曲・琵琶教室の第一回おさらい会」

 

           期日   12月15日 (日)

           時間   午後1時~3時 (開場は12時30分)

           場所   石川県能楽堂別館 2F

           入場無料

 

           ※ただし招待券が必要です。

            (招待券は和装組曲までお問い合わせください。)

         ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

  場所がとても狭いので入場は30名を限度としますので入場希望者は事前に申し出て頂かないと折角来ていただいても演奏を聴くことはできません。琵琶教室を開いてから1年を待たずに開くおさらい会なので当初はお客様無しで自分たちのみでの会を考えていたのですが、「是非聞きたい」というご要望が多かったので公開することになった。

大きな場所ではないのと、音響装置がないのとで人数を制限しての開催の運びとなった。琵琶はまだ聞いたことがないとか、聞いていてもよくわからないとか、いう言葉が聞かれますので今回は私がその歌の背景などについても説明や解説を入れながら分かり易さを第一にする予定。

興味のある方はどうぞ・・・・

 

着付け教室としては「いろは会」「ゆめみ会」「きもの検定座学」など開催していたのだが、今回10月で全て一区切りついた。来年は着付け教室は少しばかり控えつつ琵琶教室に専念する覚悟をしている。といっても各種着物の着せ付けや集中して着物を習う方には対応するつもりなのでご心配なく。

来年8月30日(日)金沢市の駅前アートホールで金沢支部の琵琶演奏会が開催されるのでそれが終わるまで琵琶の生徒さんの指導に向き合うつもりである。今回「おさらい会」を聞けなくても夏の時は250人位は入れる大ホールなので聞けるはず。その時までお楽しみに。長谷川門下生「七人の武士団(サムライズ)」は皆さんが吃驚するくらいに上達する覚悟。どうか来年八月私たちの琵琶を聞きに来てね。近くなったら詳細をお知らせ・・・。

金沢に旅行を考えている方、チャンス~♪

実は私は・・・・金沢市観光課の回し者・・・・なんてねっ~♪♪♪

 

 

f:id:umryuyanagi104:20190930072318j:plain

 

最終回のゆめみ会の様子は次回にでも。。。

待っててねん。 

 

気の毒な位の小心者・・・

f:id:umryuyanagi104:20190726102055j:plain
f:id:umryuyanagi104:20190726102044j:plain

 

琵琶を始めて丁度11年になる。

初めて琵琶の先生を訪ねたのが平成20年の10月。

翌年の4月に演奏会とのこと。

下手でもよいので・・・というより下手に違いないのだがそれでも「謡え!!」と言うので真っ青~!!!!!!!!!

 

根が小心者。

物凄く気が小さい。

針の先で突いたほどの小さな心臓に違いない。

しかし、どっこい~人には私の心臓の大きさなど分かろうはずもない。

分かってもらおうとすれには、それを阻むものが幾つかあるのだ。

面の顔の厚さ、態度のでかさ、さらに負けず嫌いの気の強さ・・・(笑)

この気の強さに関しては母がよく言っていたものだ。

「人一倍心臓が弱くて恐ろしがりな癖に、人一倍気が強い。」と。

きっと心臓の弱さを見かねて、気の強さが補おうとして人一倍健気に頑張っているのだ。

 

本当の私の心臓は

些細なことがとても気になり、オドオドして平常心を失ってしまうのだ。

自分ながら容易に想像できる。

上がりまくって何を謡っているか、何を弾いているか・・・・と。

そこでその時に一計を案じた。千回練習しよう。お百度参りならぬ千回成就を祈願。

千回も同じ曲を弾けば流石に何とかなるだろう。よし・・そうしよう。「善は急げ」ならぬ「千は急げ」(笑)

分からなくなっても千回も弾いていれば何とかなるだろう・・・と。

初舞台は「静」であった。演奏時間は約12分位。

 

 

f:id:umryuyanagi104:20190711150413j:plain
f:id:umryuyanagi104:20190725112726j:plain

 

 

3~4か月の間に千回練習した。朝起きては「正」の字を書くまで練習回数し、昼の休みを利用して又「正」の字を書き、夜は寝る前に又5回・・・と言う風に。仕事が忙しくて一日15回のノルマが達成できない時は、仕事の休みの日にもっと回数を。それで足りなければ朝更に一時間早く起きよう。周りから見ればまるで気がふれたように見えたに違いない。もっとも家族に言わせれば、気がふれているのは案外いつものこと。じっと一日を何もせずに過ごすことなどそれこそ怖くてできなかった。練習している間は心静かでいられたので。

「さあ・・・どうだ!!!出来ることは皆やった!!!」

「いくら何でもこれで失敗はしないだろう。」

とそんな気持ちで演奏会に臨んではみたが、千回の甲斐もなく・・・

何を弾き何を謡ったかすら覚えていないうちに自分の演奏は終わっていた。周りからは「回数をやれば良いというもんでない。」と手厳しい意見。確かに。

落ち込む事、一週間。食事も食べれず、何も気持ちが向かわず、ただため息をつきながらこれからどうしたら良いかと思案した。しかし他に何がでできた?心臓を大きくする方法はないかとさえ真剣に考えもした。

「回数ではない。中味だ。」

今考えれば当たり前の様な事にやっと気づく。

一回の練習の中味を充実させるにはどうすればいい?

よし、次はそれを一年間考えよう。

やっと気持ちを切り替えて来年に向けて又一から出直しと相成った。

 

そんなこんなで毎年、毎回私は反省ばかりしていて一向に進歩がないのだ。

何せ毎年、新しい課題が出てくるのだ。

一つ越えれば又一つ・・・エンドレスのような道。まさに精神修養だね。

それに年と共に心臓は更に更に小さくか弱くなっていくような気がする。

ここ2~3年、テレビに出してもらったり、色々な方からのコラボのお誘いだの、古民家でのライブだの…すこーし心臓のドキドキ感は落ち着いてきたかな・・と思っていたのにやはり私って駄目ねえ。。。。久しぶりに上がってしまった。

f:id:umryuyanagi104:20190922074701j:plain
f:id:umryuyanagi104:20190920091827j:plain



デーンと構えていればいいのにいつもチーチー、ハーハーとおどおどしてしまうのだ。

演奏会場の音響が最初からややこしかった。

最初はほとんどマイクが入らなかったのに、二人目は突然入ったり、入らなかったり。

三人目には「キーン」という金属音まで入る。

四人目には流石に客席から「何とかして」とクレームが入る。

五人目にはやっと係の方が来てくれて調整するも上手くいかない。

六人目の私の時には「マイクなしで行こう」となる。

「え~・・・・・・・・っ!!!!!!!!!」

この時は「壇ノ浦」を弾いたのだが、流石にこの会場の大きさでマイクなしで歌えるかが物凄くプレッシャー。不調ながらもマイクを使うと私の下手さがちょっとはマイクのせいにできるのに・・とまで不純な言い訳まで考えていたというのに。思いがけないアクシデントには本当に弱い私である。琵琶を抱えて舞台に上がる自分は会場の隅々まで声がいきわたる自信もなく・・・心の中で「は~ぁ!!!」である。勿論大きな声を出そうとすればするほど高音も低温も音がずれまくってしまった。(笑)ずれていることが分かればわかるほど直そうとして更にアップ~アップ~・・・。ついに舞台上で溺死した気という顛末。

一週間は立ち直れない…

 

演奏会の後、逃げるように帰宅したのだが、自分のふがいなさに猛省。

何があっても平常心で・・など私に関しては絵空事

大きな会場ではいつもマイクがあるし、音響さんが待機して調整してくれているので思わぬところで足元をすくわれた感。帰りの電車に乗りながら一人寂しい気持ちに襲われていた。気持ちが落ち込み、心を占めていたのは偏に自分の声量に対する錬磨が抜け落ちていたことに対する自責の念。常日頃キチンと精進していればマイクがあろうがなかろうが、こんなにオタオタしなくて良かったのだ。責むるべきはマイクに頼り切っていた何とも目出度い自分。

 

勿論声楽の先生には今でも習っているのだが、これだけでは声の上下が激しくなるのが分かった。高音と低音の巾が大きいと案外この方法が歌いやすいのだが、低い音に主がある時はやはりちょっと謡いづらい。私のこの日の壇ノ浦は何とも「高音」と「低音」の巾が激しく上下してちょっと変わった「壇ノ浦」だったという感想を漏らした先輩がいたのでそれに気づかされた。

あ~ぁ、マイクのせいにして済ませられたらどんなに幸せか。

しかし、分かったからには何もせずにこのまま見過ごすわけにはいかない。

自分の大きな致命的な不足点を見つけてしまったのだから。

 

昨夜迫りくる台風の足音を聞きながら決めた。

私、雲龍柳は10月から詩吟の先生について発声方法を一から勉強することにした。

は~ぁ、いろんなことを頑張らないと中々先に進まないのね。。。

頑張るしかない。

又、一からのスタートです。

 

f:id:umryuyanagi104:20190829081327j:plain
f:id:umryuyanagi104:20190829081332j:plain




 

 

 

 

 

 

 

 

薔薇

久しぶりの更新。

書かないで過ごしていると書くのが何だかとっても億劫~♪

でも今回は書こうと思った。

お婆の気まぐれ・・・

 

この日は来年の成人式の写真の前撮りがあった。

このお客様は和装組曲のHPの創作帯を見て

「何としても成人式にはこの帯結びをして欲しい」

とうちに来てくださった方である。

 

最初の言葉が

「HPの『白薔薇』の結びを成人式に結んでほしいので着物のレンタル業者さんに一緒に行って着物を選んでほしい」と。

 

和装組曲をオープンさせた時は請われるままに何人でも受け付けていた。

多い時は朝の三時あたりからお客様を迎えていたのだが、ある時に流れ作業に嫌気がさした。で、一組か二組のお客様限定にしてその方々だけに丁寧で記念に残る着せ付けをしていこうと決めた。

だからお客様の持ち込む振袖や帯を見てからその方の雰囲気や周りの家族の意向を考えて帯結びを考えていった。それが又とても楽しかった。結婚式ですら人生で2度や3度あるご時世。成人式はたった一度きり。本当に美しく輝く若さやその方の個性がどこかにキラリと光るそんな着せ付けをしたかった。振袖を用意してくださった親御さんの意向も大切であるのは勿論である。

だから最近では成人式の日でもアタフタしないできちんとお客様と向き合えるのが嬉しかった。勿論一組や二組に限定してからは収入も決して多くはないのだが、それはちっとも構わないと自分では考えていた。寧ろ自分の年齢を考えた時、より充足感のある仕事を選びたかったのである。

 

しかし、今回の様にレンタル業者まで一緒に行ってくれと言う申し出は流石に初めて。

真っ白の薔薇を背中に結ぶとしたら何色の着物が良いか…

その親娘と共に色々見て・・・というのは予算もある・・・出来るだけコストも抑えてあげたかったので・・・決めた。

 

白い薔薇・・・やはり着物の地色は真っ青な空にしよう・・と決まった。

本人のご希望により柄のない出来るだけさっぱりした着物・・となる。

レンタル業者でセットになってついて来る小物は何となく本人の雰囲気に合わないので小物関係は全てこちらに任せてもらった。何年も前にショーをやっているので小物には事欠かない。

今回は前撮りなのでカメラマンさんが左斜め前から左の肩ごしに撮るショットで作り込んだ。勿論当日は違う角度から、多分真後ろからの帯結びとなる。

 

f:id:umryuyanagi104:20190825080409j:plain
f:id:umryuyanagi104:20190825080401j:plain


初めは本人とっても緊張~♪

 

f:id:umryuyanagi104:20190825081206j:plain

 

ヘアや髪飾りは私の領分ではないので触れない。

 

f:id:umryuyanagi104:20190825081854j:plain

 

段々リラックス。

やっと笑顔もチラリ…

 

f:id:umryuyanagi104:20190825081801j:plain

 

やはりどんな方も自然に笑った顔は美しい。

 

生まれた時の色んなことから20年。

成人式を迎えられるとは夢にも考えていなかったというお母さんの感無量の声にこちらまで目頭が熱くなる。お母さんも過酷な宿命の中で生きて来られたに違いない。

皆、山あり川あり。深い谷さえも幾つもあったに違いない。

すくすくと育つ方もあるかもしれないが大抵は人生の大波小波に溺れそうになりながらの幾年月である。生まれた時からの大病を乗り越えての晴れの成人式なのだろう。

老舗料亭での前撮りとかで親娘はこのあと晴れやかに出かけられた。

大切な思い出に参加させていただき本当にありがとうございました。

これからの人生に幸あれ…と祈っています。

 

来年の本番の成人式まで私ももっとこの結びを結びこんでおきますね。

 

 

さて・・・最近読んで面白かった本・・二冊を。

先ずは琵琶教室の方向けに佐宮圭さんの「さわり」

これは随分前に一度図書館から借りて読んでいた本なのだが、今回琵琶の生徒さんから紹介された。

しかも内容をほとんど覚えていなかったのでもう一度のトライ。

鶴田錦史さんの話であるが兎に角面白い。琵琶を学んでいる方には含蓄のある言葉が一杯。例えば、洋楽の一音は単に正確な一音に過ぎぬが、琵琶の一音には宇宙がある・・・という一文など。琵琶のたった一音に魅せられたものとしては是非お勧め。

 

 

f:id:umryuyanagi104:20190826082908j:plain


もう一冊は高橋治さんの「星の衣」

これはブログ友のnoirさんが私のコメント欄でご紹介下さった。

コメント欄に書かれた言葉を仇や疎かにしてはならぬ・・・

直ぐに手に入れその日に一晩で読んだ。

随所に沖縄の織物やその歴史的な背景がちりばめられていて着物を勉強する人にはとってもgood。本の表紙が中味とそぐわないのが気に入らぬが、内容は面白い。

特に私の印象深い所は八重山上布の柔らかさは沖縄の人たちの食べ物にある…と言う所。それは苧麻を績(う)む時につける女性たちの「唾」が違うと。又「海晒し」という海水のオゾンを利用しての漂白行程があるのだが、新潟の「雪晒し」と絡んで昔から自然を利用して無理なく美しい織物を作った人々の知恵に今更ながら感動した。

実に興味深く面白かった。とっても勉強になった。着物を勉強する方には是非…

 

 

f:id:umryuyanagi104:20190826082922j:plain

 

 

和装組曲の書架に備えておきますので興味のある方はどうぞ~♪

 

では・・・またねん~♪♪♪

 

琵琶床

琵琶床という言葉を初めて知ったのは丹後の尾藤家に見学に行ったときである。尾藤家の見学は何回か書いているのだが、琵琶床の写真はここに出している。             ↓  ↓

 

           umryuyanagi104.hatenablog.com/entry/20130722/1374447283

 

 

 

本当の床の間の横に半間の琵琶専用の床の間が付いていた。

薩摩琵琶は無念の内に亡くなっていかれた方々への惻隠の情を語るものであり、戦のない時でも武士達の戦意を鼓舞したり、悔いのない日常を送るための精神性の高い趣味でもあった。

武士の家ではその保存場所として琵琶専用の床の間が設けられていたようである。

勿論勇ましい謡ばかりではなく、魑魅魍魎を謡ったり、無念や慙愧に堪えぬ謡もある。で、あるからして床の間には魔を避けるための様々な工夫が施されていた。丹後の尾藤家では琵琶床の柱は「松竹梅」の目出度い木材でその空間が飾られていた。

人は恐ろしい物には恐ろしいもので避けようとして嘗ては男性の羽裏などは凄まじい地獄絵図や竜虎の勇ましいものなどで自分の背中を魔から守っていた歴史もあった。又家紋を入れることでその代わりをしていた時代もあったようだ。

 

さてさて・・・わが琵琶教室・・・こういう風に模様替えした。

 

f:id:umryuyanagi104:20190726102055j:plain
f:id:umryuyanagi104:20190726102119j:plain




新しく琵琶床を作ってみた。雰囲気だけ・・・(笑)

 

f:id:umryuyanagi104:20190725112824j:plain

 

今までここにはタンスがあった。(笑)

着せ付け用の衣装や貸し出し用の衣装が入っていたのだが移動した。

で、新たにこの空間を利用。

 

f:id:umryuyanagi104:20190726095717j:plain
f:id:umryuyanagi104:20190726095729j:plain



床には緋毛氈を敷き魔除け。その上には松竹梅の帯を敷く。

琵琶の前にあるのは輪島塗の盃。お酒が入っているわけではない。

琵琶が乾燥しないように水分を・・・という配慮。

f:id:umryuyanagi104:20190726095713j:plain

琵琶の後ろにもたっぷり水分を朱器に備えておく。

 

年数の経った琵琶はまず割れが入ることはないのだが、新しい木材はしばらくは気を使ってあげないといけない。割れてから何を言っても始まらない。

 

 

f:id:umryuyanagi104:20190725112801j:plain

 

今まで十年間使っていた片桑の琵琶。

撥は楓。よくご奉公してくれ感謝。

 

f:id:umryuyanagi104:20190725112752j:plain

 

これは亡くなった先輩の琵琶を譲り受けたもの。

総桑。撥は黒柿。

ただ総桑でも本州の地桑を使用していて若干音は軽めである。

現在は琵琶を持っていない生徒さんが教室で使用している。

 

f:id:umryuyanagi104:20190725112806j:plain

 

今私が使っている琵琶。撥は柘植。

島桑の総桑。島桑は御蔵島という場所で生育した桑で一番いい音が出る。

まだ今は今まで使っていた琵琶の方がシックリした音が出る。新しい琵琶は何処と無しに若い音である。勿論私の腕が未熟なのでそれは今後に期待しよう。

表も裏も島桑で、表面が酸化されて黒くなっていく途中で黒い縞模様となるのが島桑の特徴。

 

そして現在日々練習しているのがこの曲

 

f:id:umryuyanagi104:20190726102034j:plain

 

来年の演奏会で弾き語り予定。

一年かけて悔いのないように謡いこんでいく。

日々死に物狂いで頑張る所存。

 

 

 

 

f:id:umryuyanagi104:20190725112726j:plain
f:id:umryuyanagi104:20190725112716j:plain



六人の生徒さん方・・・・
  来年の演奏会用の各人の曲がほぼ決まったようなので

               互いに頑張るまいか~♪♪♪

 

f:id:umryuyanagi104:20190726111146j:plain

 

一年後・・・笑って演奏会を終わるために。

出来ることは全てやって一年間を過ごせるようにどうしたらよいかを各人で考えてくだされ。皆・・・大人。私はこれ以上は言わない。

 

 

 

  『琵琶は元来簡単なる構造の中に無限の妙音を含み、

     歌は能く宇宙の深遠なる道理を悟らしめ、

        飽くまで精神修養を計る一助となす』

        

         大正11年9月   錦心流の流祖・永田錦心氏の言葉

           

 

 

 

          ★ ☆~各人の健闘を祈る~☆ ★

ダウン~ & 復活♪♪♪

いゃあ~・・・・ダウンしてしまった。

最近すこーし忙し過ぎたせいか、いや年のせいか、いやいや考えもなくやたら無駄に動き過ぎるせいに違いない。

 

f:id:umryuyanagi104:20190711145716j:plain

織成館の庭

 

大阪、東京、京都と仕事の合間に勉強を兼ねて彼方此方行っていたのだが、老体には少し無理だったようだ。どこかに行く時はその前と後に仕事を分散するので行く時に既に疲労が蓄積。行っている間は楽しいので直ぐ忘れるのだが、帰って来てからも仕事が押しているので結構きつい。最近では一年前と同じ仕事量は無理だと感じかなり減らしている。今回は帰る前、既に電車の中で自分の体の異常を感じていた。それでも翌日は休みを取っていたので何とかなると高をくくっていた。一晩寝ても頭は痛く、体は怠い。静かに座っていることが出来ずに一日中横になってばかりいた。でも溜まった洗濯ものを処理しないといけないし、空っぽの冷蔵庫の為に買い出しに行かねばならぬ、やらねばならぬ振込の必要な請求書も留守の間に届いている、行っていた時の簡単なレポートをまとめ…・・・なんだかんだとすることはあるにはあった。しかし、慣例にしている寝る前のビールを一口も欲しいと思わなかった時は流石に「とっとと寝よっ!!」とさっさと寝てしまった。しかし翌日は朝から起き上がれず酷い頭痛と倦怠感。「きっと血圧も高いに違いない」と。上も高いが下は三桁の血圧。仕事も押しているので先ずは食べないと・・・と少し口に入れるも嘔吐を繰り返す。何とか午前中の仕事を終えた頃、自分の体に熱のあるのに気が付く。測ると38.2度。こんな熱は何年振りかしら。3時からの仕事を終えると医者に直行。解熱剤をもらいダッシュで帰宅し飲む。6時からの仕事も終え、この日もそのままベットに倒れ込む。(笑)

 

f:id:umryuyanagi104:20190711145535j:plain

織成館の座敷から庭を見る

 

久しぶりの体調不良。

寄る年波の顛末・・・でした。

はい、誰にも言われないうちに自己申告。

「もう、いい加減に静かに暮らせ!!!」。

 

色々書くことはあるのだが、そんなこんなでブログ更新が遅れてしまった。あいすみません。大阪でのことは書かないが、京都について少し書く。

 

f:id:umryuyanagi104:20190712094858j:plain
f:id:umryuyanagi104:20190712094905j:plain
inuwanさんの写真展

まずはブログ仲間のinuwanさんの写真展。二年前か三年前に案内状を頂いていてその時は「行く」と言っていたのだが、その時は琵琶の演奏会の後、体調絶不調となる。今でも記憶にあるのだが一番は声が全く出なかった。それとおしっこが出なかった。水を飲んでも飲んでもトイレに行けず体に毒素が回る。体はむくみ頭は痛く、起き上がれなかった。きっと腎機能に何がある、と思い込んでいたが全く異常がなかった。お医者さん曰く「物凄いストレスを抱えていませんか?」。私ストレスフリーの女、寧ろ周りにストレスをばらまいている。完全に治るまで随分かかったのだが、・・・結局、写真展には行けなかった。約束していて破ったことがずっと気にかかっていた。それがあったので今回何としても実現したかった。

 

f:id:umryuyanagi104:20190712102249j:plain

inuwanさん手作りの花器

 

写真展は思った通り素晴らしく目を見張った。特に私は緑一色とか、白一色が物凄く好き。だから無彩色っぽい曇り空も大好き。外にタクシーを待たせていたので20分程度で切り上げるつもりが何と1時間もいた。これがもっと自由になる時なら半日はいたに違いない。inuwanさんはきっと言うぞ。「姐さん、もう帰ってんか?」と。タクシーに戻ったころには運転手さんがいびきをかいて眠り込んでいた。どなたもこなたも迷惑をおかけしてほんにすんませぬ。

 

 

で、写真展初日に合わせて他の予定を前後に組んだ。

どれだけ私は日ごろの行いが悪いんだか・・組んだ予定がこれが又、悉く外れた。(笑)

で、仕方がない、現地に行って急遽見学をして来たというわけ。だから時間のロスが甚だしく、段取りが頗る悪かった。しかもタクシーの運転手さんとトラブルというアクシデント付。これで半日は無駄にした。こちらも意地になり何としても引きたくなかったし引くいわれもなかった。最悪の日々でもあった。

 

f:id:umryuyanagi104:20190711145426j:plain

織成館の庭2

 最悪の日々ではあったが少し心温まる事もあった。

今回は一つ二つ私の心にかかったことを書こうと思う。

行ってきた処は能装束の佐々木能衣装店さんと織成館さんである。特に織成館さんでは苧麻を使った夏の生地を展示されていたのでその時の写真を随所に挟みながら書こうと思う。参考にされたし。佐々木能衣装店さんは展示されているのが有名な舞台の方の物なので写真撮影は許可されなかったので許されたし。しかし、織成館さんは特別に許可を頂いたので幾つかアップしていきたい。

 

先ずは織成館さんの工房でのこと。

 

 

f:id:umryuyanagi104:20190711150047j:plain
f:id:umryuyanagi104:20190711150110j:plain

 

 

 

f:id:umryuyanagi104:20190711152214j:plain
f:id:umryuyanagi104:20190711152220j:plain
織成館展示場



折角写真が許可されたので幾つかお見せしたい。

各説明は反物や着物に付けてあるキャプションから抜粋。

 

f:id:umryuyanagi104:20190711150133j:plain
f:id:umryuyanagi104:20190711150206j:plain
与那国芭蕉布

芭蕉布の生産分布は鹿児島県奄美群島から与那国までのおよそ一千キロの地域の島々。そこで織っていた夏用の衣用の織物。繊維は糸芭蕉の茎(葉脈繊維)から糸を採って 糸に績んで織り上げるのは共通の技法であるが、地域によって品質の優劣 用途の違いはある。与那国さんは日常着用である。

 

 

f:id:umryuyanagi104:20190711150243j:plain
f:id:umryuyanagi104:20190711150248j:plain
竹富芭蕉布

芭蕉布はかつては琉球の日常着だった。竹富の芭蕉布は茶の経縞と綿糸を藍染めした市松取りの経絣縞を各2~3條配しているのが柄の特徴といえる。茶はテカチ(車輪梅)またはグールで染め地糸は芭蕉生成り。織りあげた芭蕉布は島の周辺で「海晒し」を行う。これは世界的に珍しい技法。

f:id:umryuyanagi104:20190711150154j:plain
f:id:umryuyanagi104:20190711150201j:plain
八重山上布

茶絣の上布としては日本唯一のものである。紅露(くうる)くうるを擦って褐色の濃縮した染液を採りこれを島で栽培した苧麻を績んで作った糸に竹べらで絣柄となる所に摺り込むという植物染料の摺り込み絣は 世界的にも比類のない技法を伝承している。琉球民謡を聞きながらの作業風景はまことにのどかである。

f:id:umryuyanagi104:20190711150350j:plain
f:id:umryuyanagi104:20190711150355j:plain
与論芭蕉布

沖縄県以外で芭蕉布を商品として生産しているのは与論島のみである。ここでは伝統が辛うじて一つの工房で保たれている。糸芭蕉が自生していても糸を績む難しさは現代の後継者には耐えられないものである。観光として発展している与論で手作りの織物を伝承する工房の健闘を讃えたい。

 

f:id:umryuyanagi104:20190711150327j:plain
f:id:umryuyanagi104:20190711150332j:plain
宮古上布

本土復帰の後に宮古上布は国総合指定重要無形文化財となったがこの上布は琉球時代の検査証を残す貴重なもの。経、緯共に島産の苧麻を手績みした精緻な糸を絣に括り琉球藍に蓼藍を加えた藍甕で染め上げ細かな十字絣を合わせながら織り上げる。ついで「せんだく」と呼ぶ砧打ちで上布に独特の光沢を誕み出す。

これは館長さんによれば柄のはっきりしたものも保存しているから‥と言われ折角なので、と奥から出してくださる。それがこれ・・・

 

f:id:umryuyanagi104:20190711150552j:plain
f:id:umryuyanagi104:20190711150558j:plain
宮古上布と館長さん  (笑)

 

 

f:id:umryuyanagi104:20190711150432j:plain
f:id:umryuyanagi104:20190711150441j:plain
能登上布

石川県能登半島にある鹿西、鹿島、羽咋の地域は江戸後期から庶民に愛用される上布を多く生産してきた。もともとこの地方は古くから苧麻栽培を主にして、苧麻を近江上布の原料として取引していた経緯がある。現在の能登上布は解(ほぐ)し、櫛押し、ロール捺染、板締めなどの絣技法で文様を表している。

 

ちなみに能登上布は和装組曲有志で何年も前に現地に出向き見学している。興味のある方は和装組曲ホームページのアカデミーでの過去の記事をご覧ください。かなり細かく書いているので上のキャプションの説明が分かり易いはず。

 

f:id:umryuyanagi104:20190711150501j:plain
f:id:umryuyanagi104:20190711150507j:plain
山北の麻布(大麻)

かつて麻布と言えば大麻の茎を績んで織ったものを指した。苧麻の物は麻上布といわれた。古代から営々とと伝承されて来た麻布は戦後になってマリファナ問題が起こり、大麻栽培が行政機関の管理下におかれた。これによって全国各地で栽培された大麻は一挙に衰退し麻布も同時に姿を消した。現在は無害の大麻を栽培しているがこの展示はそれ以前のものである。

f:id:umryuyanagi104:20190711150754j:plain
f:id:umryuyanagi104:20190711150805j:plain
開田麻衣

かつて無形文化財指定者として開田(長野県木曽郡)畑中多美さんと共に、開田村で当時麻布を織っていたこの制作者向井ユキさんは畑中さんと畑で大麻を栽培し糸を績み布を織っていた。開田村の麻布はすでに絶えて久しい。

 

f:id:umryuyanagi104:20190711150847j:plain
f:id:umryuyanagi104:20190711150850j:plain
奈良生平

奈良市近郊月ヶ瀬地域は奈良麻布の一大産地を形成していた。主に大麻を用いていたが上布には苧麻が用いられた。無地の生平を白く晒す技術も得意でこれは奈良晒の名称で全国に知られた。麻布には本製(経・緯共に手績糸使用)と半洋(経紡績麻糸・緯手績糸)の二種がある。織元は現在二軒。

 

f:id:umryuyanagi104:20190711150226j:plain

小浜島豊年祭用インド藍染芭蕉居衣

印度を産地とする印度藍の一種(南蛮クサフジ属)が古くから自生又は栽培される八重山地方は印度藍が生育する東の限界地点とみられる。この芭蕉衣は島の豊年祭に男衆が必ず着用していた。一つの甕で泥藍を造りこれで染める技法は戦後は島のノロ(祭司)だった大嵩ミツさんが伝承者で人々に技法を指導していた。

 

 

f:id:umryuyanagi104:20190711150305j:plain
f:id:umryuyanagi104:20190711150313j:plain
国頭地方の芭蕉

琉球列島は芭蕉布列島でもある。人口の集中する沖縄本島では町の人々の為に本部半島今帰仁(なきじん)や国頭(くにがみ)くにがみ地方から庶民用の芭蕉布を大量に算出した。国頭地方産のものを山原芭蕉布と称し、質的に今帰仁産にやや劣ったが日常着に欠かせない縞柄を主にした芭蕉布に特徴があった。

 

f:id:umryuyanagi104:20190711151956j:plain
f:id:umryuyanagi104:20190711152237j:plain


誰にも見向きもされない夏の着物ではあるが、すたれていくその一つ一つを私財を投じて集め展示し少しでも後世に伝えていこうとしている方々に頭が下がる。

この織成館にはこういった展示とは別に実際の工房も備えている。

 

 

f:id:umryuyanagi104:20190711150406j:plain
f:id:umryuyanagi104:20190711151022j:plain

 

f:id:umryuyanagi104:20190711151210j:plain
f:id:umryuyanagi104:20190711151150j:plain



f:id:umryuyanagi104:20190711151053j:plain
f:id:umryuyanagi104:20190711151342j:plain



工場長さんから「絽」や「羅」の組織やその織り方の説明を受けていた時に「カタン、コトン」という機の音の合間から可愛い声の童謡が聞こえてきた。最初はラジオかな、とも思う。およそ工場の中とは思えない穏やかで優しい歌声だった。あちこち動いて声の主を探してみる。いたいた・・・・♪♪♪
可愛い女の子がいた。お母さんと思しき女性の横でお絵かきしながら歌を歌っている。時々お母さんの方を向いたり何かを言いたげにお母さんを確認しているかのようだ。ふと、その子が私を見た。恥ずかしそうに下を見た。
「お利口さんね?お母さんの横でお絵かき?」と聞くと
小さくうなずく。
「何を書いているの?見てもいい?」
女の子が差し出すお絵かき帳にはどうやらお母さんと思しき女の人が書かれていた。
「お母さん!!」と女の子は言う。
「そう、お母さん綺麗だもんね。上手ね?」
というと、その子は機械にかかっている美しい唐織の布を指さして
「これね、お母さんが織ったの」と。
「まあ、何て素敵なお母さんなの。」
というとにっこりと笑いどこか得意そうに又お絵かき帳に向かって俯いた。
当のお母さんは「やだわ、この子ったら」なんて言いながら愛おしそうにお絵書きする子供を見ていた。言い方は悪いかもしれないが昭和の親子の仲睦まじさを見たような錯覚に陥った。仕事の間中保育園に預けるでなく、子供もおとなしく仕事の邪魔をしないように一人で遊ぶ、それもゲームではなく絵本やお絵かき帳で。母と子の何とも言えぬほのぼのとしたゆっくりとした
時間の過ごし方がこちらの心にまでひたひたと浸透してくるようで幸せな気持ちになった。
今回見学した中で一番感動したことかもしれぬ。

目先の何某かのお金や実入りにではなく、好きな事にじっくりと取り組み、無理のないようなゆったりとした時間の流れの中で日々生きている方々の思いに触れたようで自らの生きる姿勢に大きな楔を打ち込まれたような衝撃だった。

 

f:id:umryuyanagi104:20190711150413j:plain

 

京都から去る日にホテルの新聞で・・・・

 

f:id:umryuyanagi104:20190718114812j:plain

特に全行程の中でも「綜絖」(そうこう)という工程が危機に瀕しているという。数千本になる経糸を機械に通していく作業なのだが、地味でしかも高度な熟練がいる。一人前になるには10~15年掛かるという。着物需要が落ち込んでいく中なり手のない工場ではどんどん事業継承が困難だとか。京都の観光客の増加を唱える記事もあり。ドンドン観光で稼げる産業に人は移っていくのかもしれない。

誰が悪いわけでもないのだが、とても寂しい気持ちでホテルを後にした。

 

さて、帰宅しての体調不良と戦っている間に素敵な資料が手に届いた。

それは琵琶に関して。大阪の50年も琵琶に携わっている方からのものだった。

昔の資料で私に何か役に立つかもしれないから…古い資料を色々探してくださったようだ。その中にこんな一文があった。

 

  「 琵琶は元来簡単なる構造の中に無限の妙音を含み、歌は能く宇宙の深淵なる道理を悟らしめ、飽くまで精神の修養を図る一助となす・・・」

 

私の所属する錦心流の流祖である永田錦心氏の言葉で記されたのが大正11年9月となっている。特に「飽くまで精神の修養を図る一助」という言葉にはっとさせられた。

上手に歌うとか、上手に弾くとかではなく、あくまでも自分自身の精神修養・・・という。少し動くだけで脂汗がでて、すぐ横になっていた私だが、この言葉で霧が晴れるような爽やかな気持ちになったのだ。

時々「だみ声」と陰口をささやかれ、「発声法も知らぬ」と揶揄され、すっかりめげてしょげて「辞めようか」とまで思った事もある私。それを知った大阪の大先輩は静かに後押しをして下さっているのだと思う。「負けるな!!」と。

とても嬉しく頑張ろう、と思ったのだ。

新しい気持ちで明日から着物にも琵琶にも取り組もう

 

 

f:id:umryuyanagi104:20190703181738j:plain

散歩途中で見かけたトビ

で、今日は復活。
一杯食べて元気百倍。(笑)
単純もここまでくれば目出度いではないか?
更に更に頑張りまっす♪♪♪
どんな時も雲龍柳は我が道を勝手に行く・・・・

気持で生きている人だからして。。。。