早いもので今年に入って既に7回目のゆめみ会である~♪
この日は「着物の文様」について。
参加は7人。前々回の海外からの留学生も飛び入り参加。
内容は少し難しいので今回は聞くだけ。
一人この段階でいないのは交通事情によるもの。
ご容赦を。
一口に「着物の文様」といっても色々な切り口がある。
「正倉院文様」や「有職文様」「名物裂文様」という時代を象徴する文様としての分類をされていた方も有れば、模様と言うものをパターン化してどのような作り方をしているかによって「尽くし」「捻じり」「破れ」「取り」とか「よろけ」とか「親子」とかいった形から繰り返される特徴から捉えられた方、又「吉祥文様」といった歴史やその持つ意味から理解されてきた方、など聞いていてとても面白かった。
確かに人によってどうとらえるか…10人いたら10の捉え方があるのは確か。ただ中には余りにネットで調べられ細かい分野に特化しすぎたために枝葉にばかりとらわれて幹が分からなくなった方などもいたようである。
ただ確かなのは日々皆さん物凄く勉強していらっしゃる。
「あ・・ぁ・・そう来たかぁ」という感想もあり・・・
「この人、物凄く勉強してきたなあ」と感嘆もあり・・
「物凄く分かり易い説明~」という驚きもあり・・
「変な方向に行き過ぎている」というのもあり。
パソコンやスマホの時代なので案外
「その字を書いて!!」
というと
「読めるけど書けない~」と。
私も度忘れして書けなかった字があった。
着物の文様は日本で作られたものは物凄く少ない。
日本の方はほとんど日本の模様だと信じて疑わないのだが、
殆どが中国からのもの。
数少ない日本で作られた独自の物・・という説明の処で
「几帳」「源氏車」「檜扇」「色紙」「橘」そして「熨斗」
私の知っているものとしてはこんなところ。
着物の仕事をしていてこの数はほとんど増えていない。
それを漢字で書く時に「熨斗」が出てこなかった・・(笑)
「熨」の下の「火」が思い浮かばず「???」
そこではたと手が止まる。
そこを助けてくださったのがあの交換留学生の方。
「火」です、と。ありがとっ。流石にお国柄。
さて模様はさておき今日は折角の機会なので「無双と紗合わせ」の事を少し触れておこう。
無双と紗合わせは現在は同じような雰囲気で用いられる言葉であるが、元を正せば少し違う。
無双と言われるものに・・・・「絽紗」と「紗紗」がある。
「絽紗」と言うのは絽の生地と紗の生地を合わせて1枚の着物として仕上げた物を言い、「ろしゃ」と読む。
「紗紗」と言うのは紗の生地を2枚合わせて1枚の着物として仕上げたものである。これは「しゃしゃ」という。
どちらも2枚の着物ではない所から「無双」と言われていたようである。
どちらも単衣に準ずるように着られていたようである。
よく間違われる「紗合わせ」と言うのはこの「紗紗」の事。
たまたまこの日1人の方が「紗合わせ」の着物を着て来てくださった。
模様としては「遠山」で素材としては「紗」であるが、失礼は承知で裾をまくって裏を見せていただいたのが右の写真。表から見るより裏から見る方がくっきりハッキリ柄が分かる。それは2枚の紗の生地を合わせているからである。表は無地の紗、裏は柄を染めた紗。重ねると下の柄がぼんやりと透けて見えるという訳である。
「紗」を2枚合わせているので「紗合わせ」・・・音から「しあわせ」
にもとれ縁起の良い物と好まれていたようである。
今はどちらも区別なく同じように言われているようである。
さて折角なのでもう一つ。
この2種類の着物、仕立てが今ではほとんど使われていないが「毛抜き仕立て」と言われる仕立てをされていた。
2枚の着物を1枚として縫うと合わせ目や裾などが四重になってしまうのでスムーズにするために。だから「毛抜き」の合わせ目の様に表と裏地がどちらもピタッとはみ出さないように。イメージしやすいように言うと、カッターシャツの袖口のように表地と裏地がピタッと一致している。
着物の裾や袖口は裏の八掛が表に少し出るように縫う。これを「ふき」という。たしかこんな字・・「袘」。
それは表地を摩擦や汚れから守るためで、汚れても痛んでも裏地なら替えるのは大した出費にならないため。また表地と裏地の色の妙の中に独特の調和の美を楽しむ事も出来るのである。
この毛抜き仕立てを無双の着物の仕立てに使っていたようである。
なにせ昔の事なので中々現存している物がない。ただ私の母が仕立てをしている時に「毛抜き仕立てをしドンデン返しをする」とよく言っていたものである。
「ドンデン返し」とは2枚の布を中表に合わせ四隅を縫う。全部縫わず一部だけ少し開けておく。そこからひっくり返して表を出すやり方である。これは能面の袋を作る時も使っているようである。昔は敷布団カバーなどもこのやり方を使って最後に塗ってない部分をかがっていたような気がする。
仕立てをよく知る人に聞くといまではこんな「毛抜き仕立て」というやり方をして無双の着物を仕立てる人はいない・・とのこと。
今はこんな感じ・・・・
確かに2枚の生地から成り立っている。
しかし縫い目は単衣の着物のような縫い方をしている。
この着物は柄の生地の上に紺の紗の無地が合わせられている。
脇はともかくとして衽などの縫い代は柄を隠さないようにカットされているようでこれでは縫い直しで巾を出したりできないはず。そのあたりの仕立てなども知っておいての裁量となるだろう。
昔の方は本当に物凄い知恵を使っていらしたのである。
今では「無双」どころか着物自体が廃れていっているのが実情。
外国の留学生すら頑張って美しく着て日本の文化の理解の一助に役立てようとしているというのに。(←結構私も年より臭くなってきているようだ。)
次回のゆめみ会は第8回目となる。
7月27日(土) 13時半
テーマは半幅の結び方を中心にあれこれ・・・と。
ドレスコードは浴衣、着物、どちらでもいいですが、半幅をご持参されたし。
アジサイがそろそろ終わり、こちらでは夏椿の時期・・・
ではでは・・・またねん~・・・♪