和装組曲♪

・・着付け教室、琵琶演奏、能面制作などに勤しむ日々のあれこれをグダグダと綴ります・・

第5回「いろは会・萌」

4月に入ってモタモタしている間に月日は「あっ〜!!」と言う間・・(笑)
本当にお婆のすることはとろすぎる。




4月のいろは会が先日過ぎた。




でもいらして下さる皆さんの着物姿に目が覚める。





テーマは「萌」だが、来月大きな会合の受付をすることになったのでそのコーディネートを見てほしくて・・・とのこと。
薄い藤色の品の良い付け下げ訪問着に非常に細かいこれまた凝った袋帯
小物もとても吟味されている。

「ほぼOK〜」
ほぼ・・と私が行ったのは帯の金地と帯裏の朱の色が今の季節なら丁度良いのだが、5月にどう人の目に映るのかが気がかり。「5月は暑いよ、きっと」と。とても暑い時に金と朱色は結構暑苦しく人の目に写るのではなかろうか・・ただこの方は県外の方なのでどういう地方かにもよる。周りの方々との調和にもよる。案外そういう風なものを好まれる地域柄なら全然OK。着物も帯も物凄く凝った良い物なので自信を持って行かれればよい。





毎回の事だがこの方は非常に安定している。
しかもドンドン上手になっている。
着物と帯と小物とのチョイス、更に着物の着方。何も言う事がない。
織の着物に織の帯なのでちょっと硬い雰囲気になる所をご本人の雰囲気で実に上手に和らげていらっしゃる。
しかも今回とても驚いたのは説明が物凄く上手になった。
嘗て私が話した事なども交えながら何故このコーディネートにしたか、何故この色にしたか、などの説明は聞いている方々の称賛を得たばかりでなく、ご本人の思いが伝わり私まで「ほ〜っ!!」と感動した。



少しの色の違いで着姿を上品にも下品にもするのに、この方は物凄く神経を使って実に自分に合う色を上手に選択できるようになってきた。誠実で正直ながら熟慮し推敲する術までここにきて身に着けていらっしゃる。大した方である。真摯に粘り強く勉強することの大切さをこの方が示して下さっているように見える。






実は15年前の私の生徒さんだった方。
現在は県外からの参加。

15年前ほんの何回か教えただけなのに
「着ないとすぐ忘れるので、できるだけ着る事が秘訣」
という私の言葉を肝に銘じ3か月に一度は着物を着る機会を自分で作っていたとのこと。
だから今回もちゃんと着て来られたのだ。


帯締めに藤の花・・
季節の先取り・・こんなところにも神経が行き届いているのも素晴らしい。
昨日今日でできることではない。
この方の15年間の着物にかける思いが伝わってきてとても嬉しい。
15年前に同じように着物を習っても果たしてどれだけの人が今着ることができるだろうか…
しかも3か月に一度・・・というと言葉では簡単だけれど実行できる方が果たしてどれだけいるだろう・・しかも15年間。律儀であるだけでなく静かに努力する方なのに違いない。
如何にご本人も着物を着ることが楽しくてしょうがなかったとしても、である。


今回この方が締めていらしたのはお母さまの帯。
しかしちょっと見ていただきたい。
刺繍の丁寧で可愛い雰囲気もさることながら繊細な金泥の描き方に感動。
金泥は粘着質で案外どぼっと付きやすいのだ。じゃあ金泥を少ししか筆に付けないで書けばいいと思われるかもしれないが、そうすると線が途中で途切れてしまうのだ。一息でしかも同じ太さでこんな風な繊細な線を一気に書くことができる方は京都といえどそんなにいらっしゃるものではないと思う。こんなに美しく繊細に書かれているのを見るのも珍しい。私は二度目である。一目ぼれで買われたお母さまの気持ちが分かる気がする。



この方は和装組曲に習いにいらしてまだ4回しかたっていない。
今はまだ着る順番で一生懸命なのに違いない。
着物は小紋、帯は染め帯。
どちらも染めなので、どことなく甘い雰囲気であるが、ご本人のホンワカした雰囲気に何となく合っている。
着物の丈は一考の余地あり。実にご本人がスレンダーなのに後ろから見たら帯下、半身が短く見えるのは何故かを考えてみてほしい。全て着方。又八掛の色、帯の色、帯揚げや帯締めの房の色・・・・後ろから見たら色んな色が見え隠れすることをこれから少しずつ計算できるようになるだろう。そういうことが分かって初めて着物の楽しさに目覚めるのである。これからが楽しみだね。



この方はここに「萌」を配した。


帯締めでなく帯締めの房にだけご自分の思う色を持ってきた。
これも技ありだね。(笑)

この方の場合は毎回言うようだが、何より顔の表情がいい。
どんな苦難も乗り越えて来られたのに、微塵も感じさせないおおらかさや優しさがある。
着物云々の前に人として見習いたいような方である。
何かで読んだ言葉である。
「その方の器以上の苦難がその方の顔を歪ませる」と。
どんな大きな苦難も困難も笑って乗り越えて、生きたい自分でありたい。



この方も5回習っただけの方。
今回は総絞りの着物に無地の赤い帯。
総絞りの着物と言うのは案外太って見えるものだが、この方には優しくふんわり当たり、理知的でシャープな目鼻立ちを優しく美しく見せてくれとってもナイスな選択。しかも帯が無地を持ってきたのが何より良かった。スッキリと見える。ただピンクの髪飾りは考慮の余地あり。
慌てて着物を着たら「ちょっと失敗〜」と言いながら教室に駆け込んでいらした。手慣れた着方をするまでには何度も何度も失敗はつきもの。それを恐れていたらいつまでも着物は着られない。パーフェクトでなくていい、あちこち色々失敗あっていい・・・楽しみながら上手になりましょう・・と皆さんと話していた雲龍柳。

いろは会の方ではないのだけれど、この日の午前中教えた生徒さんの着姿も参考に。
これから茶会に行かれるとか。
一つ紋の色無地に明綴らしき袋帯




この日が3回目の練習。
私の手助け一切なしでの着付け。15分くらいで完成。しかもこの日2回完成した。
この色を選ばれたのは「藤の時節だから・・」と。
日本人って素敵。



ついでに雲龍柳の当日の着物。







大好きな縞の小紋に黒地の織の洒落袋。
地が変わり織になっているので写真ではわかりにくいのだが、白地にくすんだ緑色の縞模様である。
毎年2〜3度、実に35年間、春には着ている着物である。
なるべく今の年齢だけの物でなく長い間着れる着物を手に入れることをお勧め。
本当に気に入ったものを手に入れたらそれこそ数はいらない。





さてさて・・・最後の来月のご案内に行く前に一つだけ書かせてもらおう。
これは私の近しい友人やよく我がブログを覗いては色々メールをくださる方々からの一様に頂く弁。
「今年のいろは会のメンバーが物凄く質が高い」と。
そう・・実は私も密かに思っていたこと。
普通は何度も何度も私が悪者婆になって繰り返さないと分かってもらえないようなことを、今年の方々はいとも簡単に理解してくださる。私も思っていたことなので的を得た称賛の言葉を一杯頂いたことを最後にお伝えしておくね。いろは会のメンバーの方々・・・いい気になってもいいよん〜、それだけのことは確かにある・・ので〜♪(笑)


       
     【 5月のいろは会のご案内 】
       5月12日(土)
         午後1:30〜3:30頃
         テーマ「初夏」

暑くなっていく日々の中
どの様な着物や帯、特に小物などチョイスしていくか。
知っているようで案外知らないもの。
季節も昔とは変わってきているので昔のしきたりは案外通用しない。
でも知識として知っていることはとても大切。
そしてそれをどう生かすかは自分次第。
この機会に覚えてみませんか。