和装組曲♪

・・着付け教室、琵琶演奏、能面制作などに勤しむ日々のあれこれをグダグダと綴ります・・

第4回「いろは会・桜」

今年の金沢、3月末に桜が開くかもとか。
低温で雪の多い年だった分、一挙に暖かくなり桜も花開くのであろうか。



今回は「桜」がテーマ。
教室の玄関には桜と小手毬。
玄関には打ち水をして桜のタペストリー。


勿論お香は「淡墨桜
白檀の香に何か少しブレンドされている気がする。
白檀特有のツンとした香ではない。



今回はこんな設えで皆さんをお迎えすることに〜♪♪♪
さてさて、皆さんどんな桜をイメージされているのか…








    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・♪♪♪・・・・・・



先ずはこの方・・・
夜桜見物に行く時のイメージとか



少し暗いかな。
見ようによっては帯に桜のうっすらとした色が入っていなくもないのだが、
私的には帯揚げか帯締めにほんのりと明るい色が欲しかった。
帯揚げが茶色というより淡いピンク、もしくは明るい水色とか、薄い黄色とかだと後姿も明るくなるのではなかろうか。
又襦袢だけでも少し明るめの色を選ばれたら、袖口や振りから覗くのでもう少し雰囲気は違うと思う。
ただ春だからと言って全ての人が明るいわけでもなく、その方その方で人生の中で沈む時もあるにはある。
明るい色を着たくない、一切身に着けたくもない心境の時も。
それはそれで分からぬでもない。

又この方・・・

パッと華やいで見ているだけでこちらまでウキウキする・・そんな気分にさせてくれる。
タンスの中に入っていた若い時の着物とか。
「孫に着せてもいいかな?」と笑われていた。


いやいや、本人の持っている雰囲気がこの着物の若々しさに負けていない。
こういう方を見ると着物は年齢で着るものではないと改めて思う。




又こちらは・・・
黒地に花びらの舞うぼかしの地模様のある付け下げ。
帯は富士山を背にした桜を刺繍した袋帯
水に写る富士山が春にはとっても清々しい。
一目見るだけでもとても爽快。




「でも帯揚げを何故その色にしたの?」
と聞く私に・・・



八掛の色に合わせた・・・と。
凄いじゃん!!!と。
何故ならこの方は全く知らない状態から初めてまだ五回しか習っていない。
それを名古屋帯を習い、この日は袋帯を結んでいらした。
しかもこの帯はかなり手ごわい。(笑)
前の柄とお太鼓に来る柄を吟味しないといけない帯だから。
お太鼓の富士山の上が欠けるわけにはいかない、でも前に来る富士山を脇にずらせるのはちょっと…と。
頑張ったね。技ありだね。
この辺りは自分で帯を結べない人には分からない苦労かも。
この方、日に日に上手になっていくのが分かる。
コーディネートが楽しくて仕方がないに違いない。
毎回、何かに挑戦されている。

次の方…
京友禅風のあっさりした図柄を華やかな地色に。
帯は品の良い明綴れ。
花はどことなく桜にも見えなくもない。





何時もながらお上手。
春らしく華やぎもあり、この方ならではの品の良さを持っていらっしゃる。
着物の華やかさに負けない花がご本人にはある。

そして、着物は余り独りよがりにならず、周りの方々にまで華やかさのお裾分け・・・できる良いお手本だと思う。



次は、今回飛び入り参加のブログ友。
電車で4〜5時間かけて金沢まで遥々このために来てくださった。


右近の橘、左近の桜・・・のイメージで橘の小紋
帯は



切り嵌めの露芝の名古屋帯
芝が雪輪になっているのもこの時期らしくて楽しい。
コーディネートも着方もパーフェクト。
細部に至るまでご本人のイメージを引き立たせているチョイス。
帯締め帯揚げも文句のつけようがない。
帯が白、着物が黒、というコーディネート、一つ間違えば嫌味になる所を全く感じさせない。
着物の黒地に白い色が入るのと柄のチョイスが鋭角的にならぬ様に物凄く吟味されているから。
更にご本人の雰囲気もある。
こういう合わせ方、小物の選択、それはここ何年かでおいそれと出来るものではない。
多分長い間の着物愛好歴があるに違いない。

一目見た瞬間「やられた」感。(笑)
こういうコーディネートを見ると着物ってその方がもろに出る、とつくづく思う。



いつもはこの辺で「ではでは・・・」と終わるのだが、
前回コメントで雲龍柳の着物姿を・・とコメント頂いたので
恥ずかしながら最後に姥桜登場。(笑)




実はまだ正座が厳しい。
瞬間芸のような正座。
折り曲げた腿の高さが物凄く違うのは片方の脚がまだ代謝悪くてパンパンに腫れあがっているから。

着物は銀糸を織り込んだ薄汚し色の明るいグレー地の無地の着物。
帯は山桜の柄の袋帯
前述の富士山の柄は刺繍だったが、この山桜は刺繍ではない。
織出しの模様。だから華やかさにちょっと欠ける。
でも山桜はその方がしっくり来る。
着物をこの色にしたのは帯の山桜の白っぽい花びらの色に合わせたかったから。
後ろから見た帯はこんな感じ。





この日の胸にさした和装扇は平忠度

     さざなみや 志賀の都は荒れにしを 
                    昔ながらの 山桜かな

の上の句を書いてある露芝の扇子。



最初は扇子だけに桜を暗示させて着物も帯も一切桜を使わないでおこうと考えていた。

その方がお洒落だろう・・と。その方が恰好いいだろう・・・と。

でも気持ちって何て不思議〜♪♪♪
教室の前に桜の枝を生けていたら無性に桜の帯を締めたくなった。
桜の帯は何本か好きなので持っている。
満開の夜桜の箔帯もあるし、チラホラと花びらが舞う優しい染め帯もある。
紀貫之の歌を薄墨で書いてもらったものもある。

でもその中でこの山桜を選んだ。
今回はまだ桜が開花していない事も有る。
まだまだ気温も低いことも有る。
何より私は山桜のこのひっそり感が好きでもある。
山桜には里桜の華やかさはない。
白い花びら・・一枝の山桜・・・
だからお太鼓はすこーし控えめに小さく結ぶことを心掛けた。




今朝散歩していて南向きの山茱萸の花が満開なのを見つけた。
我が家の山茱萸は西向きで、蕾はまだまだ固いのだけれど。
春は本当にすぐそこ・・・


     ◇◆◇  4月の「いろは会」のご案内  ◇◆◇

    4月21日(土) 午後1時30分〜3時30分ころ
    
    端午の節句近くとなり、菖蒲、杜若、藤などの季節に向かいます。
    野にも山にもつややかな緑と空の青さが目に眩しい季節となります。
    着物のテーマ 「萌」とします。

   
    各自の思いや好み、イメージを表現した着物姿でお越しください。
    次回はこの時期ならではの襲の色目にも少し触れてみたいと思っています。
    なお参加希望の方は必ず予約必要です。
    メールもしくは雲龍柳の携帯にお願いいたします。