和装組曲♪

・・着付け教室、琵琶演奏、能面制作などに勤しむ日々のあれこれをグダグダと綴ります・・

天地の目

能面「中将」が仕上がった。

で次の面・・・「若女」(わかおんな)・・・

今度は女面である。

能では「井筒」「杜若」「花筐」などに使用されるとか。

暇暇にどんな能舞台なのかを見に行ってこなければ。

 

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女面というと皆さんはすぐに「小面」を思い浮かべるに違いない。

「小面」と言うのは女性でも比較的若くて微かに少女の面影を浮かべ可愛いくてどこか大らかと言われる面である。また「小面」と同じように女性の面としては「増」(ぞう)という面が有名である。「増女」ともいう。これは室町初期の面の作者「増阿弥」によって作り出されたことによる名の由来である。美人ではあるが少し年齢も行き、抑制のきいたキリリとした表情と引き締まった面立ちの面で神性を帯びた雰囲気から女神、天女などに使われる。「小面」と「増」の中間に位置するのが「若女」の面である。小面の可憐なかわいらしさと、増の少し厳しくもある品位や理性を感じさせる中間・・・の「若女」

その他に若い女性の面としては「孫次郎」もある。これは室町時代金剛家の先祖である金剛家の能楽師が亡き妻を忍んで作った女面で、この能楽師が後に名を変えて孫次郎と名乗ったことから彼の作った面が「孫次郎」と呼ばれるようになったのである。

 

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各流派では大事にする女面が分かれている。

例えば金剛流では「孫次郎」を大切にし、金春・喜多流では「小面」、宝生流では「増」、更に観世流は「若女」を。各流派の大切な能の演目には女面なら何でも・・と言う訳でなく各流派ともここぞという時に大切にしている面を使う。もっともこれは今では有名でどんな書物にもでている。

 

さて、今日のタイトル「天地の目」・・・

「天地」と言うのはいわば「上と下」の意味。

能面は片方の目が上を見ていて、片方の目が下を向いているように作られている。これを「天地の目」というらしい。なにせ全て書物の受け売り。(笑)

目が実際の角度より少し上を向いている、又は少し下を向いている、両の眼がこのように実に工夫されているので得も言われぬ表情となる。

大抵は能面の左目が上を、右目が下をかすかにではあるが向いているというのが通説。

当然私が今度課題とする「若女」もそうである。普通なら・・・

しかし、「若女」でも江戸時代中期の洞水作の若女は少し異色である。

天地の目が逆転しているのである。つまり右目がかすかに上を向き、左目がかすかに下を向くのである。能面師・洞水が勝手にそういう工夫をしたのか、はたまた能楽師の希望でそのような面にしたのかははっきりしていない。

実際は作る時にどの様にその向く角度を調整するかと言うとそれは各自の工夫しかない。目の穴の開け方、角度、彩色、そして眼球が上瞼と下瞼にどのような雰囲気でふくらみを持たせているか…等々。当然工夫しながらの次の半年となる。

面白いでしょ?

こんなことを考えながら・・・考えても実際生かせるかどうかは全く別問題、何せノコギリもノミも金づちも実に危なっかしい手つきで作業しているのだからして…・・・半年も一年もかかるわけだ。

 

 

そんなこんなで私が来年挑戦するのは洞水作・若女・・・

さてどうなりますか…頑張ります。

 

 

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ここ何日か急に寒く、皆さん体調不良が続きませんか。

どうか風邪など召されませぬように。

 

最後に先日の「半襟付け」の教室風景。

皆さん必死。

 

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でも初めてながら早い方で20分かからない。ほとんど30分でつけられたので素晴らしい。

新しい半襟で気持ちの良い着物姿で新春を迎えられたし。

 

 

次の「いろは会」の教室は1月19日(土)。

今の「いろは会」メンバーの最後の教室。

目一杯おしゃれをしてみんなで新春を祝いましょう~♪

 

     ★☆★☆★ 皆さん、良いお年を ★☆★☆★

 

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