何時もながらもたもたしているうちに早や今日で11月も最後となる。
しばらく暖かい日が続いたのに今日は残念ながら寒い。
もっとも毎年このころは時雨ているので雪がないだけましかもしれない。
散歩途中で久しぶりにジョウビタキのメスを見かけた。
独特のなき方がないと分からない位小さな鳥、でもかわいかった。
さて・・・11月には完成するであろう、と以前書いた能面「中将」が仕上がった。
「お・・・っ!!!上出来~♪」
と先生に言われ、お世辞と分かっていても物凄く嬉しい。
どうも私は最近褒め言葉に飢えているようだ。
さてさて一番苦労したのがもみあげ。
こちら側は貴族らしく・・・丁寧に。
こちら側は公達らしく・・・
今戦いから帰ったような少し乱れたような、風に吹かれたような…。
そしてこんな風に職場の玄関に今は展示。
さてさて一応中将の能面については終了。
実は琵琶もそうだが、能面についても色々書いていると色んな質問をされる。
そのうちで今日は「能面袋」について質問のメールをもらったので書いてみる。
「能面袋」は字の通り能面を保管しておく袋である。
どんな袋でも、どんな入れ物でもいいのだ。
子供のズック袋みたいなものを入れ物にしている方もいらっしゃる。
風呂敷に包んでお菓子の空箱に入れていらっしゃる人もいる。
要はその方、その方。
能の宗家ともなれば色々しきたりはあるであろうが、素人が好きで楽しんでいる分にはそれはそれ・・・(笑)
でも折角なのでちょっと知っていることや自分のやり方を書いてみようと思う。
能面を保護したり、保存したりすることが目的なのだが、案外自分のこだわりをこんなところで表現できるので私は結構好きだ。
あくまで私の場合である。
能面は袋の下から取り出す形になる。
上からだとばかり思っていたのだが、書物を読んでいると能楽師の方は能舞台の鏡の間で能面を付けるらしい。その時の写真を見ると下の方から取り出す形にして能面袋が置かれているのを確認。ああ・・・そうなんだ…と。
能面の下に薄い当て布が敷いてあるが実際能面の袋に収める時はその布は能面の顔の上に乗る形になる。面を保護するためである。薄く綿が入っている。
その綿は昔は真綿を使っていたらしいが今は真綿は中々手に入らないので布団綿であったり、化繊の手芸用の綿を使ったりもする。
私の場合、これらの袋は古い帯の不要なものを使って知り合いに作ってもらうのだが、綿は扱いの楽な化繊の手芸綿を使用している。
今回中将の面の為に私が用意したのは・・・
表と裏をお見せしたのだが、平家の公達と言う事で古いそれらしい帯で少し雰囲気のあるものを利用した。
ところが色々書物を読むうちに「忠度」「清経」といった能にも使用されるとあった。
「清経」といえば笛である。笛を吹くシーンでは扇子を笛に見立てて口に押し当てる場面が印象的で美しい。で・・・こちらに変えた。
琵琶と横笛の帯を使った。
既に余りに使用し過ぎて箔は落ちタペストリーにも使えない古い帯であったがこんなところで約に立つとは…。
平家の公達は戦うだけでなく、楽曲や文芸にも優れていたとかで、琵琶の名手である経正や笛の名手である敦盛など数多くいるのでたまにはこんな模様もいいかな、と。
別に帯地で作成しなくても着物地でもよいかと思う。
古くなったもの、使用しなくなったもの、身に着けるには余りに派手になったもの、捨てるにはもったいない物・・・・などなど不要なものを使って作られればよろしいかと。顔に当てる薄い綿入りの布は着物の胴裏に使われる羽二重が一番柔らかくて良いらしい。私は片面を羽二重、片面を帯の模様のない所を使うようにしているのだが、それはお好きになされば宜しいかと。当て布も能面袋も柔らかいものが良いようであるが、私の場合ちょっと豪華に雰囲気のあるようにしたいので不要な帯を使っている次第。
上の全ての帯は「何かに用立ててください」と人さまから頂いたものである。
先日京都に行った折、能面袋の専門店なる会社に立ち寄って話を聞いてきた。
滅多に売れるものでもないので注文があったら制作するとかで見本すら置いてなかった。その方によってご希望も違うから・・とか。と、いうことは自分で好きなように作ればそれで良いのだと自己判断。(笑)
能面そのものすら古色というか、古く見えるように色々細工をするのだから、能面袋が新しくあるはずもないのだ。タンスの中に眠っている古い着物や帯、リサイクルショップで見つけた縁がボロボロの帯でも少しも構わないのだ。
ご質問をくださったお方・・・こんな感じで宜しいでしょうか?
これは我が家のいろは紅葉の一枝。
ところで、明日はいろは会での半襟付け。
裁縫道具の中の針には、半襟と同色の糸を通して何本か持参されたし。
「老眼で…」とか、「針に糸が通らない…」とか当日になって言わないように。。。
時間の無駄は極力避けたい。
ではでは・・明日までしばし・・・・アディオス~♪♪♪