和装組曲♪

・・着付け教室、琵琶演奏、能面制作などに勤しむ日々のあれこれをグダグダと綴ります・・

能面「小面」の完成



小面とは若い女性を意味する言葉で能面の小ささをいう言葉ではない。
童女というより、少し成長した女の顔で若い女性の原型とも言える。
「若女」という面もあるが、これになると若干成熟した色っぽさも加わるようである。

この「小面」という面があれば大抵の若い女の能は演じられるとか。
可憐であったり、愁いを含んだものであったり、時には理知的にも、色っぽさだったり、時にはとても清楚に見えたり、童女に見えたり・・
と見る方向によって色々に見えるのも面白い。
特に髪の流れは左右に三本交差せずにスッキリキッパリ流れているのは最大の特徴でよく似た女面でもこの髪の流れで確実に「小面」かどうかが判断できるといって過言ではない。

この一年かけて辛うじて作った私の小面が完成。

前回お見せしたのは確かここまで。


眉がまだであったので眉を描いた。
下からの雰囲気は何処かあどけなさが残る。



色々調整など最後の仕上げを施して真正面から写すと、こうなる。




横から見ると・・・・こんな感じ。




最後はこういった能面袋に入れられて保管する。
能面袋は各人により好みもあり、作り方も違うのだが、おおよそこんな感じ。
私は年代物のお気に入りの箔帯を利用。ブログ仲間からいただいたもの。
物凄くいい箔帯だが能面袋として利用させていただいた。
自分の第一作の能面なので変な生地の袋に入れたくはなかった。
美しい尾長の箔帯に柘榴の柄。まさに「小面」にこれ以上の柄はないだろう、と。
しかし・・・どう見ても能面よりこちらの能面袋の方が遥かに貴重。(笑)





参考までに・・美術品としての「小面」に関する蘊蓄を少し。


    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・カラーボックス「能面」より・・・・・・・・

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・中西通、今駒清則共著・・・・・・・・




越智吉舟の代表的な作「小面」は可憐にして端正、古雅にして美しく名品と言われる。
中世の女性らしい内面的な美しさの中に時代を反映した厳しい情感を秘め、優れた想像力と工芸技術の水準の高さを示している。

天下の名工石川龍右衛門重政の「小面・雪」は室町時代のもの。
豊臣秀吉愛蔵の石川龍右衛門の三面を「雪」「月」「花」と名付け
「雪」は金春家、「月」を家康、「花」を金剛家に与えたと言われる。
「花」は現在三井家に、「月」は大阪城炎上で焼失、「雪」は維新後大阪に流れ現在金剛家に。
昔から「小面」と言えばこの「雪」を写したものが多い。
それほど権威のあった小面で幽玄にして端正。可憐にして豊潤。



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書から適宜抜粋。もし十分伝わらなかったとしたら、責めは雲龍柳に有り。
私は上の二つの写真を見ているので多少はイメージできる。
興味のある方はどうぞパソコンで色々探してみて。
ちなみに私は越智の「小面」が何とも美しいと思う。
初めて見た時に「なんて美しい面」と感動した、勿論写真だけれど。
我が和装組曲のトップページの舞台で女性が持つ能面は、多分石川龍右衛門の「小面」のレプリカらしき。


次回からは「十六」という面に挑戦する。
平家の公達で若干16歳で死んでいった無冠の大夫・敦盛に由来する。
実は次の能面袋も既に一緒に作ってある。龍のそれはそれは見事な刺繍帯。
それは又別のコメントの方から頂いたものだが。


着物ミステリーアワー http://d.hatena.ne.jp/umryuyanagi104/20121205/1354666573


敦盛に関しては↑のブログで書いている。特に後半部分。
多分着物の絵柄の仕舞をしている方の能面は「十六」の面に近いかもしれない。

多情多感で至って上品、女性に見まがうばかりの美しい面・・・
敦盛を手に掛ける熊谷次郎直実は余りの美しさに一瞬怯む。
何とか助ける手立てを考えるが味方の大群が背後に押し寄せていた。

        太刀に哀れや磯千鳥  
       鳴くも悲しき須磨の浦
 


琵琶の「敦盛」はここで何とも美しく終わるのだが…
敦盛を手に掛けた後、熊谷直実は敦盛の菩提を弔うために出家するという逸話付き。
美しい面は彫っていてもとても至福。
一年間頑張ります。とっても楽しみ〜・・・♪





写真は散歩途中で見つけたイソヒヨドリアカハラ、どちらも雄。
そして三枚目はムクドリのつがいか親子らしき、手前のムクドリが異様に大きかった。
最後は多分セグロセキレイ。いつもと違う下からのアングルなので自信はない、白眉から多分・・・〜・・というレベル。
ただオナガより小さいサイズだが、凄い迫力で囀っていた。美しくて見惚れてしまった。

ではでは・・・皆さん有意義な連休をお過ごしください。
私、雲龍柳は家の周りの溝掃除と庭の草むしり、そしてトイレ掃除&仕事場のエアコンフィルター掃除の予定。
六月の演奏会に向けて琵琶「小栗栖」の練習も・・・勿論合間を縫ってちょこっと仕事も。
この連休の間に読みたい本も3冊〜。。。
忙しくもあり、暇でもあり。(笑)