和装組曲♪

・・着付け教室、琵琶演奏、能面制作などに勤しむ日々のあれこれをグダグダと綴ります・・

二月のゆめみ会

先日二月のゆめみ会〜



今回は色の話。




ちなみに「色の話」はとても難しい。
と、いうのはその方その方がイメージしている「色」は皆違うし、たとえ話したとしても中々その方の意識に定着させるのは難しい。
ともすると自分自身も余りにはっきりしていない色が圧倒的に多いから。

例えば「空色」という色もイメージする人によって本当に色々なのだ。




薄い「水色」を想像する方もいれば、濃い海の色を瞬時に連想する人まで各人のイメージは実に多様である。
ちなみに「空色」は空の色、「水色」は空の色が水に写った色なので当然二者は違う色であるはずなのだが、時には同じ色ということもありうるのだ。

北陸の人間には「空の色」というと北国の冬のどんよりと曇ったグレーが色濃く混ざった空色鼠(そらいろねず)を思い浮かべる人もいるだろう。
九州の人ならすっきりと晴れ渡った美しい曇りない碧天(へきてん)色を思い浮かべる方もいるだろう。

今回なるべくややこしい所を避けて教科書にでている無難な色をケセラセラさんに講義してもらう予定だった。
ケセラセラさんは養成コース終了の方でいつも私をサポートしてくれているのでお手の物。
何といってもこの私の傍で10年いる・・それだけでも如何に凄い事か・・
こんな口うるさく細かいことまで言う私の傍で平然といられるということが凄いと思う。
細かい所まできちんと把握して無駄のないしっかりした講義をしてくれるはず。
と、高をくくっていたらなんとドンドン平気で難しい領域へと進む。
「難しすぎ!!」
と叫ぶ私の顔は・・・・多分・・・想像するに



こんな顔であったろう。(笑)
それでも準備してきたのであろう、途中で変更もできず。
彼女は恐る恐る講義するしかない。
私は色々言うとややこしくなるのであとは黙ってとにかく彼女の予定通りの内容が済むまで口を挟まないことにして黙るしかない。
彼女は真正面で多分私の沈黙に震え上がったに違いない。

初めて日本の色を学ぶ方にはあまり難しいことを言うと、頭の中は支離滅裂となる。
多分去年二級の検定を受けた方はそこそこついて来ている・・程度。

「じゃあ私のこの着物は何色?」
と生徒さんは素直に聞いてくる。
「それみろ!!」
ややこしくなって引くに引けなくなるのだ。

しかしここはチョイ待て!!
「各々方・・お待ちなせえ!!」
原点に戻ろう〜♪



単純な事からでいいのだ。
何百、何千ともいわれる色なのだ。
まずは教科書にでている基本の色、それも一目瞭然の色だけでいいのだ。
それもできるだけ基本の単純な方がいい。
白も黒も話し出したら一時間があっという間。
各色は教科書に任せておけばいい。
要所要所だけ押さえておけばいいのだ。
しかし・・どうも私の要所と彼女の要所が全く持って一致していない。

しかも「襲の色」(かさねのいろ)まで何となく話さないといけないプリントを皆に渡している。。
収拾つかなくなるのは目に見えている。
打ち合わせにもう少し時間をかけるべきだった。

なにはともあれ・・・何とか終了。
ケセラセラさんより、多分私の方が冷や汗、脂汗だった。
これ以上色の事を知りたい方はどうか養成コースに願いたい。
私が講義しよう。(笑)
今回は一回二千円で指導料を遥かに超えた講義内容となった。


そして最後に着物の着方、コーディネートにちょいと触れてお開きとなる。
この方々はまだまだ着方が定着していない。
日によって、着物によってとてもばらつきがある。

まずはこの方・・・


丈は上手になった。
裾が時間と共に開いてきているのが気になる。
裾をつぼめた形に着るようにしよう。
ドボンとした着方は汚い印象を相手に与えかねない。
又、手をどのようにして立つとスッキリ見えるかも考えてみよう。

次は・・・・


裾が長すぎて畳の上にずっている。
もう少し短く着なくては…特に後ろ。
そして帯の柄が一番いいところが出ていないどころか、お太鼓に白い無地の部分を出しては失敗。
これでは着物も帯も死んでしまうのでもう少し柄出しを考えないといけない。
お太鼓の大きさも体のわりに小さくて貧相なお太鼓となっている。
慌てて着て、鏡も見ないで飛んで来たに違いない。
何事も余裕がないのは頂けない。
余裕をもって動けるように・・・。

次の方は・・・



同じように、合わせ方も着方もいい感じになってきた。
あとは後ろの裾すぼがりを少し工夫してみよう。
お茶をされる方に多い着方。後から見るとドボン・・としている。
その方が所作がしやすいのかもしれないが後立ち姿が美しくない。
中々自分の目では確認できにくいが、私の言った着る時の注意点を守れば美しい裾すぼがりはできるはず。
頑張れ。この方はあと一息、あと一歩だよ。

次の方は・・・





この方は中々上手にコーディネートされるようになった。
橙色や強いピンクを着て来られた時にはのけぞりそうな位びっくり。
多分お嫁に来られた時の着物の色がこの方の基準の色だったに違いない。
今では着方も立ち姿も定着。品よくステップアップされた感。
なんとなく自分の目指す「美しさ」が分かってきたのだと思う。
着物と帯の合わせ方などが、随分安定してきている。
ただこの色の着物が果たしてこの方に合っているのかは私には自信がない。
もう一つくすんでしかも明るめの色の方が落ち着くし華やかな印象だと思うのだが、如何だろう。
これから色々試行錯誤してみてください。それも楽しみの一つ。

そして次の方。



この方は初回からいつも安定している。
しかも着方もコーディネートも常にステージが高い。
季節感もとても大切に配慮されているのも見受けられる。


品の良い白大島にパッチワークで遊んである季節感ある帯。
着物好きなお母さんやお義母さんのアドバイスが非常に的確なのに違いない。
又そういう着物通の方のチョイスを日ごと見ているので知らず知らず体や意識に浸み込んでいるのだろう。
多分どこへ行くにも、どんな着物の格にでも合わせたコーディネートや着方が身についている雰囲気がある。
素晴らしい。あとはこの調子で着物の知識を増やしてもらえれば・・・。
あっ、一つ。襟の抜きは毎回、若干変動するのだが、もう少し抜いても美しいと思う。襟足がとても綺麗なので。


やれ〜・・・・やれ〜・・・心配した二月のゆめみ会終了。
色の話は楽しいのだが、ちょっと難しくもある。
多分自分自身がまだまだ勉強不足の領域なので私も頭の中でスマートに整理されていないからに違いない。
ケセラセラさんより前に、私自身もっともっと勉強しないと・・と反省した日でもあった。
誰が悪いのでもない、自分が悪いのだ。
ケセラセラさん、このブログを見て落ち込む必要はない。
何事も成功の種となるのだ。



ちなみに今の北陸の空の色と水の色は・・・こんな感じ〜♪



空は「灰色」
水の色は「スチールグレイ」
光って金属的である。


       東京の空〜灰色の空〜・・・♪〜
         本当の空が・・♪〜

見たい・・・と言ったのは智恵子。

何処に本当の美しい空がありましょう?
空も海も真っ暗闇ではござんせんか?
鶴田浩二も既に今は亡い。

つい最近の朝日新聞で読んだ。
今日だったか、昨日だったか、今の私は朧。
どなたの言葉だったろう…


      空も海も汚れている・・
      それは人間の体も物凄く汚れている事に他ならない。