和装組曲♪

・・着付け教室、琵琶演奏、能面制作などに勤しむ日々のあれこれをグダグダと綴ります・・

二人の女性〜♪

今日はこのお二方について書こうと思う。

親子ほど年が違う。

かたや半襟つけを習いに来た年配女性。
かたや仕事の空きができ半襟つけを教えに来た若い女性。

二人の女性を写真に撮ってとっても二人とも美しいなあ・・と思ったので今日はその話。

まず年配の女性。


この方家は県外在住。
何かで石川県に来た時に習っていく。

この時の着物は単衣。
青海波を織りだした生地に、写真ではちょっと分かりつらいが蝋のたたきが施されている。色は淡いピンク&イエロー。二十代のお嫁に来る時の物。でも色が淡くてひっそりしていることととても凝った作りのもので品物が良いのでこの年齢でもちっとも違和感がない。親はいついかなる時でも娘が恥を掻かないようにと、時節時節の物を用意してタンスに入れておいてくれたのだ。有難い。今日は躾糸をとって着ていらした。

この方・・・初めての時は
まずは自分が着物を着られるようにと習いにいらした。
自分で着られるようになったら、次はお嬢さんに振袖を着せれるように。
一通り着る事も着せる事も出来るようになったら、今度は半襟くらい自分でつけられるように。

一つ一つ目標をクリアーしながら進まれてきた。
若い時には全く着物に興味がなかった。
でも今お嫁に来るときに持ってきた着物が躾も取らずにそのまんま眠っているのをみて、とにかく一枚ずつ着るぞ・・・と、思われたらしい。皆、親の年齢になると苦労して作ってくれたことを感謝する。
そして躾糸のかかっている着物を一枚も残さないぞと。

初めていらしたときには冬だった。
ハアハア息を切らしいてたのでどうされたのかと思ったら・・・
「テニスをして慌ててきた」とか
「乗馬をしてきたのでおくれた」とか。
着物を習いに来るだけでなく色々時間を利用して習われているようだ。

その時は時間もお金も余裕のある奥様・・と勝手に思っていたら・・
なんと・・・なんと・・・フルタイムで働いていらっしゃる方。
しかも聞けば大変な仕事である。
さぞや神経が疲れると思いきや…「気分転換になるので」とサラリ。
石川県に来る用のある時にその時間を利用して自分磨きに使われているようだ。
愛知、新潟、富山、東京、福井・・・・色々なところから金沢に来たついでにちょっと習われていく方が多い。
だけれど大切なのは着物を着続けていけるかどうか、だ。五回でいや三回で着る事が出来ても続けて行かないと中々難しい。ある日着ようと思うと「あれっ??」となるのだ。
そういう意味ではこの方はしばらく着なくてももう着方を忘れないだろう。頭で着物を着ていない。手が覚えているので。

この日も着物を来て車を運転。
一生懸命半襟つけを覚えて行かれた。

これで半襟が汚れても自分でサ・サーッとつけかえられるわ〜と。
次回は娘が自分で浴衣を着られるようにさせたい、と。

この日は和装組曲に来る前に乗馬の試験を受けられてきたとか・・・
「えっ?乗馬?」「それが楽しいのよ〜」
なんて話を二人でしていたようだ。
私は別の美容師さんなどを教えていたので耳だけダンボ状態(笑)
娘のような方と楽しまれていましたよ。

なんのかのと仕事や日々の忙しさを理由に生活に追われている方が多い中、こういう風に少しの時間を無駄にせず自分を磨かれる時間を持たれる努力って素晴らしくない?中々真似できる事ではない。

「躾(しつけ)・・・って身が美しいとかくのよねぇ〜・・・」
着物に美しい折りがかかると躾は取っていいのだ。
人も美しく成長するまで親の躾がはずせない。
そんなことをフッと思いながら話をした私。



さてさて・・もう一人の女性・・・


この方はチーム・HASEGAWAのメンバーの一人。
若いのにガッツと負けん気が強い。何よりよく勉強するし練習をする。
この日は本来の仕事が半日休みがもらえたのだが、普通は自分の為にゆっくり使うところをこの方私にメールしてきた。

「職場で半日お休みいただいたので、教室行ってもいいですか?」と。
「いいけど、自分の為にのんびりと使えばいいのに」と私。
若いお嬢さんならショッピングしたり、デートしたり、美味しいものを食べに行ったり、ドライブしたり・・・それこそ色々したいこと一杯だと思うのだが。

彼女いわく・・・
だらっと過ごすとあっという間に時間がたつ。
もったいないので有意義に使いたいのだと。
江戸小紋のブログを読んでいて江戸小紋が着たくなった。
着て行くので見てください・・と。

表も裏もプリントの江戸小紋。生地は絹。
単衣時期なのでこういう物が案外重宝する。
単衣の時期に一枚持つとしたら江戸小紋がおススメ。
着るべき時期も考慮に入れて涼しい色を選ぶのも大切なこと。
リバーシブル仕様になっているので表の柄が飽きたら、裏を表にして仕立て直しするのもいいよ・・と。
コーディネートもドンドン上手になって行くのもうれしい。

彼女はチーム・HASEGAWAのメンバーの中では一番若く、家も遠い。
しかも仕事が結構責任重い。
会議だの残業だの続くのだが、めったに弱音は吐かない。
仕事が夜遅くすんでも教室に来る。
「遅いので今日は休みなされ」とメールすると・・
「今向っています。じき着くよ。」と。
  ↑ ↑
絶対職場でこのメール打ってるよ。蕎麦屋と一緒だ・・・このメール・・なんて皆で笑う。
そして練習していく。

天候が荒れて荒れて雷はなるわ、風は吹き付けるわ、雨はふるわ・・・という天気の時の話。
私は皆にメールする。
「今日は練習やめよう」と。
「承知」「了解」「Yes,Sir」の返事。
彼女のメールは
「なんで?」と。
こんな天気の時に遅くなったら、おうちの人も心配するでしょ・・という私に、
「天気のせいにしたら北陸では冬は練習できません。」と。
「じゃあ、やろう。今日は皆休みなので私とマンツーマンだよ。」と。
「・・・受けて立ちます。」と。
「その一瞬の間は何?」とすかさずメールする。


たくましいでしょ?こんなメールが生徒さんとの間で行き来する。(笑)

夜7時からの練習で9時で大抵はそそくさと帰るのに、いつも彼女は最後まで残って行く。
何時だったか気がつけば11時になった。余りに遅く慌てて帰したことがある。
流石に遠くから来ているのでちゃんと帰れたか心配。
「無事ついたよん〜♪」のメールをもらってやっと安心。
こんな天気の悪い時に何かあったらいやじゃん・・・という私。

本当に好きにさせていたら朝までも練習していく勢いさ〜。

そして・・一番素晴らしいのはいつも機会を見つけて自分で着物を着るようにしていることだ。
サッカー観戦、野球観戦、体育会系の方なのだがいつも素晴らしいと思って見ている。

「目の粗さはこんなものでいい??」
「きゃあ〜・・・・・目茶綺麗!!」

とっても上手に半襟つけ、教える事も出来ましたよ。

今日は素晴らしい二人の女性の紹介〜
こういう方々は案外いるようでいない・・・・
まさしく親の「躾」だね・・・




                  ・・・・・・・・・・・♪・・♪・・