平行する複数の直線によって構成される文様。
縦縞だけでなく横縞も格子も全て含むことが多い。
先日は格子の話をしたので今日は縦縞の話・・・
南蛮貿易で南方で織られた縦縞がもたらされると島で織られたことから「島」と呼ばれた。特に江戸時代国産の木綿縞が登場すると粋な柄として大流行し「縞」の字があてられたと言われている。線の太さ、数、間隔など多岐にわたりものすごい数がある。
☆「子持ち縞」☆
太い線の横に細い線を並べた文様。
左の図ように太い線の片側だけに細い線がある場合は「片子縞」
右の図のように太い線の両側に細い線がある場合は「両子持ち縞」
太い線が親、細い線が子・・・という関係。
では・・・「親子縞」とは??
そう図ように太い二本の線の中に一本細い線が入るものをいう。
☆ 鰹縞 ☆
鰹の身体の色から名づけられた縞。
鰹は背中からお腹に向けて段々色が薄くなっている。
つまりグラデーションになっているもの・・・細いものよりある程度太さのあるものに使う。鰹の身体の色がベースなので青系のグラデーションの時にのみ使うと信じていたのだが、実際緑色のグラデーションを鰹縞と呼んでいる呉服屋さんもいた。案外「緑色の鰹縞」と言うのかもしれぬ。江戸時代には浴衣の柄として使われたとか。白山の牛首紬などによくこの縞を見る。織の時は「鰹縞」というが染めの時は「鰹ぼかし」という。
☆ 矢鱈縞 ☆
地糸と縞の糸との配列が一定ではなく不規則、しかも色々な色糸を使っている縞をいう。昔は織物をおった後の残った糸の整理整頓の為 処理すべくこの縞を時々織って調整したのではないか・・・といわれている。
江戸時代大流行。普通の縞のようなパッキリした感じがなく、しかも色々な色糸が入っているので他の縞に比べると華やかだったからとか。
確かに色々な糸が入っているのでいろんな年代の方が楽しめるし、あたりは柔らか。
☆ 滝縞 ☆
細い縞から太い縞まで綺麗に配列され見るからに滝の水の流れるように見えるところからこの名前がある。
右図のように中心から両側に滝縞を拝したものを「両滝縞」といい左図のように片側だけに配したものを「片滝縞」という。
☆ 三筋 ☆
三本一組の縞が並んでいる・・その繰り返しの物をいう。二本の場合は二筋(ふたすじ)
四本の場合は四筋(よすじ)という。
☆ 竹筋 ☆
竹の生えている状態を表現したもので遠くで見ると縞、近くで見ると竹・・一味違うアクセント縞。
織よりも染めの小紋などに。
地色がどうあろうと骨っぽく見えるとこだわる人は(実はわたし・・)、竹の色を白っぽいものではなく濃い色の物を選ぶと良い。
☆ 斜め縞 ☆
はすかい縞ともいう。斜めの縞。縞の角度は色々ある。
同一巾、同一間隔・・・と書物にはある。が・・・洋服ではよく見るのだが、着物では案外目にすることは少ない。
不規則な巾や不規則な間隔の物は時々見るのだが…
書物によると古い文様で桃山時代の武士の晴れ着にも見られる縞とか。
☆ よろけ縞 ☆
縞がよろけているように表現されたもの。
染めでも織でもあり、手書き、型染めでもある。
直線の縞よりは柔らかな印象。
あとよく使われる縞に「間道」「唐桟縞」「吉原繋ぎ」などがある。
これらは一つだけで説明にものすごくかかるのでまたいつか・・・一つづつ・・・そのうち・・・
あと江戸小紋などでよく耳にする「筋」「千筋」「万筋」「毛万筋」というのもある。
縞の太さで名前が違う。細かくなればなるほど値が張る。段々遠目に無地に近くなり目がちかちかするのだが、
伊勢型を彫るのに細かいほど手間暇がかかるため。
自分にどのくらいの巾の縞がいいのか・・こればかりは着てみないとわからない。
反物で見ているのよりも仕立てた方が柄が多くなるように感じるものである。
襟や衽で縫い合わせたり、わきや背縫いで縫い合わせるため。
きっぱりとした縞のつもりが仕立てたら案外細かく柄が混んで見えたりするのはそのせい。
又、反物で見ているとまっすぐでスカッと凛々しい縞のはずが仕立てたら
やたら女っぽく見えたりもする。
それは縞の直線が身体の曲線に沿うため。
直線が身体の線に沿い、曲線が強調されるからだ。
まさに「直線」のはずが着ると部分的に「曲線」となる。
しかも身体の肉ずきの良いところが強調される曲線となる。
縞が一番女っぽく見えるのはそのせい。
時代劇でも三味線を小脇に抱えた姐さんがやたら色っぽいのはこの縞の柄のせい。
身体のボリューム感、スレンダー感の違いで選ぶ縞の太さも違うはず。
その着物を着て、自分をどう見せたいのか・・・・太さ、間隔、色、それらの混ざり具合・・・よくよく考えてみないと失敗する。
ある意味、格子よりも縞の方が難しいといえる。
難しい・・・というのは触らない方がいいということと違うのだ。
自分なりの見せる工夫や着物を着る妙味がそこにあると言うことだ。
着物好きなら一枚は挑戦したい柄でもある。
さてさて・・・・話変わって・・・
談話室のテーブルの上の縞模様・・・
人間国宝小宮康孝氏作・・・といっても小さな布。
小宮康孝氏のお父さまも有名な江戸小紋作家、小宮康助氏。
東京の知り合いの方がお土産に下さったもの。
「菓子箱よりあなたにはこれがいいでしょ??」と。
でないとうちみたいなところには有るわけがない。(笑)
↑ きっぱり断定しないといけない私も寂しいものがあるのだが。
それでも一年以上、このテーブルの上に展示している。
多分・・・誰も目もくれない・・はず。
ただの一人としてこの染めを話題にもしていない。
名前まで書いてあって展示していてもこうである・・・・
見ているようで案外何も目に映っていないのが本当のところ。
何にでも興味を持ちましょうね〜♪♪
今日は「縞」の話でした・・・・ではまた・・・・。。。。