和装組曲♪

・・着付け教室、琵琶演奏、能面制作などに勤しむ日々のあれこれをグダグダと綴ります・・

着物を着る・・ということ。

今、タル・ペン・シャハー氏の

    「ハーバードの人生を変える授業」

を読んでいる。訳は成瀬まゆみさん。

世界最高学府の学生たちをもっとも熱狂させた授業という物を知りたくて
本屋で思わず買ってしまった。
カルチャーショックも所々にあり中々面白い。
まだ読み終えてはいない。

何年か前、翻訳家で大学で教鞭をとっている友人から依頼されハーバード大学の大学院の学生さん達を文化体験ということで半日預かったことがある。
初めは着物を着せて、お茶やお花、書道などを少し体験させればよいと考え簡単に引き受けた。
ところが事前に彼女たちから連絡があり色々打ち合わせをする段階で私の予想は見事に打ちのめされた。自分が思っている若い女性という推測をはるかに超えて素晴らしい見識と自立心、旺盛な知識欲に圧倒された。
何よりも
「私たちはお人形ではない。綺麗な着物を着せてもらうことに意味はない」と。
「確かに!!」
ではどうしたいかと聞くと
「日本人は民族衣装すら一人で着られないという。そんなに難しいのか。私たちが必死で半日挑戦してもダメか?」と。
時節は夏だった。
「浴衣なら可能」
と言う私に浴衣を教えてくれという。
ほかのことはいいからそれに集中したいと。
教えてもいいが自国に帰って着ないならすぐ忘れるし習うことに意味があるかと。
「買う。そして国に持って帰る」と。
彼女たちはユニクロで買ってきたり、ホームステイ先の方に古いものをもらったりしてやってきた。
日本人でさえ、着物は着せてもらうもの・・という感覚が強い。
普段自分で着ていても何かの時には美容院で着せつけてもらったりする。
「自分で着る」ことにお金をかけても、写真に残したり、人に着せつけてもらうためにお金は使わない・・という彼女たちの洗練された考えに圧倒された。

着物を開いたり畳んだり・・
直線なのになぜ身体にそうのか・・
何故仕立て直しができるのか・・
何故この場所は縫ってないのか・・
洗濯はどうすればいいのか・・
アイロンはどうかけるのか・・
首のところ以外はさみは入らないと聞くと驚き・・
畳んで平面になると感嘆し・・
素晴らしい文化だと称賛。

三時間くらいの間に彼女たちは何十回浴衣を着たろうか。
(初めての方は三回〜四回きるとヘロヘロになります。)
勿論汗びっしょり。
多分次の日は筋肉痛。
帯も色々の結びを習得していった。
何より次の日に京都へ浴衣を着て電車に乗って移動していったと聞いた時は脱帽。

精神と学習意欲が二本の足で立っている方々だなあ・・・と心底思った。

本当に洗練された考えという物はこういう方々なんだと感動したものだ。
今回この本を手にとりこういう授業があのような学生達の考え方を作っていくのだと納得。

自分ももっとちゃんと正しい方向性で勉強しよう・・・